富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-08-04

八月四日(火)アタシのMacBook Airが発熱して唸ること屡々。薄型のノートブックだし熱中症に罹りやすいとは思ひつゝ「あんまり」なんでApple社代理の診療所へ。診察は予約制。朝十時の予約で五分前には来なさい、と。で往くと診察は午前十一時から、と案内あり。八月朔日から改めました、と。昨日予約の際にご丁寧に確認の返信メールまで自動で届いてゐてそりやないよ。で暫くすると職員出勤で事情話しメール見せると「あらら……」でネットの予約システムが未改定なのに気づいてゐなかつた模様。先方のミスで此方は早く来たんだから、と担当者が来たら診察します、と待合室に通される。冷凍庫のやうな寒さに辟易。MacBook Air取り出し使ひ始めると寒さには強く唸りもせず厳寒下に本体は冷たいまゝ。担当者に事情説明すると発熱はあつてもさうねんぢゆう唸るなら検査入院勧められる。今日は其処迄。その足で銅鑼湾のヰンザーハウス。せめてもの措置でPCの下に敷く冷却盤購ふ。それするだけでやはり唸りは失せる。やはりアタシの冷房なし生活は地球温暖化でPCには酷かも。ライカ扱ふ店でM8.2がもうHK$35千。ほんとデジカメの値崩れ甚だし。同じ値段で良品のM3の中古が並んでゐるんだから。早晩にZ嬢と観塘。雲南風味に夕餉。紅油抄手、夫婦肺片を肴に雲南麦酒飲み米線食す。観塘の役場の建物に大きく建国60周年祝賀のネオン。つくづく「香港も中国だねぇ」とそのネオンサインの「字体とデザインに」さう思ふ。観塘だから業界団体など親中派の土共の仕業だらう。香港で中共肝いりで台湾の中国統一を実現促す「中国和平統一促進会香港総会」なるものが七月末に発足し行政長官・文革曽ら出席し中共代表らと中台統一に向け香港も協力の由。阿Q精神。彩虹へ往く。美しが丘のやうな無意味な驛名の「彩る虹」は陳腐。牛池湾なんだから牛池湾でよからうに。牛池湾の市民ホールでピアノ三重奏の演奏会あり参観。提琴の陳宇曦(Moses Chan)とセロの黄梓韜(Wong Tsz To)といふ二人とも拔萃男書院(Diocesan Boys' School)の学生で、つまり先月見た映画「音楽人生」の主人公・奇才KJ君の後輩で提琴は18歳で中学六年、セロは弱冠16歳だから拔萃の学生オケのメンバーとしてKJの映画にも出てゐたのだらう。その二人の弦に新西蘭でピアノ学んだ恐らく20代後半くらゐの連思詠(Wendy Lin)と云ふ地場のピアニスト。だからてつきりPerry So君やKJ君など香港の若い音楽家が注目される中で拔萃の秀才二人のお披露目、と思つてゐたがピアノのWendy Linが主催で自分のピアノ発表は本来ならピアノ独奏にしたいが、そこまで集客するほどぢやないので香港ジュニアオケの指導で面識のあつた二人に声をかけて集客も多少期待して……とさういふところだらう、多分。知り合ひコンサートの雰囲気。それはそれで好し。知り合ひでもないのに行くアタシらが余程の好事家。Johan Halvorsen(ヨハン=ハルヴォルセン、1864〜1935)のヘンデルの主題によるパツサカリア(Passacaglia)ト短調は「提琴とヴィオラのための」だがこれを提琴とセロで演奏はまだ/\「をさらひ」といふレベル。ピアノが入りベートーヴェンピアノ三重奏曲五番ニ長調(幽霊)Op.70-1はこれもあらためてベートーヴェンは上手く演奏できると素晴らしいが、それがいかに難しいか、伎倆の問題でなくその楽曲への姿勢からして対峙が難しいか、と思ふ。これがアルゲリッチマイスキーフレイレだつたりすると神の世界なんだが、「合はせただけ」だと大変なことになつてしまふ。中入後はショパンポロネーズで作品40の2とあつたので、てつきりピアノ独奏か、と思つたらこれも三重奏に編曲。さういつたものもあるのね、でも第二楽章でピアノが崩れて数小節どこか明後日の方を彷徨つて戻つてきた。最後はアレンスキーのピアノ三重奏曲第一番ニ短調。今晩の演奏ではこれが最良。但し第三楽章のアダージョは彼らにはまだ/\難しい。だがベートーヴェンに比べアレンスキーのこれはZ嬢に言はせれば「フレーズを大きな音で弾けばそれなりの曲に聴こえるから」様になるのは事実。颱風接近で夜半に八號警報発令。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/