富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

孔子は君たちが学ぶべきことだ

fookpaktsuen2017-01-09

農暦十二月十二日。今朝は寝台から起き上がれないのではないか、と思つたが足腰の痛みは昨晩ほどひどくない。早晩に中環。半年間、東京から訪問学者で某大学に来られてゐるT教授とFCCでいろいろお話しながら夕食。体力消耗してゐるのだらう、酒を飲んだらさすがに眠い。
▼今日の画像は行政長官選挙戦に二度目の立候補が取りざたされるRegina葉劉淑儀の怖い画像。深水埗の寝台一つの居住空間(の展示施設)参観した際に実際に、その籠屋に入つてみせたときのもの。一言でいへば絵として怖い。さらにこの人だと、どこか全てが苦笑系のお笑ひになつてしまふ。
毎日新聞の連載「考・皇室 憲法と歩む」第10回「国民とともに」努力(陛下、戦争の歴史踏まえ)より(こちら)。聖上は「先の大戦への反省のメッセージ」を積極的に発信し「心配なのは次第に過去の歴史が忘れられていくこと」と歴史を学ぶ大切さに触れる。それがどういふ思考なのかにかなり迫つた内容。

満州事変からの)「軍部の暴走」は国民の支持があって初めて可能になったという歴史を学んだことで社会とのつながりを保ち続けなければ皇室は存続の危機に陥るという教訓を得たとみられる。
小泉信三は)現憲法では天皇に政治的権能がなくても君主の人格や見識が政治に影響を与えるとして国民へ思いをはせる取り組みが必要だとした。小泉は福沢諭吉の『帝室論』を教材で使った。「帝室は政治社外のものなり」として「利害の対立する政治から天皇が距離を置くことで国民統合の要として機能できる」と説く。小泉は象徴天皇制を正当化する考え方として活用した。
中国の古典からも君主のあり方を学んだ。学友の橋本氏が高等科のころ「夜に枕元でどんな本を読んでいるの」と聞くと陛下は「孟子」を挙げたという。「孔子は君たちが学ぶべきことだ。孟子は天子の教えを勉強する書物だから僕は読んでいる」中等、高等科で漢学を進講したのは諸橋轍次東京教育大名誉教授。諸橋は著書「孟子の話」で「孟子の常套語は『王者はよろしく民とともに楽しめよ』。王者は常に民と好悪を共にしようということである」と説いた。陛下が言う「国民とともに」の源流といえる。
生まれによる差別を前提とする世襲天皇が生まれによる差別の否定から出発した民主主義に基礎を置く。「国民統合の象徴」であり続けるには「国民の総意」を得る取り組みが不可欠になる。
陛下が取り組んでこられた被災地訪問などの公的行為は広く支持されている。一方で日本国憲法を含めた民主主義憲法君主制との闘いの伝統を起源に持ち君主を厳しく制約する性質を本来的に持つ。陛下が作り上げた公的行為の姿は憲法上期待されていないだけでなく行うべきではないという議論もある。
今回のおことばは「象徴としての行為と天皇の地位は一体」という新しい天皇像を示し、その是非を問いかけた。非人間的な近代天皇制を天皇個人の高齢化やそれぞれの家族の問題に引きつけて考えるべき人間的なものに転換することで初めて安定的に続けられるという考え方も示した。民主主義のなかで天皇がどうあるべきか、答えを出す必要がある。

それにしても「孔子は君たちが学ぶべきことだ。孟子は天子の教えを勉強する書物だから僕は読んでいる」とはさすが。孟子民本主義および革命説の論、しかも同書で君子の美徳はキリスト教道徳に通ずる「怵綃惻隠」也、と久ヶ原T君。このご覚悟は諸刃の剣。行く行く「妙な人格の天皇」お出ましになり「社会とのつながり」を考へ始めたら、それは大ごと。だから天皇を縛るといふ部分もある。