富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

黒色暴雨警報の朝

fookpaktsuen2013-05-22

農暦四月十三日。未明に豪雨となり朝四時すぎに黒色暴雨警報発令。歓迎光臨。1時間に100mm超える雨は日本では大変なことになるが香港では普通に「大雨」。一晩で陋宅のあたりでも250mmだといふ。黒色暴雨警報発令は3年ぶりの由。朝十時からの会議の資料、朝イチで作成すべき、が延期で一先ず安堵。証券取引から公共施設軒並み閉まるなか麻薬中毒患者相手の美沙酮診所(Methadone Clinics)は平常通りだそうな。午前十時前に黒雨警報解除。すわ出勤、で突然の通勤ラッシュ。公邸には来たが打合せはすでに2つ取消しで電話もメールも少ない。晩は山芋と麦ご飯。「麦とろ」といふ新宿に今はもう無いが焼酎飲ませ「麦めしととろゝ」が売りの殺風景な食肆あり。場所は南口から天ぷらのつな八本店の方に入つた、戦前でいへば新宿ムーランルーヂュのあたり。その「麦とろ」が懐かしい。今日の日経夕刊に俳優、加藤武さんの連載読む。今日の話は「杉村春子師匠」。厳しく優しい杉村の話から突然「あたしを怒ってくれると感じる方は、文楽竹本住大夫さんだ。太夫浄瑠璃を聞いて、セリフのしゃべり方を教わっている。」と話が飛び、どうした?と思ったら

縁あって対談をする機会があり、親しくお話できたのが光栄だった。あの住大夫さんが杉村さんを高くかっていたので、うれしくなった。名人が名人を評する言葉は「あの人は芝居せんと芝居してはりまんなあ」。私の永遠の課題だ。

と。なるほど。杉村の「芝居せんと芝居してはりまんなあ」が見たくなり映画『秋刀魚の味』見る。若い頃この映画は正直、退屈だつたが主人公の周平たちの年に自分が近くなつてみると、ほんと沁々と、この心境、愉快さ、悲しさがわかる気がする。で小津の映画がなんて面白いのか、と思ふ。周平の恩師の佐久間先生(東野英治郎)の婚期逃した娘役が杉村。本当に芝居せんと芝居してはりまんなあ、也。ところで笠智衆はこの映画では本人も役も年はアタシより辛うじて上だが『東京物語』のときの笠智衆が49歳だと思ふと役とはいへ老成ぶりに驚くばかり。
▼晩にまた見てしまつたNHKのNW9。今晩も呆れることばかり。東京スカイツリー開業1年でキャスター大越曰く「1年前は景気の先行きも見えず……それが1年でこれだけ変わり」とスカイツリーまでアベノミクスの景気回復の話題に。さらに都知事猪瀬某宣ふ日本時間の2時間前倒し策。日本が世界一早く開く市場としてアジアの金融センターとなり外国からの投資増え賃金上がり消費を刺激……ってアホか。そんなに世の中甘くない。英語も通じず独特な非合理的風土でどうしてアジアの金融センターに。NW9は一応、この2時間前倒しの長短並べては見せたが、どちらか、といへば推進派。それにしても朝2時間早くなることで電力消費も省エネ、って何かと思へば夜が明るいことで照明の電力消費。そりゃさうだ。だが夕方以降が暑く日が暮れないことで残業増え西日で冷房の利用が増えるのは明白。何を考へてゐるのか。倉田先生が「兜町が午前7時から営業すれば済む話なのでは?」と。御意。
貿易赤字4月で最大8799億円、円安響き燃料輸入増。ほら/\アベノミクスのマイナス面もじわ/\。輸出品目だつて日本は円安になつて売れるやうなもの製造してないし基本的に円高は致し方なし、なのに。超低金利金利「高騰」で0.9%に。
▼「例外なき撤廃は事前に合意していたはずだ。いかなる場合も認められない」とTTPの交渉会合開催してゐるペルーでTTP担当の通商観光相が日本のコメや砂糖の関税撤廃例外を求めていることについて(朝日新聞)。ほらね、みんなさういふ約束なのよ。