富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-06-12

六月十二日(月)まだ雨。昨晩はメキシコがイラン破りセルビアでの負けを回収。と思ったら粗忽にもセルビア和蘭でHomeとAwayを間違えて賭けており和蘭に賭け結果的に配当あり。これも勝ちは勝ちということで(固い試合が続いているが)外したのはTrinidadと瑞典の引き分けだけで八分の七の勝率。蘋果日報朝刊一面トップはステーキ連鎖店「?王之王」経営者の妻が自殺未遂。この妻は元台湾の女優、夫が?王之王など経営するが妻も会社の人事など担当しており夫が店の宣伝のためと巴士阿叔雇用を決めたことに反対し夫婦間の確執あり睡眠薬飲んで、の自殺未遂。巴士阿叔自身は?王之王店内で暴漢に殴る蹴るの暴行受けて三日で勤務中止。?王之王の経営者も妻の自殺未遂受けて巴士阿叔の解雇決めた、と。ワイドショー的に話題は尽きず。早晩にタクシーで湾仔皇后大道東より金鐘に抜ければHennessy Roadに消防、警察の自動車並び警官交通整理に大わらわ。何かと思えば香港警察前の歩道橋の屋根に壮年の男数名が上がり何やら抗議叫びHennessy Roadは地面に飛び降り救命用の空気マットなど敷き西行きの車線全面封鎖。昏時の交通量多き時間帯にて湾仔界隈かなりの渋滞混雑。聞けば大陸生まれの子女の香港居留権不准に抗議のデモで街頭デモのなか興奮した数名が歩道橋屋根に登りたる由。その居留権なき子女のその数七千人に及ぶといふ。今晩在港邦人の殆どがW杯の豪州対日本戦参観か。晩に尖沙咀歩くとNathan Roadはやはり心なしか人出が少なく思われ重慶マンションの前にいつもなら数多く屯するバングラディシュ以西アフリカまでの人々も人影なし。SARS以来のその人の消えた街並み、自動車の窓から眺めるばかりでシャッターチャンス逃す。観塘にあるapmなる商場など連夜のW杯中継客寄せに用いて九日からの三日間で120万人の人出とか(多少眉唾)。自動車も渋滞殆どなく順調に車は走る。ホンハムの海底トンネルもガラガラ(画像は極端な至近距離運転であらためて、怖いが)。香港島がさらに自動車の流れ少なきは前述の、湾仔での抗議での道路封鎖で渋滞警戒か皆が通行避けた由。帰宅せば後半開始15分後で日本が1対0で先攻。こりゃ先日あたくしがサムライブルーをば「ブルーな侍、で山田洋次『隠し剣鬼の爪』の永瀬正敏演じる陰鬱な侍のイメージ。そりゃこの片桐宗蔵は最後の最後で秘伝隠し剣鬼の爪で敵を討つのだが、つまり無得点で最後の最後で1点入れて、がこの筋で、先取点など挙げてしまってはいけない」と評した先攻だね、大丈夫?と思ったが後半も残り10分ほどで少し安心せど豪州のフリーキックをば2度、ゴールキーパー川口君が止めた際に(余はサッカーをしたことはほとんど皆無だが)選手があれほど喜ぶを見て「あら、こりゃナントカの悲劇の再来になりゃせぬか」と一瞬、不安に思ったら、あの結果。余も愛国心ゆゑ日本勝利にかなり賭けており火傷。「まだ次がある」なんて言っておれず宿敵米国倒すべくCzechと伊太利に希望託し少しでも回収を願う。朝日週刊百科『人間国宝』集の「歌舞伎女形」の特集、朝日新聞の知人より送られ受領し一読。成駒屋の大檀那、梅幸二人の故人に京屋と神谷町の女形四人特集す。巻頭からの大檀那の壮麗なる写真に数々の舞台思いだし涙腺も緩む。が頁捲れば梅幸道成寺で一頁大の大写しに言葉もなし。撮影の吉田千秋氏のコメントに道成寺の支度中の楽屋での撮影に「支度が出来た梅幸にカメラを向けたら「こんなポーズでどうだい」と扇子を口元に持っていった。『道成寺』にこんな振付はなかったと気づいたのは最近のこと」と(笑)。梅幸らしさを吉田氏が見事に綴る。確かに道成寺にしてはひどいポーズ、も梅幸らしさか。
▼香港では連日の雨空が台湾では記録的豪雨で阿里山の日の降雨量が400mm超え観測史上最高を記録。かたや中国華北では記録的な黄砂が舞い北京の街中も敦煌の寺院も砂の中。砂といえば安部公房、雨といえば台湾の蔡明亮の世界。
蘋果日報に日本酒特集の記事あり。蔡瀾先生曰く「香港人は日本酒の銘柄も知らなければ飲み方も知らない」と指摘するが、蔡瀾先生も「日本酒には特級、一級、二級という格付けがあって……」と、1992年には撤廃されているのに……。

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