二月十七日(日)昨晩は綺堂劇評『ランプのもとで』のうち岡本経一による補遺読了(完)。経一氏による補遺は文士劇に関する記述など面白い。綺堂の著作出版のための青蛙房の、きちんとした装丁も見事。奥付の著者の検印も今では見られぬ作法。昨晩早寝のはずが眠れませんモードに入つてしまひ脂汗でびつしよりになりまんじりともせぬまま朝の五時すぎ。大丈夫かしら。少し暖かに感じる気温摂氏13度。昨年の香港マラソンが気温摂氏24度、湿度95%の悪条件と思へば幸ひ。地下鉄で尖沙咀に向へばすでにレース終へた10Kのランナーたちが天后で少なからず乗車。七時前に尖沙咀。インターコンチネンタルホテルにお泊まりのT君夫妻応援に来てくれる。07:45にフルマラソン開始。10kmくらひまではまぁ大丈夫だつたが睡眠不足がたたり身体が凍えたまま7分/kmで青馬大橋。汀九橋の折り返しで「もう止めようか」と思つたが幸ひ陽がさして身体も温まり多くのランナーが復路で暑さと疲労でペースダウンするなかアタシは寧ろ6分/kmとアタシにしては快調で着々と(ほんとはそんな「はしたない」ことはしたくなかつたが)前走者を抜き始め、結果、復路でなんと760人も抜いて(いちいち3人抜いた、1人に抜かされた、と数へてゐるだけ余裕があるなら、もつと早く走れ、と言はれさうだが)手許の時計で4時間44分で完走。ここ2年、5時間台であつたが、父の余命幾許かと心配しながら走つた3年前の初マラソンとほぼ同タイム。アタシのやうな「小学校から中学まで体育は5段階評価で万年2」にしては立派なもの。ゴールが今年は銅鑼湾のLockhart Roadを走り抜けてヴィクトリア公園。何人か知人の応援受けこそばゆい思ひ。按摩に寄り帰宅。滋養のためヴランデー数杯。無理して走つた結果(本番前の走り込みが足りないのだから当然だが)疲労が腰にきてしまひ杖をついて早晩に銅鑼湾鵝頸橋の韓国料理「郷村」。所属するランニングクラブの香港マラソン打ち上げで末席を汚す(フルに16名、ハーフに6名、10Kに2名が同会より出場と盛況)。足腰も痛むが疲れで悪寒甚だし。湯たんぽ用意して午後九時に臥寝。Y嬢より借りた村上春樹『走ることについて語るときに僕の語る事』少し読む。
▼ダウジョーンズ株のインサイダー取引きの廉で米国当局と約10億円の示談で片づけた李Baby國寶・東亜銀行主席(旭日中綬章受賞者)が香港政府行政会議の職を辞任(立法会議員職(銀行界)は続任の意向)。祖籍は広東省鶴山。祖父の李冠春が東亜銀行創設、父・李福善は英国領香港での行政局、立法曲議員。叔父には李福善(香港司法重鎮)、李福兆(香港証券取引所の元主席)、李福深(香港ジョッキークラブ初の華人主席)がをり甥の李國能は香港特区最終裁裁判長(現任)。香港金融界の大立者、とんだ汚点だが、02年には廖創興銀行の社主・廖ファミリーのお嬢様と巴里で浮気現場をスクープされ六旬でまだまだお盛んなところ見せる。弟の李國章は香港中文大学の医学部部長から学長、で香港政府の教育統籌局長に抜擢されたが教育改革での強引さが祟り実質的な更迭が昨年の話。兄弟して災難だが身から出た錆。
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