本日農暦八月十二日。もうすぐ中秋だが台風14号が横断。台湾から一旦は台湾の方にいつて滬に近づき東秦那海を東に屈んで……とはあばらかべっそん。今日は朝方から伊豆、神奈川と随分と雨風強かつたやうで都心も大雨だが埼玉、宇都宮あたりの雨雲は茨城でも県北を東に進み水府は少しだけ風もあつたが雨雲にも嫌はれ普通の長雨程度。夕刻は雨も歇み出先に置きつ放しだつた自転車で散髪と芸術館でのチケット受取りも済ませて帰宅できた。夜はまた雨。清水義範『金鯱の夢』(集英社)読む。秀吉と正妻ねゝのあひだに正嫡あり聡明な「秀正」は家康と組み大阪の異母弟・秀頼を推す三成を関ヶ原に破り大坂の秀頼そして江戸の家康をも成敗して名古屋に豊臣幕府を開くといふ奇想天外なプロットは大変面白い。だが清水義範の面白さは奇想天外が詰まつた短編の方が格別か。
澳門で氹仔(タイパ)と路環(コロアネ)の間の浅い海の泥地が埋め立てられ路氹(コタイ)はカジノやホテルリゾートなど立ち並び、狭い海峡の対岸の横琴🇨🇳もぼちぼちと開発が始まり埋め立てなどしてゐるなと眺めてゐたらいつのまにか澳門よりも大きな土地になつてゐた。航空地図で緑色が澳門で赤色が横琴。それぞれ緑と赤で塗りつぶしが元々の陸地で、それ以外が埋立地。澳門と横琴に属さない西北(左上方)の都市部が珠海市区。その横琴が内地と澳門特区(まだ特別行政区ならば、だが)の「合作区」となるのだといふ。合作区では医師や弁護士など国家試験レベルの免許と資格がいずれのものでも有効で今後更に内地と特区の一体化が進のだらう。何うせなら澳門と横琴の間の狭い海峡なんてさつさと埋め立てゝしまへば話は早いだらう。
香港では民主派の労働運動団体「職工盟」が来月3日の大会で解散を決定と明報が報じてゐる。香港での労働団体といふのは英国統治では左派で中共系だつたのだが、その左派が体制派となるのが香港返還の仕組みで六四の翌年、1990年に李卓人らによつて反中共の民主派の労働運動として職工盟が組織されたもので六四や香港民主化で重要な役割を担って当然のやうにけふひの粛清の重要目標となる。兎に角、国家転覆を企図する「奴ら」が刑務所から出てくる前に奴らが基盤とする組織を全て壊滅しておくことなのだ。奴らの既得権の剥奪。さうすれば何か一つでも悪さを企てたら全てが国安法での初犯で再逮捕できるわけで。
お酒は最後の一滴まできちんと飲む。酔人としての当たり前田の心得。ウヰスキーで「エンジェルヘア」どころか「天使の毛細血管」くらゐの酒がまだ残つてゐるから最後の一滴まで注いだあと少量の水で濯いで、それを飲めば「これが本当の水割り」か。日光の「ひしや」で買つてきた煉り羊羹は竹皮包なのでしばらくおいておくと羊羹の表面が砂糖に固まつてきたころが美味しい。無添加なので最後本当に固まつてしまつたら罹災でもしたら非常食でお湯で溶いて簡易お汁粉で飲めばよいかも。一昨年だか一旦は閉まつたヒシヤの再開は嬉しいところだが再開でも好意的な記事があまり見当たらないのも気になるところで閉業と再開に何ふいふあれこれがあつたのか部外者として知らない。閉業前は一人一本しか買へなかつた煉羊羹が今回は制限もなかつた。