富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

東京五輪まであと11日


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民主党の甘乃威らが中西区区議会で昨年の71や国慶で街頭の中国国旗掲揚に難クセをつけてゐたが今では国安法恐れ暴挙の証拠隠滅かと大公報。六四の支聯会とともに政府が嫌ふ数十万人の市民デモ組織した民陣も骨抜きですでに殯屍の如し。ケーブルテレビでは中国共産党早期描くドラマ放映ださう。

港大清除校內文宣標語 學生事務長:收回學生會會址後續行動 - 明報

学生自治会の活発な反政府運動のポスターなどべたべただつた香港大学で学校側が学生会「占拠」の施設回収して学内の反政府運動ポスターなど剥がして構内美化に躍起。

一気に暴乱系団体の粛清が見事な成果を得てゐる。

曾志豪去咗台灣:抱歉沒道別 未交代原因 網友留言「好消息」- 明報

香港電台で人気のあつた政治風刺番組<頭條新聞>に出演してゐた曽志豪が身は台湾にあり旅居とFacebookで発表。友人らにも消息を告げず香港を離れたことを詫びる。

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 ▲(画像)街中にあるICAC出先事務所の移転で空きがでて不動産やの「貸物件」看板がいくつも掲げられてゐる。これがICACの倒産のやうに見えてしまふから。ICACは贈収賄等政府関連不正取りしまる、泣く子も黙る政府から独立した捜査機関でマクルホース総督による設立以来香港の簾政に大きな成果上げてきたが今の香港市役所では行政長官や建制派の力が強くなりICACトップも政府に順応な役人を任命することで骨抜きになる感あり。贈収賄中共系企業と政府高官の場合に何うなつてゆくのか。それでも中共では政府高官の汚職習近平政権はかなり厳重にとりしまり強化しており香港もそれに準拠するのか。但しICACといふ独立機関は中共政府の命令も受けないことになつてしまふので何らかの組織体質改善は図られるだらう。

▼以下3篇はいずれも香港で公正感の強い明報(本日)の論説に掲載されたもの。いずれも投稿だが、かつて蔡子強先生が鋭く香港の体制分析をしてみせた論壇がすつかり提灯評論ばかりになつてしまつた。

王卓祺「從民主認知指數看西方寡頭「民主」—香港本土恐襲有感」明報

民主是好東西,也是壞東西,視乎為誰服務!當然今天大家講的民主,並沒有一個統一定義;但只重選舉投票權的政制輸入端,不問民主的績效,便是本末倒置。今天,中央政府在黑暴肆虐之後,推行《港區國安法》及完善選舉制度,從本文羅列民主認知指數的國際比較數據來看,是企圖將香港的民主進程,納入政治應為多數人利益服務的正軌。

民主主義は西欧型のものが普遍ではなくさまざまな形があり香港には香港のかたちのあることを理解すべきと王先生。極端な民主化が政治不安定につながり民主主義社会といはれる国で民主主義がそれほど尊重されてゐない、とか。もともと中国の伝統重んじる立場の学者だが中共もその中国の伝統の一部になつてきてゐるか。

林泉忠「如何塑造中國「可信、可愛、可敬」新形象?」明報新聞網

所謂「中國模式」的議論,隨着中國的崛起,而受到國際輿論與學術界的關注,已持續約20載。過去20年,雖然中國國力不斷膨脹,國際地位以及影響力也在不斷提升,號稱崛起時代中國國際戰略重頭戲的「一帶一路」也有一定的拓展,然而「中國模式」卻難以踏出國門一步,也是不爭的客觀事實。即使在當下作為人類共同議題的對抗新冠疫情一役中表現出色,明顯地把眾多西方國家給比了下去,然而早期中國疫情爆發時動輒就是「一刀切」,或完全封閉式社區管理的防疫方式,至今也難以為其他國家或地區所普遍仿效,卻也是明白不過的現實。

「中国モデル」が中国だけのものから何う世界的なモデルとなつてゆくか。この林先生の発想のなかには中国の覇権主義に対する警戒がない。

楊鳴宇「進入「新常態」的澳門政治」明報

對國家安全的重視,已經影響到澳門既有的管治邏輯。從這個意義上看,「DQ」是一個連續變化過程的一部分。但從另一方面而言,和許多澳門市民的直觀感受一樣,它又是出乎意料的——假如事件真的是出於對國家安全的考量,那和經驗認知的並不一致,尤其是澳門在落實「一國兩制」和國家安全的相關政策方面,一直是得到中央的肯定。

對於澳門政府管治,亦會帶來不利的影響。首先,澳門立法會在澳門社會素來被戲稱為「垃圾會」,可見對其的認同不高。如果連有限的不同聲音也失去,將會進一步打擊立法會甚至澳門政府的合法性,這樣的「新常態」並非好事。其次,澳門政府在回應性和問責性上一直為市民詬病,尤其是自新冠疫情爆發後,澳門經濟受到了直接的衝擊,市民都期望政府能夠專注恢復經濟和改善民生,如前述非建制議員並不能對政府政策的通過與否產生實質性的影響,他們的意見卻能幫助相關政府部門認識、了解政策的不足和市民的偏好,對施政事實上的幫助是「一言堂」無法比擬的。

マカオの状況を「新常態」と肯定的に見据へてみせるマカオ大学の政治学教授。マカオは一国両制で香港に比べ中央政府に順応な優等生ぶりで香港のやうな重圧的な制度改革を露骨にされてこなかつたがマカオでも反政府的な動きは徹底的に排除する動きに。 

マカオ議会選挙で選挙管理委員会が21人の立候補取り消す | NHK

議会でわずか数名の民主派なのだから、それを遺すことで(中共の「多党制」のやうに)マカオの政治の自由の象徴とすることも可能だつたのだが悪い芽は根こそぎ排除の徹底。


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猛暑快晴。家人と接骨院のあとお昼に「てんや」で大江戸天丼。海老、イカ穴子。これで820円はじゅうぶんにお値打ちだらう。天ぷら屋が必要以上に高級化してしまつて、かういふ神保町のやうな天ぷらを出す小汚い店がなくなつてチェーンに頼らなければならない。夕方になり連日の大雨。すごい稲光。そのあと虹が出る。トウモロコシご飯。 


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陋宅マンションの裏手に何だか見事に繁つてゐたので手折つて活けてみる。作為的に育てられた生花よりも野趣あつてかういふのも良いね。

さすが産経新聞東京五輪の下火を悲しげに伝へてくれてゐる。馬耳公苑や駒沢など昭和39年の東京五輪ではどれだけ盛り上がつたことか。

東京五輪:海上保安庁が不審船対応で臨海部警備訓練|NHK

ミュンヘン五輪ぢゃないのだからどこのテロ組織がこんな下火の五輪を狙ふかしら。不審者といへばIOC電通だろ。

東京五輪まであと12日

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2014年の雨傘運動で葬られた愛国教育が今では「国を愛することは天経地義*1」と、こんなことを中国法政大学のカルト系教授がいふのなら驚きもしないが、こんな思考停止の暴論を宣つてゐるのが香港大学優秀な成績で卒業して香港政庁の政務官として着実に出世した挙句に中共に自ら身売りしてしまつた香港市長。一昨年は逆権運動高揚のなか一度は今すぐにでも辞任して香港市民に謝罪したいとまで心境吐露してみせたが。それにしても愛国主義を、こんな狭義的……どころか思考停止モードで一党独裁国家の肯定に意義づけできるとはいつたいどれだけバカなのだらう。まぁバカほど出世できるのが今の社会ではある。

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中共にとつては香港の反政府団体の中で最も忌み嫌ふのが六四の支聯會。香港の本土派なんて香港の民主化さえさへあればよい、本土なんて何うでもよいなのに支聯會は中共一党独裁打破しなければいけない。数十万人を一気に集めるだけの基盤がある。その支聯會も幹部が収監されるなか常委の成員も辞任に追ひ込まれ常勤職員も解雇せざるを得ず実質的に機能せぬところまで追ひ込まれる。

かつて映画スターだつた成龍(ジャッキー=チェン)が「共産党は偉大だ、入党してもいい」と宣つたとか(台湾連合報)。まだ党員ぢゃなかったの?とあばらかべっそんだが映画がもうヒットしなくなつて大陸で威張るのに中共傘下に。その上で台湾や香港の世論を非難して随分と顰蹙かつたが、もうスレてしまつた往年のスターなので何うでも良いか。

本日農暦六月初二。青空。NHKの〈音楽の泉〉でシャルル=デュトワ指揮のモントリオール交響楽団ラヴェルのピアノ協奏曲ト単調が実に素晴らしかつた。もう一曲はラヴェルの〈左手のための〉でN響(森正指揮)でピアノは安川加壽子先生の演奏活動40周年だかのもの(この曲の日本初演も安川先生だつた由)。

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この▲世界システム論の分析もわずか7年前のものなのだが「世の中の」パラダイムも随分と変容してしまつてゐるかもしれない。近代はかなりたどりつくところまで追ひこまれてゐる。もはや限界に達して世の中でバカがマジョリティになつていくと「中共やロシアの民主主義」にも理があるやうに思へ李光耀の新加坡経営の正しさが痛感されるといふもの。但し李光耀は少なくともアジアに西欧型の自由主義や民主主義を根付かせることの難儀に基づいたわけで、まさか西欧もこれほどイカれてしまふとは思つてもみなかつただらう。

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Je veux partir en voyage...

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水戸芸術館で「1964音風景」といふ企画あり参観。いはずもがな昨年の東京五輪に合はせた企画で当時の現代音楽の音の風景の回顧。演奏はアンサンブル・ノマド

1964 音風景 |コンサートホール ATM|水戸芸術館

アタシが水戸芸術館小澤征爾館長を襲ふのはこの人ぢゃないかと察してゐる片山杜秀先生の企画で本日解説もあり。初めて直見(ぢかみ)。いきなり杖をついた老人とステージに現れ誰かと思へば本日のサプライズゲストで湯浅譲二は御年九十二。さすがお話の内容が今いちよくわからないところもあるが壇上にあるだけで拝むやうなもの。

湯浅譲二:ホワイト・ノイズによる〈プロジェクション・エセムプラスティック〉

高橋悠治:クロマモルフⅡ(1964)
ジョン・ケージ:〈ピアノのための電子音楽〉(1964)より
一柳 慧:弦楽四重奏曲 第1番(1964)
テリー・ライリー:インC(1964)
片山先生は当時の前衛音楽は近代の音楽の手詰まり感の中で何か新しい模索であつたが今かうしてこれを企画にしてゐるやうに当時もこれが人類の新しい水平線を切り開く期待があつたわけでNHKが湯浅先生の制作のために電子音楽スタジオ提供したりイベントが開催されたり、それはそれで十分に市場があつて商業音楽であつたとパンフレットに書かれてゐる以上のことをコメントされてゐた。

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湯浅先生のノイズがとても美しい。そしてジョン=ケージの〈ピアノのための電子音楽〉も前衛のやうでもはや古典の域。そしてアンサンブルノマドの力量発揮でテリー=ライリーのこの曲もなんて愉しいのかしら。悠治先生と一柳先生の曲はアタシはおそらく来世紀くらゐでやつとわかるかもしれない。中入りの時にロビーで外を見たら雲行きが怪しかつたが(今朝は快晴で芸術館に来るときは日傘さしてきたのに)演奏会終はると盥をひっくり返したやうな大雨、落雷。家人が気をきかして芸術館の地下駐車場で待つてゐてくれた。1時間に30mmの雨。

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帰宅するときれいな虹になつた

*1:「天の経なり、地の義なり」と読む。経は、不変の大道。義は、正しい道理。孝、礼などの人倫は、天地の間でもこの上なく、不変の常道である。人間として当然で、しかも正しい道のたとえ。『孝経』三才章。【出典】真藤建志郎著「 四字熟語の辞典 」日本実業出版社

東京五輪まであと13日

 

 

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香港は反政府言論が一蹴されたことで真赤っか。中国共産党万歳。今更ながら、だが一党独裁の強権政権を相手に抗はうとしたのだから運動はもつと慎重に強かにすべきだつた。どこかで妥協点が必要であつた。それがいつだつたのか。一昨年八月、反政府運動がピークに達してゐたとき(つまりもはや勇武派の制御もきかない状況になつてゐたが)Warf財閥のPeter Wooが、もう反送中行動は成功して成果を得たのだから運動の抑制を求めるコメントを出してゐる(并开始出现恐怖主义的苗头 - 富柏村香港日剩20190814)。

再這樣下去不會有贏家,後果也像五年前的佔中一樣得個零,這次最後敗因也沒有變,不服氣,再與中央爭權,以為這次可以用暴力去逼北京改《基本法》和「831」。請不要再令香港再付出沉重代價!

あそこで運動を一退させれば当面の均衡は保たれたのかもしれない。

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(香港)民主派区議が一斉辞職「愛国」宣誓前に:朝日新聞

一昨年11月の区議会選挙で、香港で唯一実施される市民1人1票の普選で民主派が圧倒的勝利。反送中からの抗議活動が出口見えず中大と理工大での暴力抗争白熱で沈静化されたあと市民が選挙といふ政党手段で抗議の意思を示したもの。その区議会議員らの辞職。彼らが議会からの「除名」選ばず辞職するのは除名で議員資格剥奪の場合、ペナルティで約1,500万円を上納せねばならぬからで資金も乏しいなか世論の力で議員となつた彼らにそんな余裕もなく除名前に辞職せねばならぬといふ事情がある。これが大公報的には、あの選挙も民主派を名乗る黒幕らにより香港社会の世論は歪められた中でおかしな結果になつた選挙でしかない。だからそこで社会の正常な判断もないまゝ間違つて当選した議員は辞職して当然、となる。

行人隧道寫字祭「烈士」 兩人涉刑毁被捕 - 明報

71の警官傷害で自害した市民を「烈士」と祀つた2人を逮捕。通行路の壁に「烈士」と落書きしただけで従前なら軽犯罪で罰金刑くらゐだが所持品に、この祭祀のため「光復香港」や「時代革命」のスローガン布あつただけで国安法で逮捕。革命政権ほど新たな革命を厭ふ。

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リンテイ筆頭に市役所高官の誕生日も祝賀?(明報)

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飛猿が白鵬立ち往生させる作戦に(名古屋場所7日目)

本日のNHK大相撲中継で解説は錣山親方と親方が寺尾の付き人だつた鶴竜親方。錣山鶴竜に「何て呼んでいゝのか」と困れば鶴竜が「いつも通りでお願いします、すごい緊張してます」に錣山「楽しくやりましょう、こんな暗い時代だからね」と。

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西日本や関東でも南は豪雨に見舞はれたが水府は雨も少なく今朝は夏のやうな青空。早晩にカツオを頬張る(これで400円だつたさう)。夜になつて雨雲俄に押し寄せ1時間で37mmの大雨。

昔はメディアに来る人間は「長いものに巻かれる人生だけはイヤだ」という変人ばかりでした。かつてハマコー曰く「君らは政治記者だというが投票所で自民党と書いたことなんかねえだろう」。

ハマコーですらリベラルな真の保守に思へる……今のジミントーならマヂに怒るバカばかり。

東京五輪まであと14日

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開催すら疑問視される東京五輪で当然だらうがやつと無観客開催の決定。それでも感染目立つ4都県のみで地方は観客入れての開催。

五輪でサッカー開催の茨城県鹿嶋市長「五輪 観客入れても大丈夫だと思う」|NHK

鹿島スタジアムがもし利根川対岸にあつたら千葉県で無観客だったっぺよ、それぐれーのちげーなんだよ、なのだが。結局、茨城県知事が鹿嶋でのサッカー開催は原則無観客で学校連携観戦のみ受け入れ(茨城新聞)と裁定。学校単位での感染も「これで感染したら」で校長も教委も責任なんてとりたくないから感染辞退に流れるのだらう。マラソンの北海道も無観客の決定。

スガ答弁の曖昧さを荻上チキ、澤田大樹記者がまぁ重箱の隅まできちんと検証はお見事。記者の質問も質問内容の背景までじつにわかりやすく解説。これまでどれほどスガの感染対応、五輪対応に無理があつたことか。ザハの国立競技場、エンブレム問題あたりから失敗の連続、裏目裏目東京五輪。この東京五輪失敗の先に来年の冬季北京大会の輝かしい成功が控へてゐる。

滑舌の悪さは元々の舌足らずの上に口を開かずもごもごと話すクセに加へて秋田訛りならそれはそれで良いのに無理やり標準語の発音で話さうとすることも影響あり。栃木の渡辺美智雄、福島の渡部恒三など良き例だし秋田なら村岡兼造(橋本内閣の官房長官)などもゐた。

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おもてなしのお作法の基本は「挨拶」‐ 頭を下げた時の視線は自分の足元を目安に……なにごともダメなスガ。

f:id:fookpaktsuen:20210710105717j:plainまともな防疫対策もできないのに経済ナントカ大臣の西村某が酒類提供規制守らぬ飲食店に対して取引のある金融機関から働きかけ求める→誤解があるといけないと釈明→官房長官が方針撤回。大馬鹿者。愚の骨頂。ロックダウンならロックダウンやつて早期収束図るべきところ、それをする勇気も智慧もなく、この日本らしい「働きかけ」。戦争中もこれで随分と苦労したものだつた。この政治的センスのなさと傲慢さはどこからくるのか(灘高→東大法→通産省自民党)。

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頭を下げた時の視線は自分の足先を目安に

香港市役所の保安局副局長、入境処と税関のトップ3人が中共系企業関係者らと限聚令の規定超える8名だかで会食。場所が湾仔のプライベートクラブなので飲食店対象にした限聚の規定外となるが常識的問題。その上、この会食に参加してゐた中共系企業の輩が強姦容疑で逮捕されてゐるといふおまけつき。何ういつた目的、話題の会食だつたのか保安局は本日この3人の会食につき(謝罪や処分はせず)行動慎重にすべきとコメント。香港の小役人たちの弱々しいイメージから随分と中共タイプの太々しい顔面の連中。段々とかういふのが増えてくるだらう。

香港大学の学生会(自治会に相当)で幹部ら30名が集団で辞職。1日の警官傷害で自殺した市民を追悼する声明を出したことに暴力行為賛美と非難集まつた結果。反体制的であつた学生自治会の弱体化で毎年、港大で積極的に行はれてゐる六四追悼も来年は何うなることか。かうしてさまざまなものが清算されてゆく。

香港の夏の風物詩のやうな湾仔会展での書展(ブックフェア)は最盛期には100万人!集客で猛暑のなか湾仔MTR駅から会場までの長蛇の列が話題に。1990年から開催されてきたが香港返還で香港歴史への関心が高まり2003年以降は民主化運動関連の書籍なども多く出版され言論出版の自由を象徴するやうな空間であつた。それが疫禍と国安法、人々の書籍離れも相応して今年はかつてのやうな賑はひにならぬだらう。台湾の出版物も制限がかゝるだらうし、そのうち本土のやうなつまらないブックフェアになるか。

東京五輪まであと15日

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結局、東京に4度目の緊急事態宣言。我々はもうこの宣言に集団免疫ができてしまつてゐる。

首相が「コロナに打ち勝った証し」と位置づけている五輪を目前に、東京は4度目の宣言に入る。五輪のありようも、首相が思い描いた形とは異なるものになりそうだ。オリパラ対応に関わってきた自民党衆院中堅は、厳しい口調で語った。「『復興五輪』、『打ち勝った証し』を強調してこのあり様だ。首相は厳しい状況に追い込まれた」(朝日新聞

なぜ、これほどまでに「ダメな国家」になつてしまつたのか。

国境線に区切られた一定の領域から成る、主権を備えた国家で、その中に住む人々(国民)が国民的一体性の意識を共有している国家。(中川長夫)

市民革命を経た近代国家になつてゐないので「国民的一体性の意識共有」がない。これを求めると一億総ファッショとなる。更に問題は主権が存在しないこと。米国といふ宗主国下の隷属状態で主権も実はない。政府対応こそが重要の疫禍対策ができないのは、ある面、致し方ないことか。これは政権交代があつても、この国家の地位が現状のまゝでは何もかはらないだらう。この(上述の)中川先生の「国民国家」に対する定義を呼んだのは岩波書店『図書』2015年2月号で「日本史研究の今」と題する加藤陽子先生と吉田裕先生の対談(戦争を通して見えてくる近現代の姿)にて。そこで加藤先生が旧日本軍の分析を披露してゐる。

(要旨)参謀総長の権限が実は大きくない。参謀総長軍令部総長がもつてゐるのはあくまでも「指示を出す権限」で「命令する権限」はもつてゐない。統帥のトップは現地軍への権限を直接的にはもつておらず天皇の名前を媒介させなければならなかつた。よつて現地の作戦軍司令官や連合艦隊司令長官など前線への規制が弱く現地軍を統制できない。

……これってまさに今のワクチン接種でも陥つてゐる問題。いつたい誰が何を戦略として決めて具体的な戦術を何うするのか、決定権と責任の所在の曖昧。実際の現場を任された知事、自治体の首長レベルも何を信じて何を基準に判断すればよいのかわからない。ロックフェス中止に追ひ込まれた渋谷陽一氏の指摘する点もこれだらう。

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大谷翔平選手が米国プロ野球で目覚ましい活躍。これを同胞として喜ぶわけだが大谷君の力は「日本人の」力ではなく日本人が総体として何か強いものを有してゐることではない。ましてや国民栄誉賞になると辞退するイチローの見識すら感じる。

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アーケードのある水戸南町3商店街(ハーモニーロード)

 昨日の日剩に「パサージュ論」のこと綴つたが日本の商店街のアーケードは悲惨な状況。地方の商店街でアーケードのあるかつての繁華街はシャッター街に。水戸でいへば水戸東照宮に「宮下銀座」なるアーケード街があるが夜の飲食店が辛うじて入居してゐる程度でアーケードも店舗も老朽化でアーケードなのに雨漏りがひどく雨空だと傘をさしてアーケード街を歩く始末。水戸駅前の大通り(国道50号線)もかつては南町1から泉町を経て大工町までずつとアーケードが続いてゐたがアーケードの老朽化で撤去が相次ぎ今では南町3と大工町の雷神前に残るのみ。後者は老朽化で安全性にも問題があり撤去が求められてゐるが商店街がすでに存続できてをらず撤去費用の捻出もできず。南町3は水府の中心部では、まだ老舗店舗が存続してゐる方だが、こゝもアーケードは改修もできておらず雨漏りが目立つやうになつてきた。


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もうすぐ京では祇園祭。日本に戻つたら何十年も離れてゐた日本をあちこち旅行してみようと思つてゐたが、それも能はずのところ久が原T君から以前いたヾいた祇園祭の粽が疫禍、今年はネット通販ありと聞き、それを注文して今日届いた。本来であれば祇園祭でそれぞれのお会所に並んで頂くか、上洛の方から分けてもらふか、さういふありがたいものなのだが。今の厄難消除は「まさに」スガ除去なのだけれどスガは漢字にすると菅で、まさか「厄難菅除」としたら菅公に虞れ多く間違つてもさうは書けない。 

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岩波書店『図書』2015年2月号

杉田敦先生といふとかつて朝日新聞憲法学の長谷部恭男先生との憲法放談で、そこでは論客の長谷部先生の良き聞き役のやうだつたがじつは杉田先生は奥が深く了見の冴へあり。この「秘密」についての文章も、もう6年前のものだが政権と政府で「秘密」が堂々とのさばる現状からすると、これが余計に興味深い。じつに柔らかな思考。

東京五輪まであと16日

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保安局長として蘋果日報摘発の李卡超(現職は香港市役所政務司長)が香港の選挙候補者審査委のトップに:朝日新聞

もう何も驚くまい。親共勢力による香港の政治装置の独占で安定した社会の建設。それ以外の何ものでもない。

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銅鑼湾の警官殺傷後に現場で自殺した抗議派市民追悼が制限される香港。SOGOの前で花束をかゝへて歩いてゐるだけで警察に職質され荷物検査され逆権に関するもの所持あれば国安法でしょっ引かれる。そんななか大量の韮を抱へた黒服の女性が銅鑼湾に現れ警察は職質。「これは韮です、献花ではありません」。警察は渋々、この女性を解放。ちなみに韮は発音は「jiǔ」で「久」と同じ。刈り取っても何度でも生えてくるので逆権運動の継続の暗喩でもあるわけですね。

▼本日農暦五月廿八日。小暑。今日は七夕ではない。七夕は陽暦8月14日。もう立秋もすぎて季節が秋めいてきて、のころ。東京五輪を目前に都の感染者数がV字回復!なんて軽口をたゝいてゐたら一気に900人と千の大台が間近に。重点措置延長で何うにか五輪開催に漕ぎつきたかつたスガも致し方なく4度目の緊急事態宣言。もう緊急事態宣言に集団免疫ができてしまつたのだが。そんななか茨城の旧軍射爆場跡地で毎年開催されてきた(昨年は中止)日本最大のロックイベントROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021が中止に。さまざまなイベントが中止となるなか主催者にとつて苦渋の選択だつたがプロデューサーの渋谷陽一氏曰く「このコロナ禍にあって医療関係の方の協力と理解は絶対に必要なものです。それを得る為には私たちは努力しますが、これまで書いてきたように、医師会からの要請に十全に応えることは今の私たちにはできません。残念ですが中止以外の選択肢はありませんでした」。スガの「これを最後の緊急事態宣言にしたい」とか「万全の感染防止で五輪開催を」なんて誰にも響かない言葉に比べ、この渋谷氏の言葉からどれほどの気持ちが人々に届くことか。茨城県医師会から主催者への「要望」は「まさに」(スガ調)いまの日本の公的判断そのもので「今後の感染拡大状況に応じて、開催の中止または延期を検討すること」は肝心なところで当事者に判断を委ねてみせる。開催に向けて日が近づくにつれ1日に何千万円といふ支出が嵩んでゆくわけで、その最後に中止は最悪で「これ以上判断を先に延ばすことは余りにもリスクが大き過ぎます」。実は東京五輪も同じなのだが、その判断から逃げ続けてゐる。渋谷氏は、当事者に判断を委ねるのに、その基準も曖昧な点を指摘してゐる。

その解釈は余りに多様で基準が曖昧です。何をもって感染拡大とするのか、それに基づく中止や延期の基準となるものは何かは明示されておりません。感染者数なのか、死亡者の数なのか、病床の使用率なのか、あるいは緊急事態宣言の発令なのか、私たちには分かりません。それでは私たちは対応ができません。その状況で判断を先延ばしにすることはできません。

渋谷陽一氏の言葉は国民の苦痛な叫びの代弁のやう。スガなどに国政を任せてゐるのならいっそのこと渋谷陽一氏を首相に!

名古屋場所大相撲中継を見てゐて客席は艶やかなお姐さん方が晴れ着で、なら目を楽しませてくれるところだが初日は大須の芸者衆も段差に足を投げ出して縁側ぢゃないんだからと呆れるほど。それが今日はピンク色のシャツ姿のお兄さんがきちんと正座で姿勢もよく感心させられた。

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白鵬四連勝。今日もけして横綱相撲とは思へない、土壇場からのラッキーな勝利だつたが朝青龍も最期はあんな相撲をとつてゐた。横綱があんな勝ち方でニヤニヤと苦笑したりするものではない。むしろ「こんなことで自分は何うするのだ」と苦渋の表情でもすれば「白鵬、頑張れ!」とアタシも思ふかもしれないのだが。

パサージュ論(一) (岩波文庫, 赤463-3)

ヴァルター=ベンヤミンの『パサージュ論』読む。といつても、あんな大著をさらりと通読できるはずもなく岩波文庫の第1巻で読んだのは序説の「パリ ― 19世紀の首都」(ドイツ語草稿)と今村仁司のあとがきのみ。近代市民革命を経てゐるからこそ、巴里や倫敦は近代的都市の完成形たり得る。維納や羅馬なども、その時代を体得してゐるから同じやうに近代の都市となる。わが東京は何度も焼失はしてゐるが近代革命を経てゐないので巨大な田舎のまゝ。そこで京都の方が面白いのかもしれない。ふと「ところで東京に巴里のやうなパサージュはあるのかしら?」と思つてグヾつたら日本でパサージュといえばパチンコ屋かヘアサロンで、青山にできた商業施設でそれ風の名前のところもあつたがパサージュといふには正鵠を得てゐない、ただの路地のやう。浅草の新仲見世のやうな(水戸でいへば宮下銀座)アーケード街はパサージュのやうだが一筋の通りに屋根があるばかりで京都の錦市場も横筋は無蓋で新京極と交わるところだけは多角に広がるパサージュではない。

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考へてみれば核兵器禁止条約の署名、批准すらできない国(なのか何うかも怪しいところ)なのである。近代的な防疫などできようはずもない。
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東京五輪まであと17日


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「黒暴乱港 唯有法弁」と大公報は暴徒らによる香港の混乱はたゞ法律で対処すべき、と訴へるのは23条立法のこと(明報)。国安法制定しても更に23条立法は必要。それなら2003年に50万人デモで23条立法廃案などにせずマカオのやうに、この立法受け入れておいた方が良かつたのか、今となつてみれば逃亡犯条例の方がまだマシで、それで23条立法は焦らすのも得策だつたのか。リンテイ市長は逃亡犯条例持ち出したときに、どこまでのことを考へてゐたのか。(陰謀論になつてしまふが)実はすべてが今日の状況を到達点として描いたシナリオがあつたとしたら……2014年の雨傘のときに、こんな風土を何う平定するか、で。この作戦は結果的に成功したが間違いなく「やりすぎ」感あり。いずれの立場でもさうだが、ある程度の成果/損失のところで「こゝまで」で停止、相手に対する譲歩が肝心。日露戦争くらゐまではそれができていたわけだが。

米IT大手が香港でのデータ保護法改正巡りサービス停止警告  - WSJ これはまだ警告レベルとはいへ抗議活動、反政府言論、新聞などメディアなどで国安法による規制強化で、つぎは何う考へてもネットだらう。蘋果日報が消滅しても社会を混乱に陥れる言論が放置されてゐては中共にとつては厄そのもの。国内では見事に反政府的コメントなど管制できてゐるわけで香港でも管制強化にはデータ保護法改正が必要。ネットが自由に世界とつながつてゐることが中共と香港の大きな違ひで一国両制の象徴のやうな感覚だつたが内地のやうにGoogleFacebookもつながらないとなつたら、香港はもう香港でなくなる、といひたいところだが現実的にはもう陥落してゐるか。中共WSJのこの報道に対して早速、これをガセネタと非難(翌7日の大公報)。

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笹まくら (講談社文庫)

丸谷才一笹まくら』(講談社文庫)読了。小説苦手なアタシがなぜ丸谷先生のこれを読んだのか、確か何かの書評で戦前の荷風散人の世界を踏襲してゐるのが、だつたか小説としての完成度の高さだつたか、何かほめられてゐた。丸谷先生の小説は昔、『裏声で歌へ君が代』と『女ざかり』と読んではみたものの……やはりよくわからなかつたのが正直なところ。

 これもまたかりそめ臥しのさゝ枕

 一夜の夢の契りばかりに 藤原俊成女

戦争が終はつても主人公が楽しくないのはいつ特高に捕まるかといふ不安と自分だけが逃れたといふ罪悪感からであり、これは漱石の気持ちと重なる……と川本三郎。この小説が昭和41年に刊行されたときの作者自身の言葉。

徴兵令が布かれてから敗戦の日までの長い歳月のあいだ、日本の青年たちの夢みるもっともロマンチックな英雄は、徴兵忌避者であった。彼らはみな、この孤独な英雄の、叛逆と自由と遁走に憧れながら、しかし、じつに従順に、あの、黄いろい制服を着たのである。そう、ぼく自身もまた。……ぼくの長篇小説『笹まくら』700枚は、そのようなかつてのぼくの従順さに対する錯綜した復讐となるであろう。

丸谷先生の文章が旧かなではないのが何とも不思議。この小説の中でも主人公が電報を打つときに旧かなであつたことで郵便局員にチェッと舌打ちされる場面があつた。

説き語り中国書史 (新潮選書)

石川九楊説き語り中国書史』(新潮選書)も読む、といふか専門的すぎて眺める。字画文字として誕生した篆書体は、文字を構成するための字画を集めてなりたつ文字なのに対して隷書体は「書く」姿を文字のなかに投影した初めての字画文字。筆尖と紙(対象)との接触と摩擦によつて対象の存在を感知し筆毫の開閉によつて対象の質の違ひを認識することにより、主体–客体関係を成立させるのが書法。その主体と客体の関係を簡(対象)に墨跡として定着させること、それが「書く」といふことの成立を象徴するのが隷書である、と九楊先生。

「書く」ことの成立により、文字は単なる観念的な象徴的な表装ではなくなりました。右手に筆をもち「トン」と抑えると、左上から右下へむかう起筆が生じます。そこから横画を書こうとすると、筆触は最大抵抗を求めて直角に進もうとし、おのずと右上がりとなります。書字の際の書き手の身体性まで規範に含みこんで、横画右上がりの草書体、さらには行書体が生まれていきます。文字は、身体をそなえた人間の書くという行動・動作の過程(プロセス)さえも表現するものになったのです。書字の身体性の発見といってもいいでしょう。

いつも自分なりの字が書きたいと思ふ。メモ書き一つとつても祖父の残したものなど実に味はひがあつて少しでもそれを習得したいものと思ふのだが。それにして「書く」といふ行為を、さすが九楊先生ともなると、こゝまできちんと分析できるとは……敬服。