富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

観世流@東急セルリアンタワー能楽堂

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さてさて今度は香港で香港記者協会への圧力である。当局が学生記者会員について問ふたところ記協は個人情報として資料提出拒んだ上に関係資料を大量にシュレッダーしたと大公報。記協の撲滅まではしないものの骨抜きして次は外国人記者倶楽部(FCC)に政府管理建物の使用契約更新で圧力かけ反政府的な立場改めさせるところが狙ひだらう。

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世界的に株式市場にすら影響与えた中国の不動産大手・恒大の不良債権と資金繰り悪化は期限を迎へる社債利払ひについては資金調達ができたさうで直近のリスクは何うにか回避。白騎士の出現を報じる大公報。恒大倒産で恒大ショックとなつても恒大のビジネスの大部分が香港含む中国国内でリーマンショックのやうなことにはならないはずだが中国の大手地産商の倒産で連鎖倒産もあれば不動産バブルにかなり冷や水浴びせる形でもう将来このやうな不動産熱は上がらないのだらう。あつて当然のことだが。

本日秋分NHKの地方ニュース(水戸放送局)で解説してゐたが春分秋分は昼と夜の時間が均衡すると誰でも知つてゐることでも日の出と日の入りの時間から測るとまだ昼の方が長く12時間に最も近くなるのは数日後なのだといふ。さて問題です。この差は?といはれ地球の地軸の傾き?と思つたが地球の自転での日照時間の差だから、それは関係ない。福島アダム・キャスターが「ヒントは太陽1個分の差です」といふことで日の出と日の入りで前者は太陽が顔を出す瞬間で後者は太陽が完全に沈む時間なので、この差が出るのだといふ。

丹下健三 1938-1970 戦前からオリンピック・万博まで | 国立近現代建築資料館

こんな特別展が東京の国立近現代建築資料館で開催されてゐると知つてそもそもこの文化庁の施設在哪里?と思つたら湯島。上野駅から池之端を歩かうかと思つたが折からの残暑で日ざしも厳しく北千住から千代田線で湯島に向かつて正解。展示は来月10日までで会期中は無休である。自民党の諸君はこの姿勢を国会休会で何う見るか。


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1938(昭和13)年といふのは丹下が東京帝大工学部建築科卒業し前川國男事務所に入る年で当時の丹下といふと昭和17年の富士山裾野の「大東亜建設忠霊神域計画」の印象が強いが卒業制作の「芸術の館」といふ建築複合体の設計だけでも凡人との発想の違ひは明らかで戦後の丹下といへば広島平和記念公園だが淡路島にある「戦没学徒若人の広場」は今日まで知らなかつたが強烈な印象を受けた。


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今回の展示は当時の写真や貴重な資料、メモや図面の原本の展示に加へて千葉大学工学部による精巧な模型も見事。メインはやはり代々木の体育館で、この設計に決定する迄の発想からデザイン、工学的な仔細検討までかなりの資料が提供されてゐる。本当なら2時間くらゐはじつくりと参観したいところだが今日は時間がない。はじめ丹下健三展と聞いて最後はあの新宿の都庁か、と思つたが1970年で切つてゐるところがまことに妙。


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この資料館は湯島の地方合同庁舎にあつて関東財務局の東京事務所があつたり、この建物ぢたい興味深いモダニズム建築で平日はこの合同庁舎側から入ることができて参観は無料。大したもの。週末と祝日は合同庁舎入口が閉まるので旧岩崎邸庭園からの入場となる。こちらは入場制限してゐて事前の登録必要とは知らなかつたが午前10時の開園からの最初の枠であと2名とあり。入場料400円。こちらも初めての場所でゆつくりと見て回りたいが時間もないので岩崎邸を和室棟までさっと参観。「みつばち」で豆かん頬張る。暑さゆゑ店頭で小倉アイス買ひ求める客多いが店内はひっそり。甘味を頬張つてから昼食を逸したと気づく。とんかつの井泉が昼前でまだ行列になつてはゐなかつたがとんかつをゆつくりと食べる時間の余裕もない。やっつけで富士そばともいかず近くでさっとRでせいろそばを啜る。池之端も藪が終ひ老舗のこゝもかつての賑はひもない。女将が気さくで忙しくもないので少し四方山話。近所の気軽な蕎麦やだと思へば悪くはない。銀座線で渋谷。渋谷の終着駅が場所が移り改装(2020年1月)がされてから乗り降りは初めて。渋谷に来ることは本当に稀。

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渋谷駅の工事現場を上手に通り抜けてセルリアンタワー。こちらの能楽堂が20周年ださう。畏友村上湛君に誘はれ観世流の定期のお能を見る。2部構成で観世清和師も囃子方も続けての大仕事。1列目正面宛はれる。両部とも冒頭で湛君の見事な簡潔明亮な解説あり。本日はこの能楽堂のお祝ひなのでお目出たい出し物つくしで第1部が狂言<末広かり>と能<養老>、第2部が狂言<二人袴>と能<乱>。<二人袴>も婿どのが舅に挨拶に上がるといふ筋で、これも祝言を前提にして、でお目出たい。祝福としての芸能。寿ぎ。神といつても天照大神など名のある神から日本には八百万の神で小さな名もなき神々がゐらして、それへの畏敬。湛君のご祖母がテレビを買ひ替えの時に粗大ごみで引き取られる古いテレビにもお神酒をかけて、それまで楽しませてくれたことに感謝したといふ話。神仏習合。<養老>で小書きに水波之伝とあり。それの天皇とされるものが実は足利将軍(義満)で北朝と足利、そして世阿弥の関係。<乱>は「置壺」と「双之舞」と小書きにあるが<猩々>がこれで何うなるのか。客人である「まれびと」が誰なのか。「猩々」では舞台は揚子で潯陽から白楽天とつながり……と両部とも冒頭20分の解説であつたが、それを聞くことでそのあとの舞台がより面白いものになりありがたい。<末広かり>は万作師。卒寿であるがこの方が舞台に現れるだけで何なのだらう、この和らぎ。その万作師が目の前でまさにこちらを凝視されてゐるやうのだから素晴らしい仏像のやうで拝むが如し。<養老>は水波之伝で楊柳観音が現れる展開など、この世界観の全体像を理解するにはもつとこの能の世界の教養をつけて何度か見ないといけない。この囃子は後半などまるでジャズロックである。最前列で聞いてゐると旋律をとる笛とリズムセクションとしての小鼓と大鼓に太鼓でこんな音が出るのかと驚くばかり。笛は私に能の囃子の音楽性を教へてくれた松田弘之師。<二人袴>は万作師の孫の裕基君が婿役で180cmの身長に小顔で当方の能舞台を仰ぐ姿勢から何だか縮尺がおかしくなった錯覚あり。婿の兄役で合はすのは太一郎君(祐基君とはハトコ)。舅役の石田幸雄の好々ぶりがよい。<猩々>の双之舞はご宗家と嫡男・三郎太君で親子で初演なのださう。謡曲を読んでゐ湛君の解説で猩々と高風(ワキ)との関係の背景にあるものが明確になつてゐたので、この<猩々>はストンと入つてきた。本日は両場を見て大変に良かつた。


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渋谷の駅と駅周辺の工事は本当に大掛かりなもの。これだけの工事の中を電車が平常通り運行してゐて東横デパートの南館の建物なんて楼上は取り壊し始まり巨大な重機が動いてゐる階下は平常営業してゐる。埼京線のホームが随分と南に動いたさうで「新南口」なんて離れたところに設られたやうで、渋谷川の暗渠上を歩きそちらから改札を通る。さすがに人もまだ少ない。ホームにいきなり相鉄線の列車が入つてきて反対側のホームにはNEXの成田空港行き。いつたい何うなつてゐるのかしら。山手線で品川に出て帰途につく。

中秋翌日


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昨日中秋。香港で300万個の月餅が廃棄されると大公報。巨きな数字だが市民一人当たり0.4個かと思ふと逆にそんなもので済んでゐるのかとすら思ふ。それくらゐ大量の月餅がこの季節、交換されるのだ。明報は香港で中国の人権問題に注視してきた弁護士団体解散と六四記念館の撤去作業を報じてゐる。中共人権派弁護士の弁護士資格剥奪どころか不当拘束すらあつて、それに関注できるのが香港だつたのだが。
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RTHKラヂオ英語チャンネルで〈Backchat〉といふ時事番組でホスト役キャスターが2週2わたり番組に出演せず。7月に林郑市長ゲスト出演で提灯さげてヨイショすべきところ一昨年の逆権運動に触れ当時、行政長官辞任して市民に謝罪したい、赦しを請ひたいといふコメント音声流出したが今の心境は自分を赦せるのか?と突っ込み林郑の良心の呵責問ふたが、これがダメ。日本でもNHKのNW 9で有馬キャスターがスガに突っ込み降板させられたのだから香港を驚いてはゐられないか。

f:id:fookpaktsuen:20210923063057j:image昨日、叔母のお家にお邪魔してたくさんの野菜と一緒に「粉餅」をいたゞいた。叔父に「知ってるけ?」といはれたが子どもの頃が懐かしい丸い寸胴のお餅。新米が出ると古米になつてしまつたお米は粉にしてお餅にするのださう。お米を大切に。場所によつて甘いお餅にしたり形も四角だつたり茨城のこのあたりでは、この丸い寸胴のお餅を切つて焼いたり煮たりして食べる。餅米のお餅とちがってねばりけがなく、さつぱりとしていてこれはこれで美味しい。年寄りには入れ歯も外れないし喉に痞へないから、こっちの方がいゝんだって言はれる、と叔父。今日は家人がそれをお鍋のあまりのスープにひき肉や生姜をいれて少し甘く味付けしてくれたのを頬張つた。とても美味しい。

▼「駅で出所者を顔認識」中止「社会的なコンセンサスがまだ得られていない」って鉄道会社のどこにこんな権限あった? #JR東日本 https://t.co/tzNS6Z7xq8

▼年に数回「物議をかもすこと」狙つたやうな宝島社の広告が新聞に掲載される。

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農暦八月十五日 中秋

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香港の選挙人定数1,500のうちのうち所属団体毎の指名などによる選出除き投票による選出枠が967で内603人が無投票で当選し残る364枠が自由闊達な選挙戦となり89.8%の投票率で1人の中間派(元民主党員)当選を除く全員が親中派といふ見事な体制側の圧勝。これで香港社会は新たな一頁を開くのである。従前は選挙人定数1,200の内民主派が325枠を獲得で27%で区議会枠があれば1/3を優に超えて行政長官選挙で中間派の候補を当選させるだけの力となつたのだが。さうした可能性をぶち壊してしまつたといふか壊されたといふか。正当な政治ではさうした「危険性」を排除できないから反体制派には過激になつて暴れてもらひ社会の安定回復を口実で以て潰すことが展開としては最も正確なものだらう。公安警察はもう潰す相手もゐなくなつて本土派の「賢学思政」なんて悪いけど誰も知らないやうな若者の小さな団体までをも身柄拘束。「志同道合」で芋づる式にいくらでもかうしたグループまで一網打尽。押収した証拠品が収監されてゐる運動家に差し入れする飲料水や食料など物資貯蔵である。
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昨日がお彼岸の入りで妹がお花はあげてくれてゐて今日になつて母と菩提寺(神崎寺)に掃墓。こむぎ屋でおはぎを買ひ求め母の高校の同窓生の方の家にもそれを届けてから那珂市の「だぼう」でお昼にお蕎麦。その足で昨日に続き常陸大宮に行き叔母のところにもおはぎをお届け。叔父は帯状疱疹で入院までされてゐたので退院のお祝ひもあつたがお肌なんて若いころよりつやつやできれいなお肌で思はずどんなスキンケアを?と尋ねたいほど。人間は老化が遅いどころか若返るのかしら。枝豆やピーマンなどいろいろ自宅畑栽培の野菜をいたゞく。枝豆なんて畑から抜いて枝葉を割いて枝豆を捥ぐなんて自分でやつたのは初めてかもしれない。

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本日農暦八月十五日。中秋。西日本では天気も崩れたやうだがこちらは今日も雲一つない好天で大きさはそれほどでもないが煌々と眩しいやうな月が東空にあがる。

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満月を愛でて冷たいビールを飲む。今日貰つてきた枝豆もあつたので、それを茹でてアテに。

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こむぎ屋の小豆と黄粉のおはぎを頬張る。美味しい食べ物がいくつもあつて郷里の暮らしはまことにおつなもの。

居間の電灯を消してゐても月明りでとても明るい。窓を開け放てばもうこの時期になると涼しくて扇風機や団扇すらいらない。蚊はまだゐるやうだが蚊遣り(山田松香木店の蚊やり香)を炊いて窓も開けっぱなしにして。ビールは赤星だつたのが南の空の火星もしっかりと。本当にきれいな夜空。

パンケーキを毒味する

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香港で選挙人選挙が昨日無事実施される。反政府派の暴民による選挙妨害もなく香港の治安安定は見事。七名だかの民主派による投票所付近での抗議活動に記者が十数名で警察は40余名だかで警戒に当たつたといふ。

以往那种造谣抹黑的歪风已经消散,换来新的选举文化,而今次选委会选举反映了新选制的多种特色。最重要是整个投票过程非常安全,见到很多选民摘下口罩确认身份时,都是露出非常灿烂的笑容,感觉非常安心,不需要再担心投票有生命威胁。

投票所で投票実務に当たつた建制派のコメントである。もう反政府派による意図的な選挙妨害もなく安全に投票が行はれ投票する市民は本人確認で(HKIDと照合するため)マスクを外したとき誰もの顔は安心と満足した笑みを浮かべてゐた……と。なんて素晴らしい。「もう危険な目に遭ひながら恐る恐る投票することない」なんて、選挙当日の投票所周辺での賑やかな応援合戦のことでしかないのだが、あまりに一方的な見方。だがもうさういふ社会なのだから致し方ない。今日のTBSラヂオの荻上チキセッションで倉田先生がチキさんの「もう香港では民主化運動とかが根絶されるなかで何ういつた抗議ができるのでせう」といふ質問に市民が何らかの声を上げようと思つたら抗議活動も言論も封鎖されるなかで辛うじて選挙権はある立法会選挙で(反対派の候補者はゐないのだから)白票や無効票を投じることくらゐしかなくなるとコメントされてゐた。白票だと不正行為も心配なら複数の✔️をするしかないだらう。香港では選挙の投票で何ういつた行動をとるかは個人の選択で辛うじて自由だが「選挙に行くな」と主張して呼び掛ければ、それだけで国安法で捕まへることもできる。


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本当はスガが辞任表明なんてする前に見たかつた〈パンケーキを毒味する〉を見た。

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瓜連のあまや座は観戦対策で客席半減のところ満席。この映画のなかでも最後、選挙に行くことをアピールする大学生たちの活動が紹介されてゐたが敬老の日に朝から反政府映画を見にきてゐるのは高齢者ばかり。若者はこんな映画を見ることにも関心がないか。見て何か考へても何うしようもないと高を括つてゐるだらう。それでもスガ退陣を「妥当」が6割と今日の毎日新聞世論調査結果。スガの退陣を以て内閣支持率が11p上昇で37%といふのだから何て皮肉。辞めることで支持率があがるなんてブラックジョークだがそれが現実。この映画を見てゐて感じたのはスガといふ人が政治に憧れたのは権力であつて、それだけ。権力をもつことでの優越感。劣等感の塊だから、それがしたい。晋三の官房長官で政府の財布を握り機密費で好き勝手やつて官僚を顎で使ふ……それができたのだから、さぞや快感だつただらう。それがハメられて晋三の後釜にされたところで乗つたのがやはり浅はか。所詮、首相になるやうな大局観も政治信念も何もないのだから。この映画でインタビューを受けるのに登場したのが自民党では石破先生と村上誠一郎先生だけ。国会の委員会中継の映像を見てゐたら河野太郎の貧乏ゆすりが気持ち悪かつた。次はあれが首相なのか。何もしない、できないスガも困るが異星人的宇宙観で以てワケのわからないことをしさう。

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2時間もスガの表情を見続けてさすがに気持ちもげんなりしてパンケーキを食べたくなるはずもない。あまや座に来た2回はこれまで久慈川を渡り太田の〈佐竹〉で蕎麦だつたが今日は国道118号で北の大宮へ。太田だとか大宮だとか群馬か埼玉のやうだがいずれも「常陸」がつく。久慈のこのあたりは蕎麦の名産地だが太田はウドンも昔から評判で太田の〈いずみや〉といふ老舗のうどん屋の支店が大宮にあつた。常陸太田のうどんはコシがあるどころか噛んで歯が疲れるほどで讃岐うどん人が食べたら咽喉に閊へて呼吸困難で窒息死もの。「饂飩を食べる感じ」でこれはこれで美味しい。醤油汁が濃そうだけど見た目より、さっぱり。昼の12時半にはうどんは売り切れ。

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久慈川辰ノ口にある親水公園

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久慈川の辰ノ口の川岸にある「道の駅」(かわプラザ)へ。連休で広い駐車場は満車。他県ナンバーの車もかなりあつて混雑してゐるが施設への入場制限するでもなくマスクを除けば「コロナって何」といふやうな感じ。まさにコロナ慣れ。スタンプ好きのアタシは道の駅スタンプがあつたので押印しようとしたら駅でも博物館でもスタンプ押すのなんてたまに子どもがゐるくらいなのだが次から次へのスタンプ押す大人がゐてみんな同じスタンプ帳を持つてゐるので何かと思へば 関東「道の駅」スタンプラリー2021なんて今年の4月から再来年3月まで、まるでお遍路さんのやうに根気の要る201ヶ所だかの完全制覇なんてやつてしまふ人がゐるわけだ。今日のやうな良い天気で道の駅の丘を下り久慈川の川岸では水遊びする親子が微笑ましい。辰ノ口は地名が文字通りだが久慈川がS字に曲がるところ。この道の駅のところはS字の曲線の外側で川岸は子どもが遊べるくらゐだが本流の流れは早く一昨年の台風19号での氾濫もあつた。今日はお彼岸の入り。カボスを買ひ求めてかぼすのお風呂に入る。
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本日は農暦八月十四日。こんなに天気が良いからお月さまもかなりきれいなことだらう。中秋の月は東空に上がつてくるが月の出は陋宅からは東に大きな樹木があって、その陰に月が煌々と。まるで朝日が上るやうに明るい。ご近所の酒店〈たなか〉で「芋焼酎が好きなら」と勧められた〈野海棠〉を飲む。初めてなので少し味見したら、これは美味い、美味いけれど芋焼酎でこれくらい洗練されてしまふと「直」(ぢか=ストレート)しか選択肢ないだらう。月を愛でつゝ家人と四合瓶をさらさら、っと飲んでしまつた。
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久世朋子『テコちゃんの時間-久世光彦との日々』

農暦八月十三日。台風一過で水府もよく晴れる。真夏のやうだが湿度が低く風は少し肌寒いくらゐ。水府は市街地の中心部にこんな美しい湖があつて光圀公がこれを杭州の西湖に見立てたのもよくわかる。

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本当だつたら今日は今ごろ東海道新幹線米原経由で彦根に向かつてゐたところ。彦根城博物館能舞台で大槻文蔵氏の〈隅田川〉が滋賀県の緊急事態宣言で中止。こんな青空なら新幹線の車窓から富士山はきつと美しかつただらう。

紫外線を気にしながら自転車の定期点検に出かける。今年の3月に自家用車を有してしまつてから自転車で遠出することもなくなり自転車も歩けるやうな距離の早足に使ふ程度で運動不足も甚しい。坂のほんの少しの上りで息が上がり台風の余波の向ひ風でペダルが重いとは。去年の4月に帰国後の軟禁明けで住民票を復活させて最初の行動は自転車の購入で郊外のバイパス沿ひの自転車店に行く途中、とても人気があるやうで行列のパン屋あり。当時はフツーのパン屋に見えたが今日通ると、そこがこんな▶︎外観に。奇抜な店名と外観で、それが売りの高級食パンチェーンだつた(こちら)。もう行列だの整理券といふやうなことはないやう。この店舗の周囲は住宅地でもし自分の家の前にこんな塗装の店舗があつたら、と思ふとぞっとする。自転車屋で点検に自転車預け二時間程かゝるといふので予定通りで近くのスーパー銭湯へ。自転車は雨の日は乗らず雨風の当たらないところにいつも置いてゐるので傷みもなく点検も全く問題なし。

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香港で今日、選挙人選挙実施。民主派排除で完ぺきな御用選挙、提灯選挙なのだから何も心配ないところ昨日、国務院副総理の韩正が深圳まで来て林郑市長を呼び出して今回の選挙人選挙の改正をもとに立法会選挙、行政長官選挙まで正確に実施して香港社会の安定実現を、と訓示垂れる。何も問題もないのに何故そこまで?と驚くが中央政府の香港改革のマヂぶりを執拗に誇示したいのだらうし、かういふのを「ドヤ顔で」といふのだらう。昨日の朝日新聞に養老先生が「システムから見た五輪」といふ見事な分析を披露してゐた。中共もこゝに書かれてゐるやうな巨大システムだらう。システムがあまりに巨大になつて内部にゐる者も理解も制御もできず国民は党政府の動きなど自分には関係ないと思ふか、その巨大な組織の中で不明な誰かの意のまゝに動かされる。もはやリセットなどできないわけで強引にこのシステムを更に強固なものにしてゆくしかない。それが习近平体制なのだらう。f:id:fookpaktsuen:20210919093325j:image

 

テコちゃんの時間-久世光彦との日々

久世朋子『テコちゃんの時間-久世光彦との日々

なぜこの本を読んだのか、巡りあつたのか思ひだしたら毎日新聞で「亜星さんの銀座を歩く」といふ記事を読んだからだつた。この記事も素晴らしいものだつたが、そこに久世朋子さんが営んでゐた銀座のバーが出てきて、あのTBSドラマ『ムー一族』に出ていた野口ともこがこんな理知的で美しいマダムになつてゐたとは!と驚いて彼女の久世光彦との日々を綴つた文章も素晴らしいと知って、これを読んだのだつた。久世のドラマは『時間ですよ』『寺内貫太郎一家』と好きでずつと見てゐたが『ムー一族』はもう何だかワケがわからなくて樹木希林による「久世のドラマに出演する女優との不倫、妊娠」といふ暴露を日刊スポーツで読んだ時も「人気絶頂のテレビドラマ演出家がなぜ、こんな可愛らしさもない若い女優の端くれ」に手を出したのか、と思つた。ドラマで近所の近江屋の平さん(由利徹)の娘役で出ていた彼女は本当に端役でまともなセリフもなければ演技といふやうなものも全く板についてゐなかつた。それがこれを読んで久世が当時一八、九の小娘になぜ惚れたのか、この女性ぢゃなければ受け入れられなかつた久世光彦といふ人の存在と人柄がよくわかつた。

少年のころに読んだドーデーの『風車小屋だより』とラディゲの『肉体の悪魔』をポケットに忍ばせて、その交互にやって来る二つの気持ちを抱いて青い空を見上げる久世は、まぎれもなく少年である。小沼丹の『村のエトランジェ』のなかの「センベイ」という、村の悪ガキに数歩遅れて裸足で坂道を駆け上がり、河原を走る「疎開者」に自分を映し、その気持ちのまま裸足に白いスニーカーで走るように歩く久世である。
「足ながおじさん」ではない。……暮れかかった河原で、遠くを見ながらぼんやりと座っている少女がいる。それを見つけた裸足の少年は「さあ、もう家に帰ろう」と、少女の手を引っ張ってくれたのだった。
いつしか少年と少女は、一緒に暮らすようになっていた。そしてそれが因で、少女の扉を開けてくれた少年の「扉」が閉ざされる出来事が起きた。

この二人はなんてこの二人でしか成立しない二人だけの時間を過ごしてゐたのだらう。これを読んで樹木希林がなぜ人気ドラマの制作打上げパーティの場で二人の仲を暴露したのか、がやつとわかつた気がした。
久世はとんでもない愛煙家で、それが寿命をかなり縮めただらう。ショートピースの強烈な印象。それでも息子からの誕生日プレゼントは「高いからと自分では買わない缶ピースだった」とある。ショートピースでも箱入りより缶入りのほうが香りも格段に上なのだが、こんな一面があつたとは。

農暦八月十二日

本日農暦八月十二日。もうすぐ中秋だが台風14号が横断。台湾から一旦は台湾の方にいつて滬に近づき東秦那海を東に屈んで……とはあばらかべっそん。今日は朝方から伊豆、神奈川と随分と雨風強かつたやうで都心も大雨だが埼玉、宇都宮あたりの雨雲は茨城でも県北を東に進み水府は少しだけ風もあつたが雨雲にも嫌はれ普通の長雨程度。夕刻は雨も歇み出先に置きつ放しだつた自転車で散髪と芸術館でのチケット受取りも済ませて帰宅できた。夜はまた雨。清水義範金鯱の夢』(集英社)読む。秀吉と正妻ねゝのあひだに正嫡あり聡明な「秀正」は家康と組み大阪の異母弟・秀頼を推す三成を関ヶ原に破り大坂の秀頼そして江戸の家康をも成敗して名古屋に豊臣幕府を開くといふ奇想天外なプロットは大変面白い。だが清水義範の面白さは奇想天外が詰まつた短編の方が格別か。


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澳門で氹仔(タイパ)と路環(コロアネ)の間の浅い海の泥地が埋め立てられ路氹(コタイ)はカジノやホテルリゾートなど立ち並び、狭い海峡の対岸の横琴🇨🇳もぼちぼちと開発が始まり埋め立てなどしてゐるなと眺めてゐたらいつのまにか澳門よりも大きな土地になつてゐた。航空地図で緑色が澳門で赤色が横琴。それぞれ緑と赤で塗りつぶしが元々の陸地で、それ以外が埋立地澳門と横琴に属さない西北(左上方)の都市部が珠海市区。その横琴が内地と澳門特区(まだ特別行政区ならば、だが)の「合作区」となるのだといふ。合作区では医師や弁護士など国家試験レベルの免許と資格がいずれのものでも有効で今後更に内地と特区の一体化が進のだらう。何うせなら澳門と横琴の間の狭い海峡なんてさつさと埋め立てゝしまへば話は早いだらう。

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香港では民主派の労働運動団体「職工盟」が来月3日の大会で解散を決定と明報が報じてゐる。香港での労働団体といふのは英国統治では左派で中共系だつたのだが、その左派が体制派となるのが香港返還の仕組みで六四の翌年、1990年に李卓人らによつて反中共の民主派の労働運動として職工盟が組織されたもので六四や香港民主化で重要な役割を担って当然のやうにけふひの粛清の重要目標となる。兎に角、国家転覆を企図する「奴ら」が刑務所から出てくる前に奴らが基盤とする組織を全て壊滅しておくことなのだ。奴らの既得権の剥奪。さうすれば何か一つでも悪さを企てたら全てが国安法での初犯で再逮捕できるわけで。


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お酒は最後の一滴まできちんと飲む。酔人としての当たり前田の心得。ウヰスキーで「エンジェルヘア」どころか「天使の毛細血管」くらゐの酒がまだ残つてゐるから最後の一滴まで注いだあと少量の水で濯いで、それを飲めば「これが本当の水割り」か。日光の「ひしや」で買つてきた煉り羊羹は竹皮包なのでしばらくおいておくと羊羹の表面が砂糖に固まつてきたころが美味しい。無添加なので最後本当に固まつてしまつたら罹災でもしたら非常食でお湯で溶いて簡易お汁粉で飲めばよいかも。一昨年だか一旦は閉まつたヒシヤの再開は嬉しいところだが再開でも好意的な記事があまり見当たらないのも気になるところで閉業と再開に何ふいふあれこれがあつたのか部外者として知らない。閉業前は一人一本しか買へなかつた煉羊羹が今回は制限もなかつた。

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朝日新聞の土曜日「be」(9/18)で原武史「歴史のダイヤグラム」を読んでゐたら昭和36年9月当時、東京から浜田・大社行きの急行「出雲」が東京22:30発で大社に18:06着と書いてある。いくらなんでも遅すぎね?……手許にある昭和39年9月(新幹線開通直前)の時刻表だと急行「出雲」は(もう大社行きはない)東京19:50発で出雲市に12:55着で連絡する大社線が13:02発で大社には13:16着。原先生が鉄道のダイヤ記述で間違ふはずもなく、よく調べてみたら昭和36年10月のダイヤ改正で京都から山陰本線経由になつて(それが私の手許の時刻表にあるダイヤ)それ以前(原先生の記述)は京都から大阪で福知山線経由!がこの列車。そりゃこれだけ時間がかゝるはず。それにしても大阪からでも大社まで電化前の福知山線経由で9時間弱とは。

愈是審査愈堪玩味


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中央政府は香港青年に対して国家発展に寄与する内地での実習交流による創業で5年で1万人に職を提供とのたまふ党紙。なんてありがたい中央政府の恩恵なのかしら。明報1面トップ記事が報じるのは六四の支連会に対して警察が圧力かけ昨晩10時に支連会のHPサイトが閉鎖された件。

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過去20年以上の香港での毎年十万人単位の天安門事件追悼の過去がネット上から消去されようとは。だが香港を含む中共以外では抹消しようもない過去の事実なのに……と思ふが「党の決定による歴史の決定」が重要で、それに矛盾するものは排除しておかないと整合性がつかないので、さうしてゐると理解しておけばよいのだらう。そんな中共香港でコンサートも開催できない状況にあるデニス=ホーが今日の夜になつてFBを通して 香港の自宅から弾き語りでライブ中継を行つた(こちら)。中共にしてみれば国内である香港からは内地同様にFBやGoogleなども遮断したいだらう。

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市立図書館のポストに書籍の返却に寄つたら26日まで休館延長のお知らせのポスター(下)に加へ26日から開館します(上)。それなら下のを剥がせば良いと思ふのだが、さうはいかぬ事情は以下の通り。

茨城県は昨夕、大井川「百点満点」知事*1が県独自の今月26日を期限とした非常事態宣言を県内の感染状況改善を理由に1週間前倒しで19日で解除と発表。水戸市もこれに倣ふのかと思へば(大多数の市民がさう理解してゐたのだが)水戸市は今日「まだ医療状況など改善とはいへない」として26日までの措置を30日まで延長。さすが時流にさう易々とは乗らぬ水府の骨頂。それだけでもやゝこしいのに水戸市は公共施設のうち図書館、博物館と芸術館については20日から再開だといふ。何うすればこれほど複雑な対応になるのか。感染防止といふ本来の目的とは違ふところでとんでもない労力が費やされてゐる。図書館に返却したのは清水義範清水義範本人の愛好本―自選傑作集』(講談社 )で清水義範といへばやはり「国語入試問題必勝法」だが今回読んだのは名古屋モノの「蕎麦ときしめん」を読みたいと思つたからで何故かと思ひ返せば名古屋といへば河村市長の醜態からか「蕎麦と」もイザヤ=ベンダサンのpasticheとして面白いが「国語入試問題必勝法」にも問題文の例として出てくる『英語語源日本語説』をもとにした「序文」や司馬遼太郎のpasticheの「猿蟹の賊」、CMコピーに突っ込んだ「インパクトの瞬間」、カネの発生を説いた「事の始め」(これは題がオチに上手く繋がるのだが)、テレビドラマのパロディの「ドラマチックファミリー」などさすが著者本人が300本余の短編の中から選んだ秀作なのだから面白くないはずもない。その中でも「聖書」の旧約からアダムとイヴの楽園追放の語りを歌舞伎調にしたものがアタシには一番可笑しかつた。確かに「道行」である。この清水義範といふ人の発想の柔軟性が本当に羨ましい。ところで勝手にもう物故者と思つてゐたら昭和22年生まれでご存命だつた。


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酒好きのK君から「なかなか美味しい」と聞いたアサヒビールのこの生は「復活」とあるがこんなビールがアサヒにあつたかしら?と思つたら、これ(右上)だつた。K君にとつては生まれる前の昔のビール。確かに80年代にあった。この生ビールのサイト(こちら)では「1986年「ユウヒビール」といわれるくらいだった低迷期を支え、不死鳥のようによみがえらせた」なんて自嘲なのか自信なのか、まぁ今は好調ゆゑの余裕なのだらうがレトロ風の(あきらかにサッポロ赤星とか他社のリバイバルヒットを意識してゐる)デザインで話題にならないはずもないと思つたが発売数日で「一時休売」ださう。ビール業界ではこの「一時休売」ほど宣伝は他にない。陋宅近くのコンビニでは在庫もきちんとあつて好物の大根おろしと韮の鍋で豚しゃぶでこのビールを飲んだらまろやかで美味しかつた。しかし、このビールこそ「まろやかなのにキレがある」と当時、宣伝文句にしてゐて、それが上述の清水義範インパクトの瞬間」で「なぜまろやかとキレで「なのに」接続なのか」とさんざん揶揄されてゐた。偶然にもそれを読んですぐのこのビールなので一人で大笑ひ。


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自民党の総裁選……話題にもしたくないほどつまらない。今日の朝日夕刊(しりあがり寿)「地球防衛家のヒトビト」でもトーサンとカーサンが賑はつてゐる観光農園を通つて入つてみようかとしたら作業員に「すみません、関係者だけでして」と入場断れたら園内で木になつてゐのが太郎、文雄、早苗と聖子の実といふ「ジミン農園」でトーサン曰く「どうせ不味いんだろうから選べなくていいよ」と。御意。その総裁選の候補者4人の推薦人のリストが朝日の夕刊に出てゐた。

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この推薦人には大物は名乗りを上げないといふ印象だが今回は派閥が割れてゐることで少しは面白い。野田では野田の出馬で三原じゅん子が「女を上げた」。高市の推薦人が「さもありなむ」で一番わかりやすい。山谷と片山は余計なタカ派ぶりを売って「女を下げる」。岸田の推薦人は森、猪口、今井など「良識派です」と売り込みのやう。当選7、8回といふベテランが推薦人で多いのも特徴。経産相の梶山が岸田についたことは親は田中派だつたがハト派軍人のさすが静六の倅か。河野の推薦人が義家から野中、高村まで「はぁ?」と思ふくらゐバラエティに富むのはまさに河野のむちゃくちゃな思考回路の宇宙人ぶり発揮か……なんてことを書いてゐると、これも「ネット上での誹謗中傷」で検挙される時代になつてきてゐるかも。

蘋果日報で健筆奮つてゐた陶傑先生は今は「CUP」といふネット媒体で連載を続けてゐる。かつての突飛な発想に比べるとだいぶ老成してしまつたが味はひ深いのは当然。今日は東京の太田記念美術館で開催中の国芳展について書いてゐる。コロナで外に出なくても相変はらず知的好奇心と目線の広がりがすごい。国芳の「道外粟米在石橋跳舞」の絵画からかう語る。当時、天保改革で豪奢や艶っぽい浮世絵どころか役者絵までが禁じられた中で国芳は動物どころか野菜を擬人化することで、さうした表現の制限、禁止を搔い潜りむしろ表現の幅を広げた、と。当然それでいはむとするのはまさに今の香港で何ができるか?の智慧そのもの。「愈是審查愈堪玩味」つまり「検閲が多ければ面白味も増す」。

With tighter grip, Beijing sends message to Hong Kong tycoons: fall in line | Reuters

路透社:中央向本港發展商提出新任務,要求將資源用於支持北京,解決可能破壞穩定的房屋短缺問題。中央官員指現時遊戲模式有變,中央再不願意容許「壟斷行為」。消息拖累本地地產股受壓,長實,新世界等跌2%……中央政府は香港の地場財閥系の地産商大手に対して各社、安定した家屋提供に尽力して香港の住宅問題解消に寄与することで政府に対する態度を示せと要求。李嘉誠の長実や鄭裕彤(故人)の新世界発展など軒並み株価下落の由。反政府的な民主派団体壊滅させた次は地場財閥への圧力か。鄧小平からの時代は香港資本を見事に内地の経済発展に寄与させたのだが。

馬會開除黎智英、李柱銘、何俊仁會籍 拒絕交代理由 | 立場新聞

香港ジョッキークラブが民主派大物の黎智英(蘋果日報)やマーチン李柱銘、何俊仁のメンバーシップ剥奪の由。HKJC側はこの決定理由についてコメント拒むが英国的な香港の一流社交クラブで独立のはずが中央政府への忖度以外の何ものでもない。

*1:今月5日の県知事選に向け、この知事はNHKの取材の中で1期目を点数で評価したら?といふ問ひに何と「100点」と回答したのだ。