富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2016-10-17

農暦九月十七日。台風の影響で午後から風雨強まる。日経(こころの玉手箱)でイラストレーター・宇野亜喜良さん、その①天井桟敷のポスター……浦山しい1960年代の東京。あの時代に遊びたかつた。
天皇生前退位など話し合ふ有識者会議開催。これに合はせたかのやうに今回の生前退位について数年前から聖上と直接これについて話し合ひもつた宮内庁参与や学者らが、まるで有識者会議開催意識したかのやうに(さうに決まつてゐるが予定通りで)これまでの経緯について口を開き政府的には余計なことまで語る、語る。その参与の一人である三谷太一郎・東大名誉教授は聖上から「海外にも赴き戦没者を悼むなどの象徴的行為は天皇しかなし得ず、天皇として存在するだけでは役割を果たせないという思い」を「何度も聞いた」といふ。それは象徴の務めを積極的に考える天皇像であり「政府の有識者会議は公務の負担軽減など問題の幅を狭めた議論ではなく皇室の将来像を示すような提言を取りまとめるべき」とする。

一代限りで退位を可能とする特別立法には反対だ。陛下のお言葉が立法措置に直結したと受け取られ「天皇は国政に関する権限を有しない」と定めた憲法上問題が生じる可能性がある。皇室全般の問題を議論した上の結果として皇室典範を改正すべきだ。

と三谷先生は言ふが(毎日新聞)、聖上の7月の玉音放送が立法措置に直結したと受け取られるから今上様にだけ退位可とする特別立法には反対で、だから皇室問題全般を考へた皇室典範改正を……といふのはむしろ聖上の意図が国政に関与してゐると思はれて致し方ない気もするのだが。NHKがテレビで夏前にこれをリークして、それを受ける形で是々非々の日経が詳細を報じ始め毎日がかなり具体的に深く掘り下げ朝日は(今回はあまり役割与へられてをらぬやうだが)側面でフォロー。週刊誌も負けてをらず九月末に宮内庁長官「更迭」は天皇生前退位報道リークでの懲罰人事(サンデー毎日)で宮内庁宮務主管退任も、この人が秋篠宮の意を受けNHK記者を宮様に引き合はせた張本人だとか(週刊新潮)「憶測だが」としつゝかなり生々しい内容。全てが、この懲罰人事も含みで予定通りコトが運んでゐる感あり。晋三の官邸は慌てゝ宮内庁の次長に内閣の危機管理監を送り込み宮内庁をとにかく掌握しようと躍起だが同じ省庁でも霞ヶ関とお堀の内は近いやうで余りに次元の違ふ世界。さらにマスコミが今回は聖上、宮内庁よりの主張を明からさまに強めてゐる。毎日新聞社説(16日、こちら)曰く

陛下は「国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚」を持つ必要性を強調する。皇居の奥にあって国民とほとんど接触しない存在ではなく、自ら行動し国民の声を直接聞き、苦楽を分かち合うことに象徴の意味を見いだしてきた。また「全身全霊をもって象徴の務めを果たしていく」とも述べた。
こうした強い責任感と使命感に裏打ちされた象徴への考え方を、わたしたちも支持したい。(略)
自民党などには憲法改正天皇を「元首」と明記し復活させようとする動きがある。天皇は対外的に元首の機能を有しているが形式的でしかない。国家権力を担うかのような元首という表現は、象徴天皇にはなじまない。(略)
「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことを念じる」とのおことばからは、安定した天皇制の維持への願いが伝わる。皇位継承と合わせて皇室の将来を見据えた論議も必要だ。

▼昨日の新潟県知事選で柏崎刈羽原発にNoの野党候補が当選。「新潟県民にここまで原発再稼働アレルギーがあるとは」と経済産業省幹部(朝日)。ここまで中央に感覚のズレがあるとは。原発再稼働に反対は依然57%で賛成は27%でしかない(朝日新聞世論調査)といふのに。現職知事の八月の突然の降板宣言は一瞬、逃げたやうに映つたが結果的に原発存続争点にして与野党が候補立てたことで中央の政局にも影響する選挙になつたのは泉田知事の期待通りだつたのか。