富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-08-03

八月三日(月)天気不安定。摂氏卅五度の無風。さすがにアタシも陋宅で冷房つける。
▼水泳の古橋廣之進氏逝去。
終戦後のヒーローだった。うちひしがれた国民に生きる希望を与えたのは、並木路子の「リンゴの唄」と、古橋廣之進さんの活躍だ。
朝日新聞社会面。「うちひしがれた国民に生きる希望を与へたのは、並木路子の「リンゴの唄」……」つて、もう止しませうよ、かういふベタな表現。「リンゴの唄」が実は当時より後になつて終戦当時の代表歌とされたといふのがすでに定説。富士山の飛魚の活躍に欣喜雀躍があつたのは事実としても、この記事の文章一つとつても当時を知らぬ記者が「さうであらう」印象で書いた雰囲気が拭へない。
▼(前述の)さういふ記事に対してフィリピンのアキノ元大統領逝去で朝日新聞で前亜細亜総局長の柴田直治氏の文章が歯に衣を着せず骨太。「富豪の家に生まれ貧富の格差に鈍感」で少数の富裕層による富の寡占は解消されず農地改革も進まず、とNY Times紙ですら負の側面は触れぬアキノ女史の負の側面を指摘。柴田氏が直接、アキノ女史の実家の一族による巨大な農園経営についての質問をすると時間切れとして会見打ち切つた由。結局、民主化に大きな動きがありアキノ政権が誕生したものゝマルコスといふ田中角栄型の振興権力から旧財閥系の支配層に権力が戻つた政変でもあつたのだ、といふことを判らせる。

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