富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-10-27

十月廿七日(水)今朝は摂氏18.2度、明日は17度まで下がる由。香港に寒波襲来で冬服の季節……と半ば冗談で綴るつもりが市中、本当にマフラーやコート姿がゐるから。さういふアタシも寒さ凌ぎに風呂屋に往き垢擦りしようと「擦背」と請へば「茶杯」出され、華姐清湯腩で「腩河!」と符丁に合わせ注文したのに帰りがけにThank you!といはれる……広東語がアタシにはどうしても下手。晩遅く油麻地のChinematheque映画館。22日より香港アジア映画祭。アタシも今日から数本見る予定。ところで東京国際映画祭で「台湾」に中国がイチャモンつけ問題になつてゐるが香港亜州電影節で表記が大陸の映画は「中国」で台湾の映画は「台湾」ってどうよ?今晩見たのは印度映画でRajesh S. Jala監督の“Children of the Pyre”はガンジス河岸で遺体焼き手伝ひ遺体が纏ふサリーなど回収し(或は失敬して)売りさばき糊口を凌ぐ不可触とされた最下層の少年たち主人公にしたドキュメンタリー。良質、だが貧しい少年たちをば主人公にすると巴西のジャン=ピエール・デュレ監督の作品もさうなのだが駄作にならないのも敢へていへば事実だらう。映画跳ね油麻地は廟街を抜ければ極寒に煲仔飯屋に並ぶ輩多し。
▼販売したマンションの階数偽称、売価吊上げですつかり「男を下げた」財閥「恒基」で股神(株の神様)「四叔」こと李兆基に初の男孫、しかも三つ子、と聞けばお目出度いが、49歳になる長男が独身で子宝に恵まれず、次男に生まれた孫は二人とも娘で、その下の娘二人は未婚……四叔はお世継ぎ(当然、男子)の初孫欲しさに無理矢理、この長男の子種を人工授精の「借り腹」で、の強引な男子誕生。万世一系皇位すら、どうなるかで気を揉む国もあるが、香港の、世間から「富仇」とされる財閥だけのことはある、この仕業。欣喜雀躍の四叔は恒基財閥の従業員や懇意とする病院などにHK$33mのご祝儀振る舞ひ。かつては李嘉誠だの、この四叔だのの裸一貫からの成功が、庶民にとつても富商の成功=自らの豊かさゆゑ、香港の経済成長の象徴であつたが昨今は富豪はより富豪になり民草はいつまで経つてもワーキングプア、と経済格差広がり財閥系富豪は「富仇」とさへ詰られ、借り腹までして富家の財産守りたいか、と顰蹙かふばかり。この待望の初男孫も三つ子の三兄弟。三兄弟といへば「新鴻基」財閥は亡父から家督相続の三兄弟の次男と三男が未だ実権握る八旬の老母と組んで長男追放、のまるでギリシア神話シェークスピア、黒澤映画的なる家族の葛藤。長男が昨日だかHK$220億用意できるなら家督放棄、と宣はれる。財閥とはいへ所詮、成金のカネの亡者らの態、ただ/\呆れて言葉もなし。
▼肛交少年(十五歳)不認為自己是性罪行受害人,埋怨老師將事件曝光,認為香港法律保守。法官彭偉昌斥被告較少年年長一倍仍明知故犯(蘋果、こちら)。裁判官は聖職者か……かといへ聖職者といへばお稚児相手の性罪行の醜聞絶へぬが。
▼大衆が法に基づき、愛国的な思いを理性的に表明するように指導し、社会の安定を維持しなければならない。(内陸部での反日デモに対して党中央政府公安担当書記の弁)。何をか言はむ哉。だが中共的には本音中の本音か。

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