富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2013-02-10

癸巳年正月初一。今日の元旦だけ使へるMTRの港鐵蛇年紀念車票なるものあり。2枚組でHK$65で毎年これを買つてはゐたが使つたことがない。で今日はZ嬢と二人これでまず中環経由で東涌へ。正午の渡し船で東涌碼頭から屯門に渡る。MTR経営の軽鉄もこの記念乗車票で乗れるので……といつても軽鉄はホームでオクトパス使つて自分で精算するやり方なので何だか無賃乗車してゐるやうで気がひけるが屯門碼頭から軽鉄で三聖へ。元旦でも店開きしてゐる魚屋もあり。元旦から平常営業の海天花園酒家で飲茶。アタシにとつて飲茶も珍しいが馳名の海天酒家も海鮮で有名な三聖邨も初めて。たかだか飲茶だが海天酒家の蝦餃も蝦の腸粉も美味。軽鉄に揺られ元朗へ。西鉄で南昌経由で中環に戻り帰宅。Z嬢の計算によるとHK$61くらゐの乗車料金になるさうで蛇年紀念車票で約半額で乗ったことになる。本来なら元朗から西鐵でそのまま尖東へ、尖東で東鐵に乗換へ上水まで往き大陸からの正月客見物といふ手もあつたが遉がに疲れて断念。ちなみにこの記念票は空港と羅湖は不可。中環から乗つた東涌線の車両は何か殺風景だと思つたら車内広告なし。帰宅して読書。今ごろになつて岩波『世界』十一月号読了。晩にMon D'or のチーズとAloxe-Corton 1er Cru 06年。奶酪と葡萄酒の組み合はが美味いと最近漸く思ふやうになつてきた。NHKの「ファミリーヒストリー」で船越英一郎の巻を眺める。土建会社興した曾祖父が六郷橋の工事事故で事業失敗、娘らが新橋芸者となり、英一郎の祖母の妹、大叔母が長谷川一夫の後妻。それにしても「羽振りは良かったが相場に手を出したり思わぬトラブルで破算、遊郭花柳界出の女傑がいて、進駐軍といゝ仲になる娘がいて、誰かしらアメリカか南米に親戚がいる……」ってなパターン多すぎないか?一人くらい家系調べてみたけど平凡で何もトピックスもありませんでした、って芸能人も「あり」では?
▼中江要介元中国大使(90)「ともに築き上げた平和と友好を踏みにじってはならない」(『世界』十一月号より)

ナショナリズムや排外主義を掻き立てたり、燃えさからせたりしないようにするために、経済大国となった日本は、よりいっそう謙虚でなくてはならない。自分は「先進国」だと思い上がり、相手を「後進国」だと見下すような傲慢な態度が一番品格を欠く。その典型例が時折、石原東京都知事(これが書かれたときはまだ都知事……富柏村註)に見られる。(略)中国との関係において、ひいてはアジア諸国との関係において最も重要なことは、日本人は決して威張ってはならないということである。アジアで威張り散らす日本人の姿ほど醜いものはない。破局的な戦争を引き起こし、アジアの人々に数えきれない苦痛と屈辱を与えた日本は、常に謙虚さと自省心を忘れてはなるまい。多くの犠牲と献身の上にやっと手にした平和が、矜持も歴史観もない、口先だけの勇ましい似非政治家によって脅かされてはならない。「日本と中国は二度と戦争をしない」。そう双方が改めて誓い合うとき、我々の進むべき道はおのずと明らかになる。

▼行政長官測量梁農曆新年賀辭(こちら)。行政長官公邸で野菜育て、皆でその野菜で餃子を作り一緒に食べてみせ「家庭和睦、事事如意」は「香港和睦、民事如意」が希望だろう、がその元凶が本人。餃子作りは意外と上手。春節は香港にゐても出歩けば非難轟々、英国で休暇の由。英国在香港総領事の広東語も達者だが米国があれだけ総領事館だってセキュリティに厳しいはずが内部大公開、スタッフ紹介のリスクフリーの賀辭片もお見事。……で、日本の在香港総領事館からの新年賀辭……そんなものありまへんがな。