富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

集団的自衛権はフグか?

fookpaktsuen2015-06-19

農暦五月初四。父の日なのでMacBook届く。先月下旬に蘋果商店も在庫なく注文してゐたもの。見た目はMacBook Airと何が違ふの?だが鍵盤はフルザイズ。立ち上げでiCloud設定せば、まるで今まで使つてゐたやうにすんなりと自分化。メールソフトのアカウントまで自動設定とは。一つ欲をいへば自分辞書に加へ単語変換の連想も自分のもので出てくると便利。香檳ゴールド選んだが何だか、ちと恥ずかしい。晩に北角。(Z嬢改メ)家人と街市で買ひ物し店屋の猫を愛でる。今年は暑さでライチー豊作。和富街の養珍品牛肉麺に飰す。店主台湾人なり。HKD110もする牛肉麺は薬膳のやうなスープ美味。同じ通りの貓山皇で榴槤のデザート。ドリアンナポレオンには恐れ入谷の鬼子母神

▼昨日の立法會の歴史的採決の余波冷めやらず御用政党の議員ら自己批判、誰が主犯か?で右往左往。あの傲慢なるレジーナ葉劉淑儀も
"I think the central government must be very disappointed. I also feel very sad. I didn't sleep well yesterday. I have worked hard for 20 months, and I really wanted to cast this vote"
と感極まり落涙。
蘋果日報創刊20周年。当時ミッドレベルに住んでゐてエレベーターで中環に下ると青い林檎配つてゐて、それが林檎日報。編集も雑で、つまらない新聞多いなか蘋果日報創刊から人口に膾炙し22万部と好調。1997年には42万部まで発行部数伸びたが街頭の新聞スタンドやコンビニで毎朝背丈ほど積まれた蘋果日報も社会のネット化で2006年には部数30万部下回り今では14万部。それでも昨年度はHK$6億の収益あり内広告収入は(李嘉誠財閥等蘋果に一切広告載せぬ企業も多いなか)3.4億。網上では毎日3千万の閲覧ありといふがネットの広告収益は紙版の10分の1が現実。それにしても財界に厭まれても反権力貫き黎智英氏の真骨頂に甚だ敬服あるのみ。
▼こともあらうに内閣法制局長官・横畠某曰く集団的自衛権は「かりに毒キノコだとすれば一部を齧っても当る、しかしフグなら全部食べれば毒に当るが肝を外せば食べられる」とトンデモ発言。前任の志半ばで逝つた小松某、晋三のひどい人選と呆れたが今になつて思へば現職のフグ長官に比べればまだマシといふか発想はまだマトモだつた?とすら思へるのが怖い。こんな喩へしてみせるなら安保法制がなぜキノコではなくフグなのか論理的に説明してみせるべき。フグ食べさせるには調理師免許必要、立憲主義とかポツダム宣言も知らぬド素人捌いたフグ平気で食べさせるつもりか、と築地D君。次は順番からすると最高裁にとんでもバカ登場か。最後の牙城は宮中のみ……だが晋三政権続けば侍従長東宮職におかしなの充てられさう。南無阿弥。
▼東大の吉見先生が安保法制での晋三らの言葉の空虚さを嘆いてゐる(東京新聞)。上述の内閣法制局のフグ長官にも当てはまる。

いったい何が起きているのか。ちょうど小泉政権華やかなりし2000年代からであろうか、面接試験などでパフォーマンスは上手なのだが中身のない若者が増えた気がする。この場合、中身とは自分が発話する言葉に対する正確で深い理解である。それができないまま流行りの「お守り言葉」を多用してプレゼンをしてみせる。面接試験なら不合格になれば良いが国の将来までをパフォーマンスで決められたのではたまらない。空疎な言葉が重ねられ重大な結末が生じるまで人は気づかない。言葉は本来、他者との深い対話の媒介である。とりわけメディアが高度に浸透した現代ではそのはずだ。だが実際には「お守り」は至るところに氾濫し対話の媒介としての言葉の役割を見えなくしている。氾濫するのは対話のためというより台湾を封殺するための言葉である。この「封殺」のなかで私たちは近い将来「平和」のための戦争を再び起こしていくのだろうか。

晋三はひどいが、このひどい世界を導入したのが「自民党をぶっ壊す」と宣つた小泉であることは間違ひない。