農暦六月十六日。Z嬢と晩餐を尖沙咀の菜食印度料理Brantoに飰す。相変はらず商売繁盛。文化中心。雲門舞集が1993年の作品……といふことはもう廿年も前!になるが「九歌」で来港。当時、香港での初演見てゐるので「もういゝかしら」と思つたが鄧達智兄が「經典《九歌》廿年後再現香港舞台,那技巧,那精神定當一番新面貌」と蘋果の連載に書かれてゐて、それが七月廿七日だつたから「もう席もないだらう」と思つたら今日の「とちり」でいえば「り」のまん中がポッカリと2つ空席あり。不思議なもの。ふだんなら招待席。よつてすぐ前列の中央下手に林懷民師、尊顔を拝す。李名覺(こちら)の見事な舞台設計。舞者のなかでは前半の「東君」の女巫演じる黃珮華のいかにも舞踏然とした踊りと後半の雅楽・越天樂を用ひた「雲中君」の葉文榜といふ舞者が出色。雲門舞集の舞台となると客席までが客が雲門チックになつてゐるから空気が違ふ。昨年だつたか見た無垢舞蹈劇場に圧倒されてゐたアタシだが雲門舞集の自然さといふか、演出のかぎりなくストイックさにあらためて林懷民の美学を感じさせられた。