富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

スティーヴン=イッサーリス師のチェロリサイタル

fookpaktsuen2016-10-16

農暦九月十六日。久々にジョギング。鰂魚涌海浜公園に近くとハーバー沿ひの人混みに何かと思へば九龍側の鯉魚門から海峡を渡る遠泳大会。カナヅチには足もつかぬ海峡を泳ぎきると想像しただけでも鳥肌が立つがゴール近くで偶然に遭つた参加者M氏によると香港島が近くにつれ潮の流れ強くなり泳いでも全く進まず体力消耗でかなりしんどい、と。本日一名心拍停止で死亡、一名危篤。昼に何年ぶり?で即席焼きソバ。八月に日清食品の博物館訪れてから無性に食べたかつたもの。午睡。家人とMTRで香港大學。これまで図書館に近いA出口しか出入りしたことなかつたが百周年校園方面に出るC出口は地下鉄站から大學キャンパスに入ると長い室内エスカレーターでモダンな李兆基会議中心に吸ひ込まれる未知との遭遇な感覚。この建物のグランドホールでスティーヴン=イッサーリス師のチェロリサイタル。フォーレソナタ1番、サン=サーンスソナタ2番からロマンス、フランクのイ長調ソナタ等。Thomas Adés(1971〜)のLieux Retrouvésといふ現代曲=苦手な意識あつたが、この曲の演奏前にイッサーリス師が「なぜ、この曲を弾くか」と作曲家の紹介から曲の描写等を自らマイクとつて説明するほどの熱の入れやう。なるほどのイッサーリス以外の誰が弾けるのか、と思ふ超技巧で面白い楽曲。この曲についてはイッサーリス師ご自身がLunch with the FT(1 Oct 2016、こちら)でかのやうに語つてゐる。
Adès’ original score for Lieux retrouvés was so difficult Isserlis wrote a furious email to him when he started practising for its premiere to say he could not play it; the composer, using reverse psychology, said he would find someone else for it and soon afterwards Isserlis gave its debut. So how did he find it last night? “It is fiendish. But I’ve played it so much now that I’m a little less scared of it.” Despite attempting to appear unruffled, Isserlis looked strained as he tore his left hand up and down the fingerboard to meet Adès’ demands.
いつもイッサーリス師の演奏会で思ふのだが、あの素敵な御髪はチェロ演奏で邪魔にならないのかしら。演奏会終はりネットで日本ハムのCS優勝を知る。初回にソフトバンクが4点取られてゐたが演奏会の間に逆転してをり大谷が指名打者から9回は登板で時速165km投げ2三振で三者凡退で初セーブ。シーズン後半良いところなかつた中田がCSでは活躍。夕食にも早い時間で大學から水街下りClub Bonitoといふスペインパブでワイン飲む。光記食店で軽く夕食。空港巴士(復路)で帰宅。見事な満月の月を愛でる。
▼香港海洋公園のパンダ「佳佳」逝去。享年三十八(人間なら推定114歳)。1999年に香港に贈られ(パンダなのに海洋公園とはこれ如何に?)何度このパンダの尊顔を拝んだことか。