富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-06-15

六月十五日(木)昨晩は西班牙の対ウクライナ快勝に続きチュニジア対サウジの引き分け見事に的中しドイツのポーランド戦も続き三串四このW杯で初めて的中。ここまでW杯17試合で外したのはわずか3試合(それも日本の惨敗、Trinidad対瑞典仏蘭西瑞西の引き分け2試合)で勝率82.4%とは全くの蹴球知らずにしては上出来。試合毎の賭けは2次リーグまで、でけっこうイケる鴨。バンコクからY氏来港あり晩に知人らで銅鑼湾の韓国料理・郷村に食す。胃の具合芳しからず生欠伸と油汗あり。帰宅せばW杯エクアドルコスタリカ戦の後半でエクアドル快勝。躍るようにボールが次から次へと蹴飛ばされる中南米の蹴球の面白さ。ボールをためてじっと考え込むが如き先日の日本の蹴球とは大違い。
▼昨日、青木保教授のこと綴りしは青木氏の非難に非ず。実は青木氏が記事にて紹介の韓国の「文化憲章」をば紹介のつもりがつい青木氏に関する言及に終わる(笑)。であらためて韓国の文化勲章について。青木氏の紹介の順を辿れば昨年十月にユネスコで「文化表現の多様性と擁護と推進」条約は賛成多数で採択されたが実際の批准はカナダとモーリシャスのみ。伝統文化や先住民・少数民族の文化消滅の危機に対する危機感と、もう一つは仏蘭西など強い意志は現代の消費・大衆文化の世界的広がり、具体的には米国の大衆文化侵入への歯止め。前者には賛成多いが後者には日本なども実はアニメやゲームソフトでは米国と同じ穴の狢の大衆文化輸出国。その状況の中で注目すべきが韓国の文化政策の基本となる「文化憲章」今年五月二十一日(この日はユネスコの「文化多様性の日」当日)発表。青木教授によると「文化は人間が人間らしく生きてゆくための基礎である」という前文に続き十三条の条文が続き第一条に基本権利として「文化的権利は市民の基本的権利である。すべての市民は不当な検閲、監視、脅威に苦しめられない権利、思想と表現の自由を積極的に実現する権利、この土の上のいかなる場所でも品位ある生を営む権利を有する」と謳われ、これは日本を除く東アジア初の(って、他に北朝鮮と中国しかないが、あ、それに台湾、は国家ぢゃない?)「文化の自由」宣言だそうな。この憲章、民間の制定委員会が作り政府は内容に一切干渉せずに支援、そしてこの憲章を承認。これがホントだとしたら教育基本法改正や個人情報保護法など改「正」に向け邁進する日本に比べどれだけ健全なことか。この第一条の立派なこと。但しちょっと気になるのは、この韓国の「文化憲章」が(当然、朝鮮語での表現は多少異なるのだろうが)googleで検索しても一つもヒットしないこと。青木先生が書いているくらいであるから何処かで紹介されていそうなものだが……ちょっと不思議。
▼史上最強の与党議席数ながら実際には郵政民営化以外に何もせず(結局、小泉三世という人が昔から「郵政民営化」以外に何もない人なのだが)空白国会も終焉迎え、小泉メールマガジンも「小泉之乱」のまとめに入る。今日(第238号)は「5周年記念号」で5年の治世を振り返る小泉三世インタビューは読みたい暇人だけ読めば良いので紹介もせぬが、それに続き安倍某が初代編集長として登場し結局言いたいところは「編集長であると同時に政治家・安倍晋三としての意見も随分言わせていただき」とポスト小泉の嫡流が自分である、ということの強調。でここまでは驚きもせぬが特別寄稿に「脱「二項対立」ということ」と村上龍
二項対立を煽るのはおもに大手既成メディアで、その最たるものは「内閣を巡る世論調査項目」だ。「あなたは小泉内閣を支持しますか」という問いは、「郵政民営化は支持するが対アジア外交は支持できない」というような人を最初から無視している。この内閣メールマガジンが、日本社会に刷り込まれた「二項対立」という罠から脱却するための推進剤となることを期待している。
と小泉三世に対して村上龍は「限りなく共鳴に近い部類」で御用作家ぶり丸出し。
▼香港鼠楽園の経営責任者がついに“We are slightly behind our attendance figures. But our product is very seasonal. A lot is riding on this time period”と目標入場者数に達しておらぬこと認める発言。「入場者数は季節の変動があるので」と嘯くが、この雨多き時期から猛暑にかけどうして入場者数が増えようか。来月三つ遊技施設啓用もあり九月開園一周年迄に年間入場者数五百六十万人に少しでも届こうかと起死回生、最期の足掻き。入場者数が目標に達せぬ場合、銀行団も融資の早期返済の協議に入る見込みもあり。
▼SCMP紙の報道で香港の銀行がコスト削減の支店数減少、年寄りや障害者に不便、と記事あり。2001年末に1,405行あったものが2006年3月末で1,202行に減少。それでも「やっぱり香港は銀行が多い」と一瞬、思う。香港に旅行に来ての最初の印象の一つが「銀行が多い」わけで、この数字に「やっぱり」と思う。だがこういう認識がだいたい誤解、というか根拠のない誤信のことは多々あり。香港の人口が700万人とするとこの1,202行は銀行1支店あたり5,824人の人口。これを日本と比較すると(全国銀行協会に電話で問い合わせたら)05年9月で日本全国の銀行の本支店数は12,166行(さすが全国銀行協会なので「日本長期信用銀行新生銀行として、それにあおぞら銀行も含んでの数字です」と細かい)で日本は銀行本支店1行あたり10,439人。これを見ると香港は倍近い。が、東京都で見ると4年前の数字で現在は統廃合で少なくなってはいるが2,875行で人口換算すると1行あたり4,390人で香港より東京のほうがずっと銀行が多い。だが香港は「銀行が多い」。そうでないと観光ガイドがバスの車窓から「ほら、香港は日本よりずっと銀行が多いでしょう。世界で一番、銀行が多い」とネタにならぬ。
▼SCMP紙の報道で、いかにも田舎娘数名が検挙され自動小銃突きつけられるの図。記事の見出しには“100 police held for shielding drug trafficker”とあり、こんな田舎娘らが、而もよく見れば赤児抱いた母までが麻薬密輸か、そりゃこの罪状じゃ死刑の国であるから検挙でも自動小銃で狙われても不思議でなし、と驚くが、写真のキャプションよく見れば“Pirates under the gun”で雲南省昆明海賊版CDを路上で売っていた女性らが検挙されたもの。海賊版CD売買の普及は中国の悪しさの最たるものだが、まさに“Pirates under the gun”は驚き。田舎娘らにしてみれば貧困で食うにも食えぬインフレ。せめてもの収入確保と海賊版CDの路上での売買。それで自動小銃で威嚇されるのもまた怖い話。

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