六月十六日(土)目覚ましはかけずに寝ても朝六時には目覚めてしまう。新聞も四紙に一通り目を通しANAの『翼の王国』という機内誌を手にとる。旅先舞台にした連載小説みたいので「香港のジェイド」って香港舞台の恋物語。サエキマヲという書き手。尖沙咀と中環を舞台に誰でも知ってるホテルや有名店の名前ずらり、で「なんクリ」みたいであるが1980年の「なんクリ」が(田中康夫のこの後世に残る唯一の文学作品として)当時の世相や消費に頼る文化の有り様を語ってみせたのに比べ、今さら香港舞台にブランド小説でもあるまい。二週間ぶり?の快晴。裏山に入ると澤を落つる水音に心洗われる思い。トレイルコースに入るといく條もの石清水が流れ走っていても澤の音は途切れることなし。これで大雨が続かず水も少し涸れれば蛍がたくさん現われるかしら。パーカー山のいく條ものその湧き水がすべて寄せられ引水路に吸い込まれてゆくのだが、その引水路は付近の物好きな住人らの洗濯場。それにしても今日は水の嵩が大き過ぎると思うのだがオバサンは何食わぬ顔で洗濯。帰宅。昼に天后の華姐清湯?で牛?河粉食す。肩凝りひどく按摩。午後、九龍薮用。夕方、九龍湾でMTRに乗るとランニングクラブで旧知のO氏とばったり邂逅。観塘のAMPなるショッピングセンターのジャスコに食料品の買い出しの由。日本の豆腐のうち木綿豆腐は香港ではあまり売れぬのか最近は入荷しておらぬそうな。枝豆と冷奴が主食のようなO氏には辛いところか。ちょっとビールの一杯でも、という話で観塘でO氏と下車。観塘の雑多な旧市街ならどこでもビールが飲めるがAMPに入るとパブのようなものない健全さで、仕方ないから味千拉麺で餃子一皿でも頼んでビール飲むしかないか、と思ったがアルコール販売のライセンスが取れておらぬようで羅馬羅馬なる伊式料理屋のカウンターでカルスバーグ一杯。O氏の話では広東省の何処だったか工業都市のホテルではレストランが閑古鳥の鳴く晩のビュッフェは食べ放題に加えアルコール含む飲み放題で68元だそうな。菊正宗の一升瓶までありO氏は先日、6人だか付近の工場に従事する日本人の知人集めて此処で宴会。レストランには予め「日本人の客を連れてくるから」と言っておいたおかげで鮪の刺身まで出て菊正宗を一升空けてしまっても6人で420元。香港なら下手したら一人分。帰宅。豚汁。少しアルコールのリハビリ。疲れが溜まっていて晩10時には早々に臥床。
▼The Economist誌のApple社特集記事読んでいて思ったのだがマイクロソフトのヰンドウズが市場席捲する前の1984年に、当時はIBMという巨人が立ちはだかっていたのだが、1984年の米国のスーパーボウルのテレビ中継のスポット広告でApple社が広告を打ち、その広告のキャッチコピーが“think different”であったという記述あり、思わず当時を彷彿。あたしが当時、コンピューター界のFerrariのようだっがMac機を初めて普通に使っている人を見たのは音楽スタジオでの作曲家の水谷公生さん。普通の「うち」にさりげなくMacが置いてあったのは当時、安全地帯のレコーディングミキサーをしていたM氏の自宅で、であった。あたしが最初に手に入れたMacは香港で1992年だかにノートブックの100で、それからデスクトップとノートブックで8台くらい買い替えて現在に至る。マイクロソフトのヰンドウズがすべてに関して大嫌い。“think different”というキャッチコピーはまさに、だからあたしはずっとMacなのかもしれない。
富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/