富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-10-04

十月四日(土)昨晩深更に寝ても未明には目覚めメール開ければ門司のK先生より某商社元専務でかつて香港でお世話になつたN氏逝去と報せあり。大阪でのご葬儀に弔電打つ。ここ数年、NTTのD-Mailなる電報を手配すること年に幾度。知己の方々の逝去とともに早朝の弔電送る我が身に熟く老い感じるばかり。海南島辺りから上陸の台風は右旋回で香港直撃との予報が急に遅々として進まず強さもかなり弱まり薄日さす好天。午前中、元朗に出向く。日系某企業の工場見学の機会あり参観。昼過ぎ同行の方々を深井の裕記焼鵝飯店にお連れする。深井の焼鵝も数年に一度だと嬉しいがこゝ最近は鳥渡、食傷気味。さういへば数週間後にまた再訪のはず。当方団体客にも拘らず慇懃なる給仕の見事さ。裕記の隣の鄭記士多。単なる小物屋で隣の大店の客相手に果物だの粗末な玩具売る小店、だが侮れず。レア物のトミカのミニカーだのあり店内には真空管アンプで音楽流す酔狂な主人が営む。裕記に食せし蔡瀾氏が路上に一服の際に好奇心旺盛でこの士多(ストア)に入り主人の煎れるミルクティーの美味さ讃めたが、その値段、なんとHK$70とおそらく香港一の高値。で主人のレシピのこの牛乳紅茶はさう売れる筈もなし。本日この小店に入り女将にミルクティー注文すると「なんで知つてるのよ?」とそりやメニューどころか張り紙もなし。「新聞で読んだ」と告げると出てきたのはペットボトル詰めのHK$24の普及茶?で、これでも充分に濃厚で確かに美味い。すると主人が「ミルクコーヒーが少しあるから飲んでくれ」とお椀で供され賞味。これも独特のコクあり。酔狂な主人に酔狂な日本人と好意もたれたのか、新聞での紹介だの店内に飾られた書画だのさんざん見せられる。午後遅く湾仔まで戻り一浴し香港芸術中心。本日『≒草間彌生〜わたし大好き〜』の上映初日。14:30からの初回は如何だつたのかしら、そりゃ「この映画が観たい」と芸術中心の館長・畏友A君に請ひ「何かあれば手伝ふから」と言つたが事緒、制作元プロダクションとのやりとりを徹底的に手伝ひ今日の上映に至つたのだから。で手伝ひの報酬にギャラなしで招待券だけいただき17:30の上映見る。六、七分の入場あれば御の字と思つてゐたが結局、198人収容のホールで空席ほんの数席の満員御礼。自分が香港で観たいと思つたのがこんなことになり、そりや嬉しい。スクリーンでそりや草間彌生は素晴らしい存在だが草間スタヂオが舞台であるから畏友T君と、昨秋に香港での草間彌生の展覧で知遇得た同スタヂオのF嬢も幾度もスクリーンに登場。一つのことに精進する人たちの天晴れ。唯々敬服するばかり。昼の食事で晩に至れど一向に空腹感ないまゝ。夕餉とらず。
▼NTTの電報サーヴィス。電報配達完了メールは有料。しかも800円。電報配達完了を電報配達で知らせるなら有料でも納得だがメールでの返信で800円とは……。

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