富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2013-02-11

農暦正月初二。正月といへば賀歲喜劇片、といひつゝ最後は「恭囍發財!」のハッピーエンドなスター総出演のどたばたコメディ正月映画見たのは考へてみれば『家有囍事』(1992年)以来だが、あまりに暇な正月なので朝の九時半から太古城の映画館で『2013我愛HK恭囍發財』(こちら)見る。七十年代にふとした縁で茶樓で伙計になつた主人公(黃宗澤のちに譚詠麟)が苦労人生のなか美貌の女性と所帯を持ち、香港の経済成長、移民潮のなか茶樓の経営者となるが昔からの悪友(謝天華のちに陳百祥)に唆され家族は家族で旧態依然とした茶樓経営を閉じたくもあり、で孤独に死を選ぼうとするが……最後は当然、ハッピーエンド。70年代からの香港の生活史、風俗を描いた点では『金鶏』的要素もあり地価高騰と再開発で古き良き茶樓がもはや経営難といふ社会問題も扱ふ点では脚本もそれなりに面白く譚詠麟、陳百祥、曾志偉、張堅庭らが発案なら、なるほど、の内容。主役級、名傍役がづらりと並ぶなか鄭欣宜(Joyce Cheng、故・沈殿霞の娘)の演技力が格別。ジャスコ山頭火でラーメン食べて帰宅。快晴で心地良く午後遅く5kmほど走る。晩に今朝、賀歲片見た映画館で“A Good Day to Die Hard”(邦題はダイ・ハード/ラスト・デイ)見る。ストレス解消には米国の頭使はない娯楽アクション映画が最高。ブルース=ウィリスもずいぶんと年をとったなぁ、と、そりゃ第1作から四半世紀。前作の4.0以外は見てゐる。今回このシリーズ初の海外はロシアで、やっぱり007から米国にとつて敵はロシアなんだね、でもモスクワでロケが出来るだけショーン=コネリーの007時代のソ連とは違ふ、と思つたがロケは匈牙利のブダペストの由。それにしても最後、敵を追ひつめ追ひつめられの往き先はチェルノブイリで日本人的には笑つて見ていられないが放射線も然ることながら最後、崩壊するチェルノブイリ発電所本部のビルで助かるのが職員の娯楽用?のスイミングプールに落ちたからで(少なくても使用済み燃料プールではないやうだが)、チェルノブイリだと思ふとそのプールの水もしっかり放射能に汚染されてゐるわけでジョン&ジャックのマクレーン親子は大丈夫なのかしら。
東京新聞主催でドナルド=キーン先生の「日本文学と私」の講演(一月二十日こちら)。戦争で日本軍捕虜の通訳を勤めたキーン先生、コロンビア大学に復学して日本語を教わったのが角田柳作ハーバード大学ライシャワー教授のもとで今昔物語と保元物語読み、ケンブリッジ大学では日本語を教へることになるが、そこでの日本語教材は古今集(序)。古今集は漢字が少なく語彙が限られてゐるので「日本語を全然知らない人には新聞より覚えやすいのです」といふ。ただ学生たちは「おとこ」を「おのこ」、「おんな」を「おみな」と言ふなど平安朝の日本語でした、と先生。素晴らしい世界。
▼傷害事件を起こし精神科病院に「措置入院*1させられてゐる男性が、この入院命令が知事の名で出されるため知事憎む方少なからず。毎日、都庁に抗議の電話してゐる方もゐるのださうだが、なんと、その相手が美濃部知事! もう30年以上入院してゐるのださうな。(宮子あずさ)

*1:このコラムの主旨は措置入院の入退院許可を家族保護者の判断に委ねるため患者本人と家族の関係悪化など問題もあり制度の改善を図るべき、との提言。