富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月二十八日(木)六月は百年にて最高の降雨量を記録。ここ数日溜まった雑誌を通読、『東京人』古本屋特集にては神保町の谷口書店の主人O氏の尊顔に拝し今読み続けし荷風日剩を谷口にて昨年の正月に購いし事を憶える。谷口の舖の絵に寺田寅彦、鴎外、志賀直哉露伴と並ぶ全集の黄札眺め買い占めしたき衝動に駆らる。木楽舎の月刊誌『ソノコト』は特集よりも「エスケープルート」なる頁群にて(「かつて」平凡社時代のマガジンハウスが十八番とした)コラム型情報欄がかなり好し。富士通の伝説的親指シフトワープロOASYSが春に生産中止となっていたことを今日知る。1984年に表示画面どころか文書記憶機能すらなくA4数頁の容量しかもたぬ、但し第二水準漢字を有し今で云うラップトップ型のOASYS LITE機を仙台丸善書店にて当時の大学生には高嶺の花の24万円の大枚を叩いて購いし事、数年後にOASYS30AF、かなり小型のOASYS Pocketと、ワープロとはここで縁が切れたもののOASYSの余波にてパソコンも富士通にてFMR30だか、続いて購いしCD-ROM搭載のFM Townsは使いものにならぬまま。これにて富士通との蜜月は終わるのだが、初期のワープロにて人間が頭中にて言葉を捻り文を綴りそれを指が打出す作業の鍛練となり、当時の親指シフトはそれを使わなくなり早12年経つ今も話す速度を追うように指は親指シフト配列にて鍵盤を空で叩くものなり。