八月廿四日(火)朝刊トップにマラソンの野口選手の金メダル。朝日の社会面にゴールでの野口選手とコーチの言葉にならない感動のスキンシップ劇的に語られるを読み何も言葉もなし。日本よりアジアフォーラム横浜のご一行が日本侵略時の香港歴史の学習旅行に来られ和仁廉夫さん同行。本日この香港島ツアーに参加させていただき香港在住ながら恥ずかしくも勉強不足補ふ。和仁さんに加え郷土歴史家の畏友高添強君も説明役で参加。また香港索償協会主席の呉溢興氏(写真)も午前中同行される。実に十三年ぶりだかで尊顔に拝す。この香港索償協会は香港を日本軍占領期に香港ドルが強制的に軍票に交換させられ戦後も換金しないのは不当として賠償を求めており99年には日本で日本政府相手に総額約七億六千万円の補償を求め提訴。「反日」団体の如く見られもするが実際には不当事についての賠償求めているだけで過去の歴史は正しく見つめ日本人とも友好的に平和を願っていこう、と呉さんの言葉。バスでHappy Valleyの香港紅毛墳場(外国人墓地)にある日本人墓地。日本人の墓の多くはかつて掃桿埔にあった日本人斎場(火葬場と墓地あり)より移したものだが、その一角から離れたところに位置する日本人の墓(写真)は高君の説明により1918年のHappy Valleyの競馬場での大火で亡くなった、競馬場内で屋台営む夫婦の墓だと知る。高氏からこの墓地に隣接のParsee墓地についても説明あり。パールシーはペルシアのゾロアスター教徒でイスラム教による迫害逃れ印度に移住、ボンベイ中心に中国貿易に携り香港にも定着。銅鑼灣のLeighton Roadにゾロアスター教会所有のビルあるが香港大学開校に尽力し尖沙咀のMody道の名前の由来となったMody家、灣仔の公立病院の名に残るRuttonjee家などがパールシー。駐車場の料金支払いはShroffといふ由来は同じパールシーのShroff家であることなど内容見事な極楽とんぼHP(こちら)で知る。墓地から黄泥涌道上り黄泥涌峡。陽明山荘向かいの峠(図)。難攻不落の地、日本軍が「五叉路」と呼んだ場所。トレイルなどで何度も通るこの場所に1941年の12月、九龍側より侵攻する日本軍と戦ったカナダ軍の軍薬庫の跡あることに今まで気づかず。ジャーディン山の登り口近い高射砲砲台跡。黄泥涌峡道のガソリンスタンド裏にあるカナダ軍最後の攻防地、ローソン准将殉死の跡地(写真)。カナダ軍は英国軍欧州戦役あり十分な兵力をば香港に回せず大英連邦としてカナダ軍が来港。兵隊がまず来港し戦車だの武器弾薬届かぬうちに日本軍の攻撃受け鉄砲の撃ち方すら満足に知らぬ十代のカナダ軍兵士らが戦死。また負傷兵の救援活動に従事の民間の聖ジョン救助隊に参加せし香港の地元の十代の若者ら迄も日本軍に殺されたのがこの場所。ここからわずか五百米に満たぬ場所に現在の日本人学校あり。昼に赤柱に参りかつて中環(現在の中国銀行ビル)の軍施設を解体移転したMurray House見学。一度食事したことあるが建物に弾痕いくつもあること高氏の説明。現在は観光施設となっているこの建物のレストランエルシドにて昼食。午後、同じ赤柱の赤柱軍人墳場(写真)訪れる。雨空。整然と並ぶ無言の墓墳(写真)。赤柱は香港島に侵攻せし日本軍に英国人が最後に追われてきた場所であり赤柱の聖ステファン学院に野戦病院あり。日本軍はここも攻撃し収容者と医療関係者も銃殺(写真右下)。ボランティアの看護婦を姦した上で殺害といふ事実もこの攻撃に参加の老兵が生前に告白といふような話を聞く。リパルスベイ。この何度も訪れたリパスルベイの海岸の西端の一角に砂に埋まって当時の英国軍のトーチカあることなど今まで知りもせず。ここから深水湾まで沿岸を散策。この麗海堤岸路にもトーチカ残る。このあたり和仁さんが戦前、軍の特務であった瀬島龍三君が商社マンを装い白の麻のスーツでか中環の旅館千歳館の女将を連れ日傘さして散歩風情、実は英国軍の海防状況をば偵察し、その防備の充実から海からの攻撃は無理と判断し軍部に中国大陸からの攻撃をば提言し、実際にこれが功を奏し41年末の香港攻略成功に至る話をされる(こちら)。中環(写真)に戻る。立法会の建物も金鐘側の側面にいくつもの弾痕ありHSBC銀行の正面の一対の獅子像も金鐘側の獅子の背に多くの弾痕あり(写真)。今まで全く気づきもせず。日本軍の侵攻と守備する英国軍の市街戦は灣仔が最後の激戦地にて、そこを破った日本軍が灣仔から金鐘の軍施設を攻略し(Murray Houseなど)その勢いで中環に入ったことが弾痕のあとからもわかる。市大會堂の中庭にある戦没市民の慰霊堂見学。ここでフォーラムの一行と別れる。日本からこうして東南アジアでの戦争の跡地をまわって学習続ける方々がいると思うと敬服するばかり。ランドマークのTiffany宝飾店。すでにZ嬢の誕生日過ぎたが今になって耳飾り購ふ。FCCにてドライマティーニ二杯。スタンダードでカクテルグラスでオリーブ実のみ。一杯目飲み終わりバーテンに二杯目注文するときバーテンによって作法あり、全く新しくグラスに注ぐ者、一杯目のグラスに注ぎ済ます者、本日のバーテン君は新しいグラス用意して注ぐものの「ただ添えるだけのオリーブの実はまた用意されては勿体ない」とかねがね余は思っていたがオリーブをグラスに落とさぬまま運んで参って阿吽の呼吸で余が一杯目のグラスにあるオリーブを摘まむとその隙にグラスを二杯目のにサッと取替え余はその二杯目にオリーブ落とす。バーは楽し。大雨。恰度FCCの前にタクシー乗り付けし客ありそのタクシー雇い帰宅。Z嬢とLanson黒の三鞭酒飲む。で食事は食前の三鞭酒から何故かビビムバ。偶然久々にNHKのお笑い番組「海外安全情報」見る。アネーナイではオリンピックで日本人を狙ったホテルでの盗難相次いでいます、ホテルでアジア人と見られる男が日本人の宿泊客になりすましホテルの部屋の鍵を開けさせ保管箱まで開けて現金やクレジットカード、旅券などが盗まれています、とか。貴重なものはホテルフロントの保管箱に預けて部屋には置かないよに……って最近、よっぽどのホテルぢゃないとフロントに保管箱などないし、スリなども多いので貴重品は持って歩かないように、っていったいどうすればいいのか。この番組で最近の傑作は、紐育の中央公園で空気銃使った襲撃が相次いでいるのでベンチには坐らない、はマダしも「歩く時はジグザグに歩きましょう」と(笑)。そんなヘンな奴がいたら寧ろ空気銃で狙われてもおかしからず。国家の安全とか多国籍軍参加とか検討の前に個人の安全の常識を検討すべきであろう。