富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2005-12-02

十二月二日(金)晴。朦霧。中環は粗呆地区の外れも牛記に近いArt Statements Galleryなる画廊に立ち寄ればJerome Maigretという人の“I don't want Andy Warhol to be dead”なる作品が目に入る。すでに他界したAndy Warholの紐育の住所宛に手紙を出す。それが宛先人不明で戻ってくる。香港や中国など各地からそれを続け戻ってきた封筒をいくつも並べて展示している、とそれだけだが。早晩にFCCモルト酒のGlenmorangieの試飲会あり訪れる。Glenmorangieの10年、18年、ポート樽熟成、同じくシェリー、マディラ。昨年の今頃だったかSCMP紙がこの酒の輸入商と共催した時の30年ものまで出てきた試飲会には驚かされたが。飲み比べというのは贅沢。至福。Glenmorangieの18年物は香港だとHK$1,000だそうな。日本では9,000円くらいのはず。試飲でちょっといい気持ちで帰宅。惚け防止に、と始めたSudokuであったがついに帰宅途中にSCMP紙と蘋果日報Sudokuが終わるほどに上達してしまった。帰宅してテレビつけると今度は栃木県の7歳の女の子が茨城の山中で殺され遺体となって発見される。子どもを狙った殺人も恐いが、それ以上に昔なら「ほんと外国は危ないわねぇ」とそれに比べ日本の安全に安堵していたのが日本なら今度はこういう社会になると世相が恐い。こういった病理的犯罪を防ぐには本当なら個人の精神的な自立、判断力や理性とか、つまり個人の確立と大人の社会の存在が大切なのだが、個の確立がないとこういった社会病理が出てきた時に「大人の社会」どころか寧ろ規則や監視で縛った、個の確立と共存からは全く逆の社会になりそうで恐い。いずれにせよ社会は病んでいる。親子丼。菊正宗一合。居間に積んであった雑誌何冊も目を通しとりあえず必要な記事だけ破いて整理。スプリングバンク10年物を飲む。春に父が亡くなった時、父の霊前に置く純米酒を買いに行った酒屋が実は北関東では知る人ぞ知るモルト酒の豊富な店で、そこで買ってきた春に託つけてのスプリングバンクの最後を飲み干す。

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