富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-10-28

十月廿八日(土)朝早く起き知己より送られた彷書月刊今年三月号特集「アドニスの杯」複写で読む。午前、Z嬢と西營盤の西區社區中心の古い洋館を借りて香港史料展示続ける長春社文化古蹟資源中心に「香港交通百年歴史展覧」参観。主に市街電車(トラム)、スターフェリー、啓徳空港の変遷などの写真多く展示あり。1950年代まで九龍湾方面まったく市街などない荒涼の地を背景にした啓徳空港。スターフェリーは来月12日だかに香港島側の波止場が更に沖合埋立地に移り現在の波止場も余命幾許か、でこの展示はタイムリー。西灣正街の老舗、聯華茶餐庁に昼を食す。Z嬢と別れ上環の港澳埠頭。フェリーで午後、マカオ。今月三度目。薮用あり。マカオでは澳門文化中心の広場にて日本文化祭なる催事ありマカオ特別行政区の行政長官・何厚?君、カジノ王Stanley Ho君ら(このお二方、本晩の霍英東逝去をすでに知るや知らずや)来賓として参列。余は行政長官自身よりもその象徴としての自動車のほうに興味あり。晩に香港戻り。同行の方数名と久々に寿司加藤に夜食。
▼霍英東逝去。享年83歳。1923年香港の蛋家(水上に暮す)に生まれ幼名は霍官泰。幼くして苦学するが皇仁書院に学び何鴻?(Stanley Ho)は同学。日本軍による占領期は苦力などして戦後、母親と細々と船運業営むが朝鮮戦争勃発で中共国内に物資?運で一獲千金。50年代より地産、マカオでのStanley Hoと組んでの賭場経営など事業広げ親中派財界人として(英米政府からは容共派としてブラックリストに載り事業妨害工作などもあり)中国の開放経済政策始まると中国の国内投資にも積極的で1979年の広州白天鵝賓館(White Swan Hotel)開業はその象徴的事業。1986年には董建華の海運会社・東方海外航運の倒産危機にHK$10億投資し救済、88年全人代常委、93年全国政協副主席。息子、孫の代では新聞雑誌のゴシップ欄賑わわせる輩ばかり。マカオの賭場については02年に利益配分巡り内輪もめあり霍英東は手を引く。
▼舞踏家の大野一雄先生百歳長壽。吉田秀和文化勲章受賞。朝日新聞の「音楽展望」も年四回で再開の由。文化功労者高倉健も75歳と年とるのは当然だろうが同じく功労者に選ばれた神谷町が78歳で、中村芝翫高倉健がわずか3歳しか違わない、という事実がどこか不思議。方や昔から老け役でかたやいつまでもヒーローゆゑ。
▼昨日紐育時報が中国で上海の党政府高官に端を発した汚職摘発が全国政協主席賈慶林に至ると報道(こちら)。85〜96年の福建省での省長、省党書記時代の収賄絡みの由。江沢民人脈の出世頭の一人。北京市長、北京市党書記、党中央政治局常委と要職昇り詰めての政協主席。党政府で胡錦濤国家主席)、呉邦國(全人代委員長、実権なし)、温家宝(首相)に続き第四位の地位にあり(第五位が国家副主席の曽慶紅)。汚職捜査は賈慶林の他、北京市党書記の劉淇などに及ぶと言う。
▼安倍三世の内閣は結局、ご本人は静かな姿勢見せるが結局は五奉行首相補佐官)が首相の分身の如く非核三原則であるとか歴史認識であるとかの見直し図る。鵺の如し。
篠沢秀夫『だから皇室は大切なのです』なんて出版の草思社が元フィナンシャルタイムズ北京支局長James Kynge著という『中国が世界をメチャクチャにする』なんて題で書籍出版。原著の題は“China Shakes the World: A Titan's Rise and Troubled Future - and the Challenge for America”で『中国が世界を揺るがす』であり米国との覇権争いなどがテーマのはず。出版社がいい加減な邦題で反中感煽って本を売る呆れた商魂。
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