富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2016-11-10

農暦十月十一日。建築家K女史が西營盤に泊まられてゐるので家人と出かけ蓮香居で早茶。世の中、クリントンがいかに危ないかでもちきり。最も危ないのは我々自身なのに。衆議院ではTPP法案通過。米総統選でTPPなど白紙撤回もあり得るのに何を考えてゐるのか。天気不安定。早晩に帰宅して久々にジムまで走る。
▼トランプ危機?につき毎日新聞の社説(こちら)より。

共和党の指導部はトランプ氏の女性蔑視発言などに嫌気がさして大統領選の応援を控えた。だが、よき伝統を重んじる同党は、米国の力で世界を変えようとしたネオコンや「小さな政府」を求める草の根運動ティーパーティー」などと協調するうちに方向性を失い、トランプ氏という「怪物」を出現させたようにも見える。

トランプに罪はないが共和党の状況はこのパラグラフでよくつかんでゐる。東京新聞「こち特」で失言型政治家について。意図的に過激な発言で劇場型な盛り上げ、悪役やコミカルでもキャラ優先。これを高村薫先生は

トランプ現象の根本にあるのは資本主義の行き詰まりで良識や理想、道徳のようなこれまで本年を抑制してきた重しがとれてしまった。というより政治家が率先して取り払っている。

……御意。さらにマスコミがひどく

本来大衆から一歩引いいて冷静な観察者でいなければならないメディアが大衆と一緒のラインに立っているから面白がるだろうとか視聴率が取れるだろうとかいう視点で動いてしまう。そのため有権者に一番必要なものが見えなくなってしまっている。

またImmanuel Wallerstein先生・紐育州立大名誉教授(社会学)の見方(朝日新聞)。

トランプ大統領の誕生は決して大きな意味を持ちません。米国のヘゲモニーの衰退自体は50年前から進んできた現象ですから決して新しい出来事ではない。米国が思いのままに世界を動かせたのは1945年からせいぜい1970年ぐらいまでの間に過ぎず、その頃のような力を簡単に取り戻すことはできません。
今の米国は巨大な力を持ってはいても「胸をたたいて騒ぐことしかできないゴリラ」のような存在なのです。トランプ氏は確かにオバマ氏やブッシュ前大統領よりも危険な存在だと思いますが選挙で主張していたように「米国を再び偉大にする」ほどの力があるわけではない。