富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-10-25

十月廿五日(木)老人にとつて早起きで楽しみは新聞の朝刊くらゐ。今朝、誤配で日経が届く。小泉文夫教授相変はらず食欲旺盛で地鶏の唐揚げ。後ほど朝日も届きテレビ欄で日経と朝日が同じドラマ「おいしいごはん」(テレ朝)紹介コラムあり。リストラで失業中の春日井新平、朝日(画像左)では(徳重聡=写真左から2人目)とあり、徳重聡が若いのになかなか味のある老け役ぶり、で「その父親で春日井米店社長・良平」は(渡哲也=同3人目)。米屋の社長・良平はどうやらトランスジェンダー、渡哲也さんが女装役に挑戦か、と。それに比べ日経は写真の下に役者名を置いて実に見やすい、「なんだ渡哲也さんが女装ぢやなくて藤原紀香か」合点したが、よくよく見ると写真の左下に心霊写真の如く子役がゐて確かに朝日の言ふ通り徳重聡は左から2人目で渡哲也は同3人目。
▼今春に全国一斉で文科省が一大事業と実施の全国学力テストの結果公表。あれだけ大々的にやつて「この程度の成果か」と嗤はれる。小学校も中学校も秋田と福井の好成績が目立ち青森、岩手、山形、富山など東北、北陸が善戦。東京に比べ大阪の成績悪しく沖縄は最下位。いろいろな分析あらうが偏見込み、で見ると
・アタシの印象では秋田と福井の人が他に比べ頭が良い、とはとくに印象がない。ただし両県とも「吹奏楽でも全国トップクラス」……ともう数十年前の話で秋田市立山王中学が今、吹奏楽で全国のどのレベルか知らないが、吹奏楽とか学校コーラスとか。音楽的才能が学習能力に関係がある、のではない。もしかすると「上位狙ひ」が組織的に好き、上手、慣れてゐる、といつたことがないかしら。スポーツ成績とかも見ると面白いかも。今回の学力テストも「インチキをした」のではなく「全国トップクラスを狙はう」といふ集団心理が子どもから教師にまであつた成果、として。
・東北と北陸。寒いし冬は勉強でもせねば、やることねぇ……ではなくて民度の高さは推して知るべし。田舎と一言で片づけられやすいが「都会から」引つ越してみると初めてわかること。
・四国四県での香川の独走。先日、山を歩いてゐてN氏が減量のため炭水化物摂取を控へたら太らないが頭の回転がかなり遅くなり炭水化物の摂取が「脳の体力」に大切、と、まるで「ためしてガッテン」のやうなことをおつしやつてゐたが、香川県といへば讃岐うどん。うどんを食べることで炭水化物摂取が充分で脳の発育に影響してゐる。……四国で香川の高学力を説明できる理由はこれ。ところで高知県、とくに中学の低スコアが目立つ。中学になると勉強しなくなる理由は……などと考へると、だいたい「みんな漁に出るからか」などと云ふとセンスのない偏見を考へる人も少なくなからうが、アタシの印象では高知の人といふのは(勝手な印象だが)高校、大学といはゆるエリートコースで進学する人といふのは極端で(それがビジネスであれ学界であれ出世できる大物が多い)その極端に勉強のできる人(実際、ガリ勉タイプでなくても)とそれ以外の人の「たかだか数字に現れる格差」は大きいのではないか、と思ふ。それにこんな「全国学力テスト」など「おまんさん、このどだいあやかしゐテストぢやか」といふやうな感覚とかね。
・沖縄の全国最下位。学力が低いのに非ず。学力テストなどどうでもいい。沖縄に続くブービーの北海道も然り。数十年前の話だが沖縄返還後に英検も沖縄の合格率圧倒的に低く「米軍基地もあんなにあつてなぜ?」とヤマトンチューは勝手に訝しがつたが、実際に英語が自然に使へる点では沖縄はダントツ。「国語」など「話し言葉、書き言葉としての日本語」とは異なるもの。どうでもよい。大阪も北海道とどつこいどつこい。商売で読み書き算盤ができればよろしおますがな。こんな学力テストで成績の良い大阪、なんてむしろつまらない。
▼数日前の朝日新聞に「都市への思ひ共有を」と題し建築家安藤忠雄氏提唱の東京駅周辺に「歴史の回廊」案あり。東京駅が辰野金吾設計の原型に複され日本橋覆ふ高速道路が地下に潜らされ八重洲口の三菱一号館も再建されるなら中央郵便局も保存するなどで都市の歴史的建築を保存し「歴史の回廊」を持たうぢやないか、と。ご指摘ご尤も。だが<近代の帝都>が例へば伯林のやうに残存してゐたならまだしも敢へて再建といふのは些か胡散臭くないかしら。日本橋も高速道路が跨ぐ姿は無惨。だが東京オリンピック前夜、あの計画が実行されたのは「日本橋の美観より都市交通網の充実」といふ政策が支持されたから、で日本橋を(それもお江戸日本橋の木造橋ぢやなくて明治の近代橋)高速道路に跨がせてしまつたのは、それはそれで高度経済成長のエネルギーであり、それが「歴史的モニュメント」であり「美しい」と指摘してゐたのは荒木経惟氏だつたか……。
一党独裁国家シンガポールで昨日、国会で「異性相手のフェラチオとアナルセックスの合法化」可決。今どき「なによ、これ?」のさすが七十年代にはジュリーこと沢田研二も入国できなかつた長髪禁止、の国家。「異性相手のフェラチオとアナルセックスの合法化」は、つまり「同性愛性交は已然、非合法」といふこと。人民行動党が国会の圧倒的大多数占め国会審議では常に政府提案が必ず賛成多数となる(さういふ意味では反対票もそこそこある中国以上にひどい)シンガポールだが、さすがに「同性愛の非刑事化」の可否は与党議員からも非刑事化求める声が少なからず採決の際に不満の声も声上げる議員ゐた由。「李光耀の息子」首相は「シンガポールは「男婚女嫁、生兒育女」が社会通念の保守的な社会で同性愛が主流とはならぬ。もちろん同性愛者にとつてシンガポールでも同志ネットやゲイバーなど彼らが社会生活を行ふ上での個人の自由は尊重されてゐる。ただしある程度それが制限されてゐるだけ」と宣ふ。それでゐて同性愛者の消費力の旺盛さにはちやんと着目しシドニーバンコクに続け、と環太平洋州のゲイの集会をシンガポールで開催するなどのPink Dollar獲得には躍起。このへんがシンガポール政府の強かさなり。

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