農暦十一月十七日。快晴。寒さ続く。朝刊に猪瀬某都知事辞任の見出し。猪瀬某が都知事の器に値せぬのは明白。この輩に票を投じた434万人の都民諸君にこそ「あんたら、なに考えてんねん?」と尋ねたいわ。晩に陋宅にて湯豆腐。酒は越後の鶴亀。新潟M記者より鶴亀の上原酒造で元オーナーがシュールレアリズム画家で舞踏家の上原木呂、その弟が越後角大夫(ドナルド=キーンの養子)と聞く。掲載の鶴亀のラベルは横尾忠則によるもの。
▼高橋源一郎さんが朝日新聞の論壇時評で
誤解を恐れずにいうなら、わたしには、この国の政治が、パートナーに暴力をふるう、いわゆるDV(ドメスティック・バイオレンス)の加害者に酷似しつつあるように思える。彼らは、パートナーを「力」で支配し、経済的な自立を邪魔し、それにもかかわらず自らを「愛する」よう命令するのである。
と。言ひたいことはわかるが、アタシはこの<権力>がDVの加害者ほど強権的でもないし独善的でもないやうに思へてならない。むしろ、そこまで強制的なことをしてゐる、という自覚もなく、むしろ「良い方向に向かうやう努力してゐる」と信じてゐる幼さが怖い。DVの加害者はそんな前向きな自覚はなく、たゞ暴力揮ふだけ、だから否定し易い。自民党の今の政治は、まさに将棋の米長某の陛下に「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」と誇らしげに語つた、あのレベルと同じ。で陛下に「強制はよくない」と窘められるのだが。
▼伊勢丹メンズ8階のバー、Salon de Shimajiは週刊プレイボーイ元編集長の島地勝彦さんが店主。開高健や柴練の薫陶得た島地氏のポリシーが素敵。シガーとモルト。
- センスを磨くには浪費しかない。美しいものには物語がある。それを知るには無駄遣いという投資をしなければいけない。
サイレントテロ、生来に希望なんてもてない、と諦観した若者が消費をはじめとした行動や発言を控える。社会に積極的な抵抗を試みているつもりでも「何も求めない」人々は権力側に都合がいい。
- あまりにもかわいそうだ。ユーモアのない社会は余裕がない。美しい物、おもしろいことに感動して生きないと退屈でしょ。退屈な人生なんて大罪です。