富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

八月初二(月)快晴。地下鉄道東涌線にて東涌。新大嶼山巴士(幾らかの株式有するが何ら恩恵もなし)にて峠越え。一人で事故でもあれば危険かと思いつつ二東山(Sun Set Peak)から流れる渓流の澤登り楽しむ。岩で滑って久し振りに膝擦剥き肘など突傷。澤を引返し海岸に下りてハインライン月は無慈悲な夜の女王』少し読み微睡む。午後遅く長沙下村の海岸に面した店屋にて海岸の木陰の卓にて星州米粉食し比律賓産のサンミゲルの瓶麦酒二本。巴士は梅窩行きが来れば連絡船、反対方向に東涌行きが来れば地下鉄道と待てば東涌行き参り地下鉄にて市街に戻る。ジム。日も明るいうちに、といふより午後五時過ぎて強烈なる陽差し、帰宅。ドライマティーニ飲みつつアンナー=ビルスマのチェロ聴いておればこの快晴ならさもありなむの美しき夕暮(写真)。感嘆。晩にZ嬢とお好み焼する。
▼SCMP紙に転載の紐育タイムズの横綱朝青龍についての記事。記事は横綱としての品位の欠如に非難の声あり……と、何に驚いたかといへばTakasago Stableとあり「相撲部屋」といふのは英語でstableと呼ばれていること。競馬の厩舎と同じとは。今日まで知らず。確かに親方がたくさんの弟子抱える点では調教師と同じかも知れぬが。stableには「安定、穏定」の意味もあるが、これが「一カ所に留まり簡単には動かない」状態を指して、それが本来、自由に移動する牛馬をば駐め置く点で馬小屋や牛舎か、と勝手な想像。とすると相撲部屋も力士が部屋に寝泊りしてといふ点では確かにstableであるし、正月に勝手にモンゴルに帰省したりも許されぬか。
▼昨日中国人民解放軍建軍七十七周年記念の建軍節。石崗の軍営初めて一般開放しての三軍参観に三万人だか押寄せる。ふと思えば昨日西貢の山歩き中に香港国際空港へと離着陸の民間機がかなり南寄りのコースとっていた気がしたが、あれも石崗での空軍飛行機の離着陸の関係だったのか。この建軍節に民主党だの民主派立法議員など多数招かれ閲兵。今年に入り愛国論争などあり、結果的に北京より参った御用学者らの強烈な主張に民心は呆れるばかり。それへの反省で中国側もむやみに民主派をば敵対視せぬ姿勢みせ、民主派にしてみれば彼らの主張は香港の民主主義であり反国家的なる政策に非ずといふ姿勢の顕示とお互いに利もあり。それにしてもその思惑の具体的な場が軍行事とは何ともはや。参観の市民も勇壮なる人民解放軍のパレードに拍手喝采。六四の天安門事件追悼では市民殺戮の軍隊と罵られ八一の建軍節にては持て囃される軍隊。国家の意のまま命令通りに動く国家の武力。ふと気づいたがこの香港駐留軍、国家予算にて運営されているが香港は国税納めておらず、米軍に守られる日本と同じか。

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