富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2011-06-29

六月廿九日(水)今日も雨歇まず。ジムに寄るも厭ひ帰宅してドライマティーニ二杯。ピーマンの肉詰めなど食し夕食。豪州はVasse Felixの(といふと白葡萄酒の印象強いが)Cab Merlot 08年は値段にしてみればそこ/\自宅での簡単な夕食には合ふかも。三日分の日剰綴り珍しく夜なべしてゐると夜半に雨又た強まり雷雨となる。
▼七月一日の香港特区成立記念日=市民デモの日(笑)前に行政長官・文革曾の低支持率や官僚の体たらくあるものの最早これは慢性化して今年はとくに大きな抗議のアジェンダ無かろうかと思はれてゐたが降つて湧いたのが立法議会の補欠選挙問題。立法会で昨年、政改主張の泛民主派で政府の改革遅延に業を煮やし公民党と社民連の議員五名が五つの各選挙区で辞職(民主党は同調せず、アタシもこれは個人的には反対)で補欠選挙。この五名が返り咲き世論同意とされたが特区政府は投票率の低さと選挙費用浪費、選挙の愚弄といふ理由で議員の(死去や解任を除く)再選狙つた意図的な辞任については補選実施せず落選の議員からの繰り上げ当選(而も死票数による判断で高得票の政党=つまり民主派の野党(笑)に不利が事実)とする案を提示。市民や第三者機関への諮問といつた手続き踏まず親中派御用政党の支持を頼つた無理矢理な改革案に野党ばかりか基本法に抵触ありと弁護士会なども反発*1。北京中央もこの香港政府の強引さに世論乖離と疑問呈し*2香港政府は昨日、この初案引き下げ節操もなく今度は補欠繰り上げは比例代表制の同一政党・議会派の議員からとする修正案を提示(独立単独候補の場合は落選議員の死票による判断)。これで野党や弁護士会などの反発解消、で泛民主派もこの修正案には基本的に同意としつヽ政府の強引な政局誘導には反発崩さず七一遊行に市民参加を、と。何も解決せず。特区政府側のこの補欠選挙案の実質的責任者は政制及內地事務局局長の林瑞麟(林D9)この人。官僚としての力量にかなり疑問多し。だが嗤われつヽ成り上がり、世論の反発承知で今回のこの改革案提示の理由は、次期行政長官の下での体制で林D9が狙ふは行政官トップの政務司。たヾ北京中央の思し召しも人気、実力とも今イチで有力候補の官僚少なからず、こヽは補選改革=親中御用政党有利案をば通すことで自らの評価上げよう、とそれが狙いとそのお粗末さ嗤われるばかり。信報の林行止専欄曰く、今回の補選案のお粗末さは、これが2004年の23条治安立法と対比されるが、後者は基本法に定められた立法で香港政府はそれに則り立法化に挑んだわけで世論の大規模な反発こそあつたものヽ基本的に法制上の問題ななかつたのに対して前者(今回の補選改革案)は「此舉體現了當局為逞一時之快而胡亂逞強,此中除了隱藏着並不足取的報復心態外,亦損害了程序公正的法治基礎」で官僚のお粗末さの暴露。官僚問責制が「相對於有百多年傳統的殖民地文官制,優劣立判,特區港人怎不難堪!」と。まさにその通り。また同紙に「遞補新法成「豬欄效應」 林瑞麟難逃腦殘污名」といふ論評もあり。「豬欄效應」 は林行止氏の持論で2004年のSARS疫禍の際に指摘された民草の誤謬。この年の第2四半期は疫禍影響でマイナス経済で始まつたが結果的に疫禍後に七月には景気復調し「今年の第2四半期は好景気」と認識するやうなもの、で陥り易い誤謬。これを何故に「豬欄效應」 と名付けたか、といへば林氏の綴つた逸話がもと。小作人のあれこれ苦情申し立てに困つた農場主は小作人にそれぞれの家でに数ヶ月の豚の飼育を譲る。小作人は豚欄(豚を育てる柵、豚小屋)設け養豚に精を出したものの一ヶ月もすると養豚の重労働にネを上げ農場主に養豚はもう勘弁、昔のやうにしてくれと願ひ出る。主人はそれを認めてやるが無知な小作人はそれで「養豚をしなくよくなつた」と幸せを感じる、といふ話。今回の補選改革も、もと/\改悪だが修正案が出たことで評価するのは「豬欄效應」と。然り。

*1:比較的支持率安定してゐた律政司(司法長官)の黄仁龍もこの林D9の改革案は基本法に合致と認め法律認識力に疑問投げかけられるオマケつき。

*2:昨日のSCMPが一面で“Liaison Office wants rethink on by-elecctions”と報道。