十一月四日(金)晴。週刊文春「この人の一週間」で競馬評論家の井崎脩五郎氏。実際は多忙極めるのだろうがさらりとした筆致が実にいい。飲食の「具合」もさすが。諸事忙殺され晩に至る。帰宅して平野レミ女史のレシピの韮鍋。SCMP紙開くとSudokuあり。「やってはいけない」と思ったがNHKのニュース9ではプロ野球で楽天問題のオーナー会議などてれてれ報道?しているしSudoku始めれば初めて難度4完成。時間かけてじっくりやれば高難度のSudokuもいつかは解けるのだろうが嵌ってしまい何も他に出来なくなるを恐れ個人的ルールとして数字の重複が出てしまったらゲームオーバーとしており、これまで難度3迄しか解けず。雑事片づけ三更に至る。
▼三笠宮寛仁殿下が女性女系天皇容認について異議述べる(自ら会長務める福祉団体の機関誌にて)。皇族のこの発言は自由だが「2665年間の世界に類を見ない我が国固有の歴史と伝統」「万世一系、125代の天子様の皇統」「神話の時代の時代の初代・神武天皇から連綿として一度の例外も無く、「男系」で今上陛下迄続いて来ているという厳然たる事実」「神武天皇のY1染色体が継続して現在の皇室全員に繋がっている」といった皇国観に驚きを感じ得ず。「万世一系の天子様」の存在を大切にして来てくれた歴史上の事実とその伝統があるが故に、現在でも大多数の人々は、「日本国の中心」「最も古い家系」「日本人の原型」として(略)「天子様」を敬って下さっている、と。更に国民を、我が国を形成する「民草」の一員として、2665年の歴史と伝統に対しきちんと意見を持ち発言をして戴かなければ、日本という、「国体」の変更に向かうことになりますし、いつの日か、「天皇」はいらないという議論に迄発展するでしょう、とまで言及。女性女系天皇容認への賛否への言及は自由だが、この皇国史観、神武帝からの史実化、天皇の天子扱い、国民を民草と呼び国体の擁護、天皇制反対の議論への憂慮……。皇族のなかに、まだこんな思考があったのか、とあらためて驚く。神武帝の実在を「事実」と皇族が述べれば「つくる会」の教科書も次回の改訂では既成事実だろうか。この「天子様」観は先帝の「人間宣言」に反する恐れもあり「日本人の原型」と殿下は述べるが今上陛下が述べられた通り朝鮮との王族と我が国の皇室の絡みもあり。また梅原猛先生がこの「日本人の原型」などと聞いたらどう反論されることか。歴史学者として父宮がこの殿下の発言と歴史観をばどう感じるだろうか(晩のニュースに宮中にて文化功労者などのお茶会あり陛下の横に九旬にてお元気そうな三笠宮崇仁親王殿下の姿あり)。陛下のご心中や如何に。女性女系については別として皇族のこの発言にさぞやお心苦しいのではあるまいか。
▼築地のH君が、この「万世一系」について、寧ろわが国古来の伝統からいえば、実子相続なんてのは本来けして必須に非ず。男子がいなければ、また家督相続させるに値しなければ、武士だって芸人だって、みんな養子。家思想の核心は法人格としての「イエ」の存続であって血統的な連続などはほとんど意味がない、と。確かに。保守思想の倒錯。寧ろ系図を保存して血統の嫡流にこだわるのは孔子家や韓国の族譜にみられるような「支那的儒教的な発想」かも。日本書紀とて大陸の王朝意識しての我が国の固有の歴史の創造。じつは「日本の伝統」にこだわる人ほど「漢心」にとらわれていたりもする。
▼宮中のお茶会といへば招かれた長嶋茂雄さん。リハビリ中で黒の運動靴には朱色で「3」の数字。「3」という数字で長嶋さんは何が言いたかったのか。最初ふと思ったのは朝鮮の「三韓」。百済、高句麗、新羅に陛下の皇室と朝鮮の王族のゆかり発言を思い出すが長嶋さんとは関係ない。「さんかん」といえば「三冠」だろう。で「三畏」だ。論語に「君主有三畏、畏天命、畏大人、畏聖人之言」とあり。長嶋さんは大人か、いや、長嶋茂雄の言を以てすれば難解さには「君主もそれを畏れる」かも。
▼訪米中の東京都知事某はワシントンの米戦略国際問題研究所で講演。「戦争は生命の消耗戦。生命に対する価値観が全くない中国は憂いもなしに戦争を始めることができる」と発言し米国については「生命を尊重する、そういう価値にこだわる市民社会をもつ米国は勝てないと思う」との危機感を示し「中国に対して講じるべき手段は経済による封じ込めだと思う」と指摘。それにしても中国の悪口言う前に考えなければならないのは、「憂い」もなく対中、対米戦争始め「生命に対する価値観」や「生命の尊重」なく天皇陛下万歳を叫びながら特攻隊で死んでいったのはどこの国家か、と言うこと。パレスチナ解放闘争の歴史の中で岡本公三君ら日本赤軍3兵士のリッダ空港決起以前には「帰還を前提としない作戦は皆無」だったという。つまり歴史的には「自爆攻撃」もイスラム圏に根拠があるのではなく明らかに赤軍兵士の「カミカゼ・アタック」が出発点。築地のH君の指摘。9−11のときには本多勝一さえを含め「カミカゼと自爆テロはまったく違う」と熱心に主張する向きもあったそうだが、精神論は別にしても技術論として近代戦に自爆攻撃をもちこんだのは神風特攻隊なのは明らか。
▼先日逝去の中国の資本家・栄毅仁氏(元国家副主席)の告別式が北京で挙行され(昨日)国家主席(中共総書記)胡錦涛君も参列。孫文夫人の宋慶齢に続き二人目の非共産党員の国家主席と言われていたが新華社が弔報にて1985年7月1日(中共成立64周年記念の日)に秘密裏に中共に入党、と伝える。すでに20年。死後ようやく事実が公開されたが逝去の直後「栄毅仁同志」と呼ばれていた理由もこれで明らか。告別式は北京の八寶山革命公墓にて挙行され中共政府は胡錦涛以下9名の中央政治局常委全員が参列し萬里、朱鎔基など元老も姿見せるが李鵬の姿がなかったといふ。