富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-06-16

六月十六日(金)晩にHappy Valleyの益新飯店に食す。編集者S嬢(日経Galleryとか)とのふとした会話から十年ぶりに羽仁未央さんと羽仁さんのAsia Channelにて映像の制作するH氏と会食という話になりZ嬢も羽仁さんらに十年ぶりで再会して五人で晩餐。「益新の昔の店は行ったことがある」で、そりゃ利舞台(Lee Theatre)どころかLockhart Rdの鵝頸橋のところの店、という話になるくらい古い面子。羽仁さんとは十年ぶりであるが劉健威や蔡瀾といった人の随筆にしばしば登場で何処で何をされているのか、誰と何を食べたか、まで知っている、と笑う。かなり興味深き話様々。新嘉坡のRoyston Tan監督の2003年の映画“15”のことは羽仁さんに尋ねれば深く状況知れると思っていたが案の定でRoyston Tan監督の新作“4:30”が“15”のどういう延長戦上にあるのか、今晩話していて自分なりに理解。また“15”に登場する少年たちの荒ぶれの凄さは中上健次の物語に通じることとか。Col D'orciaとViti ColtoriのRipassoなる伊太利の赤葡萄酒二本。確かに粤菜に合う銘柄。物語尽きずHappy Valleyの芸人など鳩まるスノッブなワインバーの路地の奥にある隠れ家的バー(いまだに名前知らず、で前回数年前にDragon Ashの事務所社長のK氏夫妻と行ったっきり)に移り智利のSanta Andreaなる葡萄酒の杯を傾け物語ること深夜二時近くに至る。羽仁さんには、高校生の頃に羽仁さんのお爺さんの著作で目覚めた余でるし、この「ゑぶ」の最初に掲げた「真理がわれらを自由にする」の銘とて国立国会図書館法のこれは羽仁五郎氏の言葉。ぶっちゃけた話でアジアでどう生きるのか、何を若い人たちに遺せるのか、といろいろ考える晩となる。この時間にHappy Valleyの街市や図書館、室内運動場のあるcomplexに煌々と明り灯り窓は冷房で曇る。夜中に清掃だの内装工事する筈もなくたんにバカな電力の浪費はあきらか。
▼本日まで五日に渡り信報の林行止専欄に「河豚計画與当方以色列」という連載あり。戦前に日本がナチスユダヤ人迫害に目をつけユダヤ人を満州に集め「ユダヤ人特別自治州」建設という、所謂「河豚計画」について。この計画は日本の対米戦争の開始の頃には頓挫し実際にユダヤ人の多くがアジアでは上海の租界に集まりし事は周知の事実。と同時に香港のユダヤ人のことにつき林行止氏の言及あり。香港島西の薄扶林の香港大学医学部あるSasoon Rd(沙宣道)に名を遺すはDavid Sasoonなるユダヤ人で1833年バグダッド離れインドのムンバイにてSasoon Ltd.興し1844年に香港にも出店。薄扶林の土地所有す。阿片貿易にて在を成し上海の華懋飯店(現在の和平飯店北楼)や華懋公寓(現在の錦江飯店北楼)などこの家族の経営。同じくSilaz Aaron Hardoonもバグダッド出身のユダヤ人。香港で著名なるKadoorie家もイラク系のユダヤ人にて先先代(現在のSir Michael Kadoorieの祖父)1880年ムンバイ経て香港に参り15歳でSasoonの会社に働き始め頭角現わしSasoonの主人より香港ドル100元借りて自ら会社興し香港と上海にて手広く商う。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/