富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

八月二十一日(火)香港を離れていた間に保安局長の葉が自分を論って政府女性高官美人コンテストだの自分をパロディにした『ホウキ頭』という笑本の発売など性差別も甚だしいと論評、これは大間違い、葉が嫌われているからその捌け口としてのコンテストや本の出版なのであり、性差別とは一切関係なく、仮に葉が男性でも何らかの罵詈は生じるもの、本当に可愛相なくらい無知が惨めな葉である。快晴にて来港中のY君、T君と大嶼山まで海水浴に赴く。夕方中環に戻りY君の買物同行、蘭桂坊のBitburgerで生麦酒。一旦帰宅して二人と銅鑼湾は富臨飯店、世界に名だたるこの店の阿一鮑は青森の大間(窩麻)、網取(網鮑)と岩手は吉浜(吉品)が松竹梅にて、その吉浜産の鮑(23頭サイズ)と鵝掌の煮込、蟹肉と竹笙入りの魚翅スープ、ロブスターにこれまた著名な鶏と阿一炒飯を食す。魚翅だけはやはり雪園飯店が美味いと思う。鮑はいくら干し鮑が珍味でもやっぱり刺身だよね。許留山にてマンゴーとタピオカの盛り合せ。銅鑼湾にて偶然、新型トラムと遭遇、走行開始から数年経ち初めて遭遇の稀な一台にて三人して後先考えず乗車、快活谷に到着。ここで二人と別れトラムで中環経由で帰宅する。『アラビアのロレンス』読了。名著と名高き岩波新書赤版だが中野好夫も真面目でロレンスの美学は感じてはいるが疎く、やはり種本としてのロレンス自著『智慧の七柱』が読みたくなる。それにしてもアラブという土地も英国の政策と「ロレンスの勝手な美学と愛」によって蹂躙され、結局今日の中東問題もこれに石油が絡んで複雑化したわけで、アラブの不幸を思う。それにしても美意識だけでここまで世界を変えたロレンスも大したもの、三島由紀夫は失敗したのに。
いしだ壱成大麻所持にて大坂松竹座公演中に検挙、下旬の公演並びに九月東京公演中止。芸人である、芝居が下手なら検挙されるべきだが大麻所持程度で官憲も野暮、せめて公演終了後にでもすればよかろうがそれでは見せしめにならぬ、か。国会開催中の代議士同様芝居期間中の芸人も保護すべし。しかし本人は「以前から吸っていた」と供述とは見事。それにしても産経スポーツなど「座長公演中に座長本人が逮捕。演劇界で前代未聞の事件」と述べるが、未聞といえど座長が逮捕されるなどどさ回りの芝居でオイチョ株で座長が逮捕されたり曾てあったことだろうに。大麻の入手先について「東京の方」と、この「〜の方」もいいなぁ、「東京」じゃ舞台のセリフにならぬが「東京の方」だとセリフになる、流石。今月4日に大阪・なんばのロケット広場で行われた成功祈願祭に出席した際には「どデカい花火を打ち上げますよ」と意気込んでいたというが、ほんとどデカい花火である。石田純一も賢息の「バンド仲間が同じ大麻所持で逮捕された時「絶対にやってないだろうな?」とただしたところ「絶対にやってない!」と誓った」そうで「その後も折に触れ「それだけはやっちゃいけない」と言い聞かせた」そうだが、それだけはやっちゃいけないことは窃盗強盗覚せい剤など他にいろいろあるわけで大麻程度で「それだけ」とは。それにしても、ここで数日の休演ならまだしも公演全面中止の上、来月の東京公演も代役を立てるか中止にするかは未定、と。報道によると「ホリプロ製作で所属俳優の藤原竜也武田真治らの名前が代役として浮上」「だが、宙乗りシーンもあることなどから、最悪、中止の可能性も出てきた」と、なぜ宙乗りが理由なのか判らず、本来、俳優の交替こそ或る俳優を伸ばす絶好の場にて曾て三田佳子の代役で片岡京子などいい交替もあり、これをよく利用すべき。所属事務所も「芸能界のみならず、社会全体の薬物渦が大きな問題になっている折……」と、大麻などよりもっと深刻な社会問題蔓延にて誤解するべからず。いしだ君、勝新のような芝居馬鹿にお成りよ。