富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

安倍の株価暴落

農暦四月十四日。日経株価千円超す暴落。おら/\おら……。この暴落は実は都知事猪瀬某のJMT2時間前倒し東京市場活発化に対する海外からの「冗談ぢゃない」作用との噂あり。iPhone5配達あり。昨日「ネェ何かおもしろいことないかなァ」と森田童子の「孤立無援の唄」のやうな気持ちでゐたらCSL(モバイル会社)からメールありZ嬢の携帯の契約が2年満了近いといふ。電話して普通に継続するつもりが今どき手機なしの単純な契約で、ふと「iPhone5選ぶとどうなるの?」と尋ねると値段もけして悪くない。今でもアタシのお下がりでiPhone3GS=3代型落ち使つてゐるZ嬢に最新機種用意しようか、と思つたがスマートフォンに興味浅きZ嬢なので、ふと「アタシがiPhone5にして貰つて今、使つてゐる4Sを彼女に上げてもいゝの?」と尋ねると「構いませんよ」と先方。よく親が型落ちを子どもに使はせたり、と一緒と。成る程。でiPhone5届きセットアップにかかる時間は5分だろう、誇張なしで。あとは勝手にバックアップからダウンロードして、今まで使つてゐたのとそっくりそのまゝなiPhone出来上がり。SIMカードのattivareを設定して30分程で開通。お目出度い。東都の株価、午後、ITバブル崩壊以来の暴落の由。すわ今晩の日放協NW9、キャスター大越のコメントが楽しみ。三浦翁チョモランマ登頂成功がトップニュースだったりして。7時のニュース、さすがにトップは株暴落だったが二番目の三浦翁チョモランマ登頂成功のほうに圧倒的に時間を割く。日本にとつて老人力以外世界に誇れるもの無いのも事実だが。でNW9はキャスター大越開口一番「今日の株価暴落は熱を冷ます上での調整」と宣ふ。さすが。しかも今日の暴落は「中国経済に対する先行きへの懸念」と、あくまでアベノミクスの危ふさは否定。キャスター大越の真骨頂。韓国の中央日報で「原爆投下は神の懲罰」といふ言及があつたことに大越は「社会の公器として」とその言論を非難してゐたが、キャスター大越、アンタだよ、社会の公器となり得ぬのは。
▼都新聞の社会時評(21日)で吉見俊哉先生曰く、自民党改憲、自主憲法制定党是としゝ八十年代まで現行憲法が社会に広く定着といふ見方が一般的で(さうかしら……そこまで平和憲法擁護でもなかつた気がするが、いずれにせよ)国民の7割が憲法定着と考へ約8割が憲法9条象徴天皇制支持、とりわけ自民党支持者に現行憲法に肯定的な人の割合高かつた、といふ。「80年代のバブル経済繁栄の中で憲法はこの繁栄の礎と多数の日本人が考えていた」といふ。それが世論が改憲に大きく動いた原因として吉見先生はその転機を湾岸戦争だとする。「政府が憲法順守と国際貢献の間で右往左往し、グローバルな動きに対応できないのを見て、それまでの憲法肯定ムードはかすんでいった」のださうな。それほど民草は憲法9条国際貢献なんて考へてゐるかしら。9条でいへば「平和は大切」でも身近では北朝鮮の脅威が関の山。改憲指向もせいぜい世の中ぱっとせずいろ/\社会問題山積みで政治がそれを解決するでもなし「ご一新」で憲法改正で、といふ程度の感覚ではないかしら。その程度の認識で憲政は毀れてしまふから。同じ都新聞の朝刊「こち特」が「政治家の暴言「外圧」で炎上」といふネタで「無知の恥 鈍る国際感覚」と指摘、これで内田樹鈴木邦男酒井啓子といふ識者に語らせてゐるのが面白い。内田先生は持論で米国の統治理念の模範解答盛り込んだ憲法否定は米国の政治や建国の理念否定に等しく尖閣での安倍政権暴走の抑制など近隣との対立激化望まぬもの、と指摘。今回の急な96条改定の沈静化も国民の理性とも思へず、アタシにはどうも「米の見えざる手」が働いたやうに思へるのだが。鈴木先生は「戦争をしないことが政治家の最大の仕事ということを忘れている。『本音を言っている』といった形で国民受けを狙っているのだろうが卑しい根性だ」と一刀両断。そして「実際には国民は外圧もあまり気にしていないのでは。国民も政治家も外国の反応に鈍感になった」と指摘。これは迂生上述の「国際貢献で9条が云々とは違ふ」に繋がる。更に「結局、日本が外国に対して対応できていたのは捕虜の扱いもきちんとした日露戦争までだ。文明国と見られるため背伸びして頑張った。それは誇りだったが今は奢りになっている」と、その通り。酒井先生は上述の吉見先生の言及を更に具体的に分析したやうな指摘で「日本は欧米こそが国際社会と認識する一方、戦後は関係修復のためにアジアの一国であることも強く意識してきた。だが冷戦が終わり国連平和維持活動(PKO)などの国際貢献を求められるようになり立ち位置が混乱している。中韓との距離感を失い、米国に強く言われたら屈してしまう。それが外圧の構図ではないか」として戦後の日本が円借款ODAでばらまきを続け「対等な振る舞い」が身についておらず、どのカードを切ったらどうなる、といふ国際政治に感覚も鈍い上に政治家の発言がすぐ翻訳されネットで世界中を駆け巡る時代に内向き指向や個人的発言は許されぬだらう、と。御意。

  • 日本はある程度、自虐史観でいった方がよい。日本はもともと謙虚な国。いまは謙虚さを取り戻すことが大切だ。それに売国奴と呼ばれて殺される覚悟を持って正しいことを行う人が本当の愛国者だ。

と、なんて素敵な発言なのかしら。で田原牧ちゃんがデスクメモで評論家の清沢洌(1890〜1945)の『暗黒日記』から

  • 日本で最大の不自由は…対手(あいて)の立場を説明することができない一事だ。日本には自分の立場しかない。この心的態度を変える教育をしなければ日本は断じて世界一等国になることはできぬ。

と引用し牧ちゃんは清沢洌がこれを書いてから「その後六十八年が経った」と。然り。こゝまでして本来の「この国のかたち」も創れず……ダメだ、こりゃ。