富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

De helaasheid der dingen

fookpaktsuen2010-03-31

三月卅一日(水)晴。朝いつもよりかなり遅く納豆と海味噌、白魚といふ朝餉に米飯多く喰らひ昼は腹も空かぬまゝ夕方天后の華姐清湯腩に腩河を食す。これだけの有名店でも一人/\の客をば大切にする態度に敬服。店の隅に安楽椅子出して休む華姐の貫禄はまるで健次のオリュウノオバ。太古城のUA映画館で白耳義映画“De helaasheid der dingen”(The Misfortunates)見る。白耳義であるとか和蘭の大人社会の非道、破廉恥だけ期待してゐたのだがFelix van Groeningen監督のそれは白耳義の田舎町で失業、精神疾患、アル中といつた完全にイカレてしまつた家族と周囲の友人たちの世界。そこをそこで育つ13歳の少年(Kenneth Vanbaeden)の目を通して、通過儀礼的なさまざまな出来事で物語が進む。秀逸。ベルギーで中上健次の世界。イカレてても人生あり、だよな、と。成熟した資本主義社会の末路として破綻、格差、労働貧困といつた問題があるにせよ、ベルギーでも紐育でもリスボンでも同じやうな物語が出来るわけで東京も本来、さうした物語性があるやうな気がするのだが。最近さうした映画は見てゐない気がする。みんながケータイの画面を弄んでゐるだけだから物語にもならないの鴨。
▼香港の平均寿命は男性が79.8歳は氷洲(80.4歳)、女性が86.1歳が日本(86.5歳)に次ぎいづれも世界第二位。2030年には人口の25%が60歳以上の超高齢化社会になるさうな。それにしても日本のやうな健康志向社会ならまだしも、こんな大気汚染、噪音、狭い住宅環境といつた都市でどうして長寿なのかしら。環境の悪いなかで鍛へられた結果か。

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