富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-10-26

十月廿六日(火)早晩にFCCで独飲。FCCが数カ月前に出したハウスワインはチリのカルメネールで、ハウスワインにカルメネールはある面、冒険だと思ふのだが、それなりに飲む客、持ち出しでボトル買ひする客少なからずアタシも今晩の食事会に、と1本贖ふ。結果、HK$100にしては値段に十分に見合ふハウスワインであつた。尖沙咀。最近なんとなくよく往く泰豊廔で知己の面々で涮羊肉。写真家のK女史とは十数年ぶりの再会。ここに綴るも能はぬ款語笑話絶へず。
▼FT紙の一面に“Toshiba uses strong yen to its advantage”といふ記事(こちら)を読み思つたことだが円高には円高のメリットもあり、で岩井俊二監督の映画「スワロウテイル」思ひ出す。「“円”が世界で一番強かった時代。一攫千金を求めて日本にやってきた外国人達は、街を"円都(イェン・タウン)"と呼び、日本人達は住み着いた違法労働者達を"円盗(イェン・タウン)"と呼んで卑しんだ。そんな円都に住む、円盗たちの物語」(ヰキ)。日本の経済の活性化をするには、東京とかこんな円都になつて第三国人がうぢゃ/\、日本で稼いだ円が仕送りでどん/\海外に流れ……しか方法はないのだらう、が果たしてそれを受け入れられるかしら。政府日銀もわけのわからぬ景気対策などするよか外国人がうぢゃ/\の方がずつと現実的。さういへば日曜朝に台南のホテルで見たNHKの「日曜討論」は相変はらず「景気“足踏み”どうする日本企業」とかで「景気を回復、成長させるためには何が必要か」と「経済界の代表と専門家が討論」とするが日本商工会議所会頭、経済同友会副代表幹事、米日経済協議会副会長、東大教授、三菱総研シニアエコノミストが雁首揃へ聞いて馬鹿/\しく呆れる提案ばかり。日本企業の国際化、もつと企業が社員を海外へ……韓国や台湾の企業がすでに済ませてゐることを題目ばかり、でこれで景気回復のしようがあるまひ。入管撤廃で外国人が溢れる楽市楽座にでもする覚悟がないと救はれず。

▼一つ、また「国際化のなかの日本」の悲劇、椿事を耳にする。佐藤さん(仮名)といふ人が香港である資格申請した際に日本の大学から資格証明(英文)用意したら香港の役所から旅券の氏名と異なるので、同一人物である証明を、と求められた。旅券がSATOで、英文の証明書がSATOUだつた由。おそらく大学の在籍学生の記録に名前のローマ字表記はなく、職員がその人の判断で(今どき珍しいが)SATOUにしたのだらう。で香港の役所は表記が違つてゐてもいヽから同一人物である証明を出せ、といはれても日本ではローマ字表記の名前がきちんと登記されてをらぬのだから証明のしやうがない。戸籍なんて馬鹿/\しいものは平気で存在し名前のローマ字表記すらない、なんて悲劇的な国家なのかしら。中国や北朝鮮を哂へぬ。
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