農暦七月初十。日曜休。昼前に中環の天星碼頭に企つ有機野菜市。なぜスターフェリーのピアで、なのかしら。ランタオ島の梅窩など離島で野菜作る農家が持ち寄るから波止場便利なのはわかるが、わざ/\尖沙咀と中環結ぶスターフェリーの狭いコンコースにしなくとも。香港のヴィクトリアハーバーで観光気分の旅客に有機野菜市といふのが何とも。それに何より此処は香港島の住民には地下鉄まで遠いのが野菜抱へて、が不便。今日は野菜籠携へ蘋果商店。今週中に陋宅もテレビがHDMIつきの高画質になるのでApple TVの小箱購ふ。気温は摂氏33度暑い(でも日本より涼しい)のだが湿度が53%と低く汗もかかず。上環皇后街の熱食中心まで歩き老北方餃子店に飰す。中環のジムで小一時間走る。午後遅くFCCのバーに一酌。晩に金融K嬢からいたゞいた盛岡冷麺飰す。
▼週刊読書人(八月十七日号)で小野野敦と栗原裕一郎が対談で芥川賞について酷評。今回の芥川賞受賞の『冥土めぐり』がつまらないと感じたのはアタシだけではないやうだ。さらに毎回「駄作ばかりが受賞」と。選者も石原慎太郎が抜けたことで余計に「駄作ばかりが受賞」になるだらう、と。御意。また反対に石原が選考委員やめたことで『文学賞メッタ斬り!』(慎太郎批判することが大切な要素であつた)も仮想敵がゐなくなり「ソ連がいなくなって冷戦構造が崩れた」ら面白みが減ることを指摘。「ソ連がなくなってもロシアは残ってるけど宮本輝じゃロシアにならないから」と(笑)。ところで、ふと思つたが『メイドめぐり』なる秋葉原でメイド喫茶めぐりの小説で直木賞だつたら面白いかもしれない。それと台北には「芥川賞」といふマンションあり。台湾師範大学近くの杭州南路にあり人文関係者にはマンション名としていゝの鴨。李登輝総統だって『文藝春秋』愛読してるさうで「芥川賞」の知名度は戦後台湾で高かったのでしょう。そのうち(すでに?)「芥川賞……什么意思?」となるのだらう。
▼SCMPの特集記事で「蘭桂坊」読む。今年12月で蘭桂坊にカフェバー1997が出来て30年の由。1983年にAllan ZemanがバーCalifornia開業してゐるが、蘭桂坊が今のような歓楽街になつたのはこのユダヤ人商人が蘭桂坊のビル買収してCalifornia Entertaiment Bldg.にしてから、でそれまでは昔の六本木や麻布ぢゃないが知る人ぞ知る「大人の遊び場」でひつそりとしてゐたもの。ちなみにこの記事によるとDisco Discoの開業は“1997”より5年前の1978年で、この香港の歴史的ディスコのオーナーはGordon Huthartなる方で(このへんの歴史はSea-ling Cheng“Consuming Places in Hong Kong: Experiencing Lan Kwai Fong”こちらに詳しい)Lane Crawford百貨店の重役でかつ日本のRobert Huthartの末っ子とあり。興味もつて調べるとRobert Huthart(1922〜)は日本の「根付」の世界的蒐集家で、息子のRobertは1950生まれで1997年に逝去してゐる。そのディスコもDD IIとなり確か90年代の前半で閉業してをりYYもなくなつた頃から蘭桂坊は何だかメジャーな歓楽街にありアタシもすつかり足が遠のいた。