四月朔日（木）曇。早晩にハッピーヴァレイ。竹園海鮮飯店。宴会あり末席を汚す。入るなり「ビール？、青島？」と、あー嫌だ、な給仕の慇懃無礼。あれ、さういへば竹園つて麦酒無料ぢやなかつたかしら？と思つたがアタシらよりもつと早い観光客ら青島やサンミゲル飲んでをり「麦酒の無料お振る舞ひ」の掲示もなく「もうなくなつた？」と思つたが酒水のカウンターに昔からの麦酒を入れる硝子壷並ぶので「お振る舞ひは？」と尋ねると「ありますよ」と給仕。たゞ知る客だけ、で新参の客には有料麦酒売つて営業か、と納得。良心的と言はれる店だがアタシも海鮮の単価を「両」や「貫」でそれなりにわかる年頃になり、水槽で海鮮選ぶ際に蝦や車庫など値段尋ねると非地元客相手だから量つてはゐるが「460ドル！」と明らかに言ひ値。「だから両でいくらよ？」なんて単価を尋ねると一寸面倒臭さう。二更に中環経由で東涌線で九龍。圓方商城の映画館で露西亜映画“Stilyagi”（Hipster www.stilyagifilm.ru）見る（監督はValery Todorovsky）。1950年代のモスクワ舞台に米国の頽廢的ポップ文化にイカレた若者たちを主人公に描いた秀逸なるミュージカル。ソ連に不勉強なアタシにはフィクションのやうに思へたがソ連版「太陽族」のやうなこのстилягиが実在とアトで知る。“стиляги”は"stylish"の意味で“a derogatory appellation for the members of a youth subculture that existed from the late 1940s until the early 1960s in the Soviet Union”の意。ストーリーは共産主義ソ連で反体制的な不良の「グローイングアップ」だが音楽が見事。ロックンロール、ジャズ、そしてソ連の体制社会を描く青年共産主義同盟の場面ではまるでピンクフロイドのThe Wallのやう。たゞの若者映画でなくソ連社会を生きる大人たちの本音など描写、社会風刺も秀逸。それにしても多少の濡れ場、それに若者が性行為のテキストにするアラビアの春画が露骨といへば露骨だが春画に過ぎぬ。その程度でこの映画が成人指定とは……。
▼「男童肛交案同志囚四年」と聊か蘋果日報的な見出しだが信報の記事。三十歳の男色者が同志網で知り合つた14歳の少年に「援交」持ちかけられHK$400で性行為発生。裁判では少年が網上「等錢使，可提供收費性服務」と云はば広告出し金銭授与前提に合意の上に性行為がなされた点、しかも判明したで六名の客相手、も争点となつたがまだ真つ当な判断の出来ぬ（が援交は出来る？）14歳の少年で、被告には少なからず性伴侶がをり性的感染を防ぐ安全な措置（避妊具、否、妊娠はせぬから安全套使用か）を怠り成人が少年相手に性行為に及んだことで有罪。信報が指摘するのは刑事罪行條例（第118條C）で21歳以下の男子相手の同性で「肛交」は違法。そこでこの裁判でも少年が同意しようがしまひが有罪。ちなみに女相手でも「肛交は」21歳以下が相方だと違法。それが通常の（つてヒトの性行為に正常も異常もないが）陰道交だと合法年齢は16歳。男同志之間卻別無他選、と信報の指摘は、16歳の女子だと自分の性行為を決定出来るが21歳以下の男子は出来ぬのか、の不公平。性行為のうち刑法が肛交に特化してゐること、また、よく云はれることだが英国法に準拠なので女王陛下の国でレズは扱はず男色だけ、等々考へるとゐろ／＼興味深いこと少なからず。
▼朝日のオピニオン欄で「日本再生」の特集。吉川尚宏なる御仁が「大阪を「香港」に」と提唱。商都大阪に法人税減税、就労ビザ取得の容易などで外国企業誘致……と面白さうだが何より英語が通じること、と香港には中国といふ巨大市場が背後にあること、海運、空輸の地理的利便性。大阪（あるいは日本）にはそれが欠けるから大阪の香港化など無理。またこの吉川なる方のおつしやる
中国は大規模な改革開放をイギリス領だった香港から学んだ。あの巨大な国全体を一気に変えることはできない。「一国二制度」を掲げ、香港や香港に学んだ地域を各地が競って追いかけるようにして、今の経済発展を実現した。
とするが香港を持ち上げ過ぎだらう。中国の改革開放は別に香港に学んだものに非ず。一党独裁の経済統制国家が突然、政府指導で資本主義導入は先例なし。香港は云はばその出島。香港（に限らず資本主義の先進地域）に学んだのは会計や生産管理、流通のノウハウだけ。あとは中国の自力。それで香港を企業上場や外為で上手く利用してゐるに過ぎぬ。
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