農歴六月初五。小暑。雨空。鬱陶しい天気に外を歩く気にもなれず新装ジャスコで食材購ひ早晩早々に帰宅してドライマティーニ一飲。「活鶏」の販売再開で北角で嘉美鶏を購へたので水炊きを食す。朝日と日本、カメラ雑誌七月号読む。日本カメラで「写真家を目指す人に送る12のメッセージ」連載中の写真家金村修氏の筆致が見事。七月号は「ファインダーは没入するやうに覗け!」と吠えるが具体的な写真上達のテクニックなど何も書かれてをらず。晩年の淀川長治氏が病院でDVDを間近で食ひ入るやうに眺めてゐた話など面白い。要するに写真撮影の上手な人などいくらでもゐるわけで、写真以上にその人の個性の有無、が一流の写真家になれるかどうか、なのだらう。ライカ遣ひでは飯田鉄、神立尚紀、両氏など失礼だが写真の上手い下手を通り越して写真家としての存在だけで素敵である。ところで何が驚いた、つて日本カメラと朝日カメラ両誌に連載をもつ人気書き手のチヨートク先生。七月号はいづれもニコンについて書いてをり「伊丹空港で出会つた、偶然話しかけてきた伊藤忠の若手」のことなど同じネタ使つてのオキテ破り。チヨートク先生くらゐになると、それも許されるか。ところで、ジャスコで買物の際におちあつたZ嬢に「ねぇ、Boseのイヤフォン、見せてよ」と笑はれる。えつ、買つたの言つてないのに?と思つたがMTRのホームでBoseのこの広告を見た由。で、これをアタシに教へてやらう、と思つたさうな。だが、その瞬間「買つてないわけがない」と察したさうで、教へてあげよう、なんて思つた自分が情けない、と。御意。
▼国家副主席習近平の訪港。この人の父は中共の幹部であつた習仲勲が右派として下放され近平も16歳より6年をそれに従ひ大学卒業後に地方幹部からの叩き上げ。昨年末の十七大で中央委員飛び越しての政局委員への大抜擢。党内順位は胡錦涛、呉邦國、温家宝らに続く第6位、上級者は全て四年後の十八大で引退なら58歳の習近平が胡錦涛を襲ふのはまづ間違ひなし。多少叩けば埃の出るところは福建省幹部時代に福州長楽空港建設で破格規模で経費浪費、福州市再開発で李嘉誠財閥への過大協力、部下の汚職と海外逃亡など。800億元脱税でカナダに亡命中の頼昌星主犯の遠華密輸事件では直接の関与はないとされるが立場的に遠からず近からずの位置にあり。まぁこの程度のことは政治家にとつては些細なこと。(以上、信報より) で習副主席の香港探訪。紅磡の団地に住まふ若い家族を訪れ「坊や、いくつ?」と習副主席に尋ねられた子どもが思はず「爺爺您好!」と緊張か、お手本通りに答へてしまふのはご愛嬌。蘋果日報で尊子の4コマ漫画(こちら)はこれを受け習副主席が「ハハハ、偉い/\、将来有望だな」と子どもを誉め、裏で控へる文革曽に副主席曰く「尋ねられた質問と違ふ答へ!とは立派。林瑞麟が退職したら、あの子を後任にしろよ」と。林瑞麟(林D8)は香港政府の法制事務局長、香港特区政府の北京中央への順応ぶりで立法会やマスコミが非難し特区政府で矢面に立たされるのがこの林D8なり。次に訪問した何文田のいかにも土共系老人の家庭では副主席より贅沢な茶器を贈呈されたが、この老人、訪問後に記者らに茶器を見せる最中に興奮したのか茶碗を一つ落として割つてしまひ衝動甚だし。何かと話題多し。ところでこれも信報の記事だが「香港政府高官の誰が習近平伝を読んだか?」と。先日、香港立法会議員の四川地震被害地訪問で遂に中国入境が期待された立法会議員「長毛」梁國雄君、出発直前で四川省当局から入境許可おりず渡航断念。空港で記者団に対して付帯の旅行鞄を開け「どこに政治活動の品々がある?」と身の潔白?見せてゐたが、信報の記事曰く「長毛の旅行鞄の中に最近出版された「習近平伝」あり」。長毛君がいかに政治的センスに優れるか、政府高官の誰がどれだけこの傳記を読んでゐる?、と。御意。
▼洞爺湖サミット開幕。本来はこぢんまりした首脳会議だつたがG7+ロシアに加へ中国、韓国元首やアフリカ諸国首脳が招かれる程の大規模なる催事。四国や九州からの警察の動員2万人余。……で地球温暖化が主要議題、ならこのサミット開催こそ「地球に優しくない」のが事実。もう国連活動に収斂されていいのでは? テロ襲撃が危険視されるなら各国首脳が一同に介せずSkypeで会議すれば良し。会場からほど遠き農牧地帯で120名のサミット反対デモにデモ参加者上回る数の警官が防備。異常。
▼信報が社説で「結果早知、何解一錯再錯?」と陳方安生議員の立法会再出馬辞退を詰る。昨年の彼女の立候補の際に立候補辞退を提案の信報であつたが当選から八ヶ月、一定の役目は果たした、と議員引退し今後も政治政策提言の活動は続ける、と、彼女の姿勢にいつたいどれだけの有効性があるのか、と疑問呈す。SCMP紙は彼女の役割に一定の評価で好意的と好対照。
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