富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十月五日(日)台風は低気圧とあり香港近くに滞り依然天気不安定。朝から雨。本日予定のトレイル(沙田凹〜城門水塘)昨晩のうちに中止決定は結果的に正解。大雨のなかジムに出向き昼にかけて久々に有酸素運動と筋力運動を各一時間。午後薄曇り。T氏より宴会の招飲を受け晩に湾仔酔瓊樓に向ふ。夕方から復た天気崩れ大雨。酔瓊樓が微妙に湾仔と銅鑼湾の間のため地下鉄站出てからの雨を厭ひバスで出向いたが結果的にこれが失敗。炮台山で渋滞となり銅鑼湾まで地下鉄なら二站間遅々として進まず小一時間要す。大雨で渋滞の上、道路工事で一車線減、故障車ありと悪条件重なつたが偶然乗り合はせた路線バスの運転手の機転利かぬこと甚だしく他のバス車輌が渋滞のなか機敏に路線やタイミングを見て少しでも進むなか牛歩モード。銅鑼湾に辿り着いても客は一刻も早く下車したいところ駐停車禁止で内側路線なら運転手が安全優先で客を落車させぬのもまだ解るが状況が状況ゆゑ直近の、他の路線バス停留所でも一先づ急ぐ客を降ろせば良からうものを、それが出来ぬものだから数名の客が抗議(当然!)。宴会には一時間以上の遅れ必至でT氏に電話し詫びて欠席。雨は依然歇まづ握り寿司でも購ひ帰宅して食さうと太古城のジャスコに寄れば握りの折詰めは三文魚(サーモン)が最低で三つ、三文魚だけ8つの一人前なんて気色悪いものもあり、三文魚避けた結果、助六と納豆巻といふ悲しさよ。
▼昨日の朝日新聞に作家堀田善衞氏の終戦食後の上海での日記見つかつた、と記事あり。今月の神奈川近代文学館での堀田善衞展で展示され来月には集英社より 「堀田善衞上海日記滬上天下一九四五』として刊行の由。この六段組みの記事でも紹介されてをらぬが堀田氏には当時の上海の様子描いた『上海』といふ小説あり(『上海にて』とは別)。余はこれを二十数年前何処だつたか古書肆で購ふ。一読し終戦から混乱の上海を独特の筆致で描いた内容に興味持ち幾つか質問あり堀田氏にお手紙出せばすぐに返事いただく。ご本人にとつても遠い過去の作品を若い方に読んでいただき、と謝辞にこそばゆい思ひ。それから長寿全うされ1989年に九旬でご逝去。
▼Financial Times(10月1日)でJohn Kay氏の“Why pain is good - in both medicine and finance”金融危機のなかの清涼剤、といふか記事の題からして鎮痛剤。而も文章が「いかにも英語らしい」筆致。声に出して読みたい英語、とでも言はうか。
Pain has been described as the gift no one wants. There cannot be a single reader who has not, at some time, wished not to experience pain. But we are better off with the capacity to suffer pain than without it. A few people are born with a genetic deficiency that leaves them completely free of pain. They rarely survive to adult life. Leprosy has for thousands of years been the most dreaded disease. Only in the 20th century was it realised that the disfigurement was not the result of the illness itself but of inadvertent injuries caused to soft tissues by damaged nerve endings that did not allow the sufferer to register pain.

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