富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-10-18

十月十八日(水)早晩にフェリーで一路、マカオ。来るたびに(って十日前も来ていたが)ラスベガス資本のカジノだのの開業あり。今日は確かマカオ一高層の38階だかGalaxyだか云うカジノ&リゾートが正式開業。ちなみにマカオの経済成長はStanley Ho氏によるマカオのカジノ寡占解禁決めた2002年にラスベガス資本の大手カジノの参入決まり、この年のマカオGDP成長率は10.1%、翌年は14.2%でラスベガス系賭場開場の04年には雇用増加などで28.3%を記録。05年も6.7%と安定成長続け今後数年の間にマカオでカジノ開設に投下される資金はHK$200億という。今晩はFestival Internacional de Musica de Macauで坂本龍一とビデオ、電子音楽作家のアルヴァ=ノトによる insen の公演あり。このマカオ公演のあと山口大阪、東京と公演続き十一月初めに再び香港に戻る。日本では7,350円の入場料とるのがマカオでは入場無料。しかも場所はマカオ世界遺産の一つ「大砲台」Fortaleza do Monte(モンテの砦)の野外特設ステージ。これは今様に言えば「ロハス的」で凄いこと鴨。で十一月の香港公演のチケット入手していたが、このマカオ国際音楽祭の無料コンサート毎年いくつも企画され市民を無料招待というセンスの良さ、で坂本龍一がモンテの砦となれば「行ってみようか、どうしようか」だったが坂本龍一好きのK嬢に「香港のチケットが入手できないがどうにかならないか?」と尋ねられ「マカオがありますよ」と言うと「行きたい」と切望されたので「坂本龍一についてはマンネリのコード進行に厳しい」Z嬢含む六人で、のマカオ行き。新馬路でバスを降りて缶麦酒と牛肉乾なんて購いモンテの砦へ。ストイックに、ただただストイックにピアノに向う、教授。insen という、今回のアルヴァ=ノトとの共演、あのピアノの演奏なら「アタクシだって弾ける」のだが余が弾いたところで誰も見向きもせず。坂本龍一であるから齢五旬も半ば、うな垂れた頭べから白髪の髪がサラッと風に靡くだけで「すてき……」と女性ファンにため息つかせるのだから立派。あのテの現代音楽は正直言ってアタシにはわからない。アルヴァ=ノトのビデオアートも然り。無料で屋外であるから開演に押し寄せた観衆のうち三分の一くらいが演奏途中で「こりゃわからねぇや」と退散したのも事実。それでいいのだろう。あれは「わかる人にしかわからない」。最初は観衆の頭と肩の隙間からステージが垣間見られるか見られぬか、であったのが後半はかなり寛いで好きな人だけが楽しんでいた様子。一切MCもなしでストイックぶりの教授、二度のアンコールで最後には「戦メリ」のコード進行が延々続き「戦メリ」のフレーズをちょいと用いた曲で客も多くが口遊む。あたしゃ個人的には7,350円出すか?と言われたら、答えは「いいえ」。寧ろ、このラスベガス系などカジノに囲まれた、このモンテの砦で無料で市民にこの音楽空間が開放されることに今様に言えば「ロハス的に」意味があるはず。屋外会場で「教授を一目見たい」というK嬢に「きっとリスボアホテルのサウナ行ったら教授が按摩してるかもよ」なんて軽口たたきながらモンテの砦あとにする。ちょいとあやしい「かすみ」という名前の日式お好み焼き屋など旧市街にあり。ただ帰りのフェリーの時間との兼ね合いもあり「ひとまずフェリー埠頭まで行き伊太利料理屋でパスタでも軽く」でタクシーで埠頭に行きタクシー止めようとすると運転手に「何処に行くんだ?」と言われ「えっ、あそこの伊太利料理屋」と指さすと真っ暗。「引っ越したぞ」と運転手。そういえば十日前、偶然に媽閣(Templo de A-M?)に近い裏道、といっても世界遺産街道なのだが、にこのイタリア料理屋あり「儲けて分店まで出したよ」と思っていたら其処が移転先。マカオフェリー埠頭の向い、年に一度しか使われぬマカオグランプリの建物の一角は「鄙びた場所」で賃貸も安かったのだろうが今のマカオの好景気では其処も家賃高騰かと察す。で深夜23時のフェリーの出発まで小一時間、今更市街に戻る余裕もなく「フェリーターミナルの茶餐庁」で寂しく夜食済ます。香港に深夜戻る。

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