四月五日(土)小春日和が午後になり雲ひとつなき青空。すつかり夏のやう。なのにアタシは終日ご公務。この週末で終はる香港国際映画祭(第1部)も今年は20本弱看た程度。忙しかつた所為もあるが看たい映画多からず。晩に映画帰りのZ嬢と北角の寿司加藤に食す。
▼週刊文春(4月10日号)に「子供4人が死亡 謎のインフルエンザ香港を浸食す!」と大袈裟な記事あり。「中国の厄介」得意とするジャーナリスト・富坂聰氏による1頁モノは「渾身スクープワイド」と銘打つが噂話に毛の生えた程度、といふか噂話にマジックで陰毛を書いた程度。ネタ元は「北京の政府機関の元職員」と「北京で貿易会社を経営する会社オーナー」、それに「香港在住の日本人」の三人。インフルエンザが原因で死亡した数名の子どものことに簡単に触れたあと、
いま『香港に出張する』っていうと、みなから『大丈夫か?』って心配されるんだよ。香港でインフルエンザが爆発的に広がっていることはみな知っている。北京じゃ、ちょっとした騒ぎになっているからね。やっぱり、五年前のSARSの悪夢が誰の頭からも離れないだなって改めて感じたね。(北京で貿易会社を経営する会社オーナー)
大人への被害がまだほとんどない状況なので、街全体は比較的落ち着いているのですが、問題はやっぱり感染の拡大スピードが異様なほど速かったこと。そして原因が今一つはっきりしていないことですね。(香港在住の日本人)
香港では三月十二日、香港政府が全地域の幼稚園と小学校をすべて強制的に二週間閉鎖する命令を出した。三月三十一日には再開されましたが、香港では地下鉄の中で誰かが咳をするとたちまち周囲の人が口を押さえるほどの神経質。SARSのときのような大きな問題にならなければよいのですが……。(北京の政府機関の元職員)
香港のあらゆる薬局に、マスクが山のように積まれている。(前述の香港在住日本人)
……と。まぁ呆れるばかり。当然のやうに死亡した乳幼児が免疫系虚弱体質であつたことは触れられず、WHOが報告したやうに通常の季節性のインフルエンザなのに「爆発的」だとか「異様なほど速い感染スピード」と言葉ばかり踊り、教育局はイースターの長期休暇(2週間)を2日早めただけなのに強制的閉鎖とされ、「地下鉄の中で誰かが咳をするとたちまち周囲の人が口を押さへ」「薬局にマスクが山積み」とまぁ書きたい放題(笑)。これがインフルエンザの猛威で死亡者相次げば記事として良かつたが、さうもならず、最後は前述の北京の会社オーナーの
労働問題に雪害、テロ、少数民族問題……。オリンピックイヤーというこの年に限って、何でこんなに次々と問題が起きるのか。本当に嫌な空気が漂い始めている。
と「何となく不安」でまとめてしまつた。落とし所としては無難?だが、現実にはオリンピックイヤーに直接関係あるのは「この機に応じ」の少数民族問題だけ。インフルエンザは季節性のもの、労働問題は中国では恒常化の構造問題、雪害は自然災害でテロは具体的に何を指すのかしら。三月十三日前後の新聞の香港特派員が台湾総統選挙取材中に書いた与太記事にも呆れたが國意たる天下の文藝春秋もこの程度とは……。
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