富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五四運動百周年

農暦三月晦日。曇。陽暦五月四日で1919年の五四運動から百年。土曜なので早朝、FCCに週末の新聞読みに出かけたらFCC横の階段に若者の長蛇の列。香港ばかりか大陸旅客もをり五四運動とは関係なくアディダスの運動靴か何か限定版の発売か。

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岡田屋(Aeon)でタイ王国のワチラロンコン国王戴冠式祝賀ではないのだらうが泰国食品節開催中で大量の榴槤(ドリアン)販売に長蛇の列で之に並ぶ。


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晩はこゝ数日の気温低下で大根おろしと韮の鍋で豚肉のしゃぶしゃぶ。

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食後今年初の榴槤頬張る。

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五四運動百周年。大公報は對標五四精神 讓青春與家國共振なんて記事大きく掲げ若者のエネルギーと国家が共振し新しい時代を、なんて謳つてみせる。

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清朝倒したものゝ民国は袁世凱の帝政となり1916年に袁世凱逝去のあと軍閥割拠で第一次世界大戦で日本は対華21ヶ条突きつけドイツの山東省権益の譲渡、関東州租借と満鉄権益の期限延長を求め、かうした動きに反発した若者らによる蜂起が五四運動。この運動は蔡元培、胡適、傅斯年ら西欧の社会民主主義思想に感化された知識青年らによるもので、これにソ連共産主義革命でコミンテルン主導で獨秀や李大釗ら共産主義運動に拍車かける。結果、後者が勢ひ帯び、最後は毛澤東の共産革命となるわけで中共にとつても五四運動は輝かしい革命前史。だが中共にとつては五四運動は1979年の70周年が胡耀邦逝去契機にした民主化運動で六四に至る象徴的な日であつたことも喉の棘の如し。陶傑氏が今日の蘋果日報連載の随筆で「五四」這個悶話題が興味深い指摘。

「五四」這個悶話題 - 陶傑 | 蘋果日報 | 果籽 | 名采 | 20190504
五四運動では「科学と民主」が謳はれ、その科学はテクノロジーに非ず理性、民主は民主。これが百年後、中共は世界第二位のGDP誇る経済大国となり中共一党独裁での政治安定も誇り、そこで上述のやうな「對標五四精神 讓青春與家國共振」宣ふ。陶傑氏は五四運動に対して日本の明治維新から近代化の成果を評す。中共の五四運動百年での欺瞞的な成果誇張に対して日本は維新百五十年で安倍首相は談話もなく(これは凍結氏の誤解、政府主催の明治150年記念式典で晋三は誇らしげに式辞述べる(こちら)、天皇はこれに参加せず)天皇退位と新天皇即位でも「憲法を守り国民のために」と述べる日本。明治維新も農民蜂起も京都・奈良の焼き討ちもない(これも正確ではない)。

如果紀念「五四」,中國人有起碼的誠意,不忘初心,應該繼續「五四」先賢之「打到孔家店」、廢除儒學;為何又到處宣揚「中華儒家偉大文化」、開「孔子學院」?一到這種骨節眼,你就知道,他又手癢,又想搬龍門了。

中国では「科学」思想により儒教など攻撃受けたが中共が伝統的封建思想否定するはずの今、世界中に「孔子学院」開く矛盾。科学的に先進国になつたはずが米国に何十万人の若者が留学する現実。確かに大いなる矛盾が何も解決されてをらず。昨年、FCCで香港独立宣ふ香港民族党の代表をスピーチに招聘したことで香港での取材活動拒まれたFT紙のVictor Mallet記者の記事“Hong Kong: business must pay heed to the erosion of freedoms”は一読に値する。

- The popular myth about boiling a frog — that the animal will jump out of the pot if placed in boiling water but die when plonked in cold water and gradually cooked — should be recalled by anyone involved in politics, business or the law in Asia today. In most cases, freedom and the rule of law are being eroded only gradually, but the erosion is real and the cumulative effect substantial.
Business is not exempt from this lesson. In Hong Kong and other financial centres, a surprising number of investors and entrepreneurs believe themselves protected from the depredations of authoritarian governments — and their arbitrary, extralegal decisions — on the grounds that they are purely economic players and steer clear of that terribly disruptive and inconvenient thing called “politics”. They may be right for the time being. In the long run, they are deceiving themselves.
The dangers are, of course, more immediate in authoritarian states such as China. Many observers thought President Xi Jinping would accelerate political and economic reforms and preside over a more liberal society, but he has done the opposite, concentrating power in himself and the ruling Communist party and crushing dissenters.

- The reality is that abuses of freedom, transparency and the rule of law can never be fully confined to the “political” sphere.
There is not merely the problem of business people, lawyers and journalists trying to go about their daily business without risking arbitrary arrest. Economic and financial news and data, essential for bankers and industrialists, are an increasingly contested area. This is true even in a democracy such as India, but it is particularly so in authoritarian China.
As the Chinese economy slowed last year, propaganda officials ordered editors and journalists to refrain from publishing bad news about such matters as inefficient state companies and local government debt. “The economy is now political,” one editor told the FT anonymously at the time.
In too many countries — from Turkey to China, and even the US — respect for the truth and rule of law is now under sustained attack. That is why work by law firms to improve protection for journalists, whistleblowers and activists is so important — even if it turns out not to be enough.
The assault is not always alarming or visible, because our freedoms are usually eroded one small step at a time. But the frog is slowly being boiled, and soon it may be too late to jump out of the pot. 

憲法記念日

農暦三月廿九日。曇。気温摂氏廿度下回り肌寒いくらゐ。朝、J-WAVEでジョン=カビラさんの番組に電話で「セルフレジ」について話す。中国の路地裏の食堂でのスマホ決済のお気軽さをネタにすれば良かつたと終はつてから気づく。労働節からの中共連休で香港に大陸からの観光客甚だ多し。この連休だけで84万人の由。

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LVの背負鞄もお洒落だが明らかに山寨(ニセモノ)。もはや中共は強国なのだから本物を堂々と買ひ占めないといけない。早晩に土曜で賑やかなFCCのバー&ラウンヂ。日曜日に沙田競馬場で邂逅の藤井寺Y君とSちゃんが台湾への小旅行から戻られ今晩深夜の空便で大阪に還るので家人と会食。お二人は毎年年末の香港国際競馬に来られるが、いつも大人数で、かうしてお二人だけとの会食は初めて。台湾では高雄から台湾最南端の墾丁まで行つたさうだが折悪く暴雨だつた由。台湾土産でカラスミをいたゞく。Sちゃんが大の啤酒党で一緒に啤酒飲んでゐたが食事の最中に遉がに啤酒に飽きて口直しにジャックダニエル注文したらダブルで1杯なのに2杯来てしまつて機転のきく給仕が「もう2杯注いぢゃいましたからね」と2杯分を1つのグラスにしてくれる。かういふサービスは嬉しいかぎり。

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本日、令和になつて初の憲法記念日。読売新聞は「改憲論議、打開なるか……令和初 自民、草の根啓発に力」なんで凄んでみせるが毎日新聞で安倍政権での改憲反対48%(賛成31%)、朝日新聞改憲機運高まらずが72%、9条不変支持が64%と多数占め晋三宣ふ9条への自衛隊明記も反対(48%)が賛成(42%)上回る。晋三前の自民党改憲草案当時は憲法を現実に即した改憲が世論で積極的だつたのに対して晋三のおかげで改憲ムード下火になるとは何とも……。先帝は自らの生前退位俎上に載せたことで戦後日本の「この国のかたち」守る結果に。

(インタビュー 新時代・令和)日本国憲法の現在地 憲法学者・樋口陽一さん:朝日新聞デジタル

現政権で安倍晋三氏とその周辺が旗振る改憲では幅広い支持には至らず挫折するのでは。「言葉を積み重ねることで公共社会に共通の枠組みを築き続けていく」そういった文明社会の約束事をあまりに軽んじる政治家たちだからです。

三十年前にまさか聖上と樋口先生が憂ひ、思ひを一つにするとは想像もせず。樋口先生は天皇制など要らぬ共和主義者と。それが戦後の立憲主義を普遍なる価値として共有。さうした力の作用により、平成のうちに晋三内閣終焉は見られなかつたが、晋三らのインチキの化けの皮は剥がれ平成のをはり。では、これで一先ず安泰かといふと問題の肝心は何ら解決されてをらぬどころか問題視すらせぬ問題。樋口先生が憂ひて曰く

日本では、遠くから見れば表面的には大きな波風が立っていないように見えるのかもしれませんが、フェイクが横行し、すべての議論の前提である「言葉が持つはずの意味」が失われています。深層で何かが溶解し始めた状況、頑丈だと思われてきたものが崩れ去り始めている感覚があります。

天皇制について井上達夫教授の提言が興味深い。

記号化された天皇、一体化に利用する「われら」井上達夫:朝日新聞デジタル
天皇制は日本で最後まで残る奴隷制といふ言葉にどきりとするが一瞬想像したのは天皇と皇民の関係だつたが井上教授のいふ奴隷制とは左に非ず国民統合のため天皇、皇族から基本的人権すら奪ひ統合の記号(シンボル=象徴)として据ゑ置くことが奴隷制と。

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安倍晋三首相がテレビで令和の意味について「日本人がそれぞれの花を大きく咲かせる……」と、自分の政策と結びつけて宣伝した。今回の退位は、前の天皇が、象徴天皇のあり方など戦後民主主義の基本を国民に思い出してもらうための捨て身のメッセージだったと思う。しかし、結果的に起きたのは、これまでなんとなく皇室などが担っていた日本人の価値観や美意識を、首相自らが発信したことだ。首相が権力を持っているだけでなく、価値観まで導いているという印象を与えてしまった。とてつもないことが起きた。「国民はこうあるべきだ」という政府からの価値観の押し付けはファシズムを思い起こさせる。

忌野忌

農暦三月廿八日。曇。陽暦五月二日で忌野忌。


早晩に上環で地下鉄から路面に出ると俄か雨。傘はいつももつてゐるが上手く路地の軒下を抜け数年ぶりで九如坊の大班樓。東京麻布よりA氏ご夫妻でお誘ひうけ家人と一緒に八名での会食。A氏より香檳酒3本お振舞あり食前から幸せ。

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大班樓亭主と懇意のKさん吟味のメニューでお味は唸るほど格別。

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天皇退位、即位と改元でお祝ひモード一色のマスコミにあつて昨日の毎日新聞(夕刊)に特集ワイド:令和の政治に物申す 松尾貴史さんに聞く 権力者風刺は芸人の務め - 毎日新聞といふ記事あり。松尾さんは芸能人がかうした辛口ネタ封じるなかで果敢に反権力の姿勢崩さず。毎日新聞で「松尾貴史のちょっと違和感」といふコラム連載し最近も晋三が吉本新喜劇でPRも痛烈に批判。松尾貴史のちょっと違和感:侵犯 風刺の場に権力者とはおぞましい - 毎日新聞 仰る通りだと思ふがアタシのこんなブログですら一部の筋には面白く思はれない世の中なのが何とも世知がない。古川ロッパ昭和日記戦前編読み始める。昭和9年、ロッパの芝居が「警察に叱られる」で時代が始まる。日記魔と称されるロッパの貴重な日々の記録でロッパの他、大辻司郎田谷力三、作家では菊田一夫や菊谷栄など当時識る者には日々の浅草や有楽町の小屋舞台にした記録が面白い。ロッパがこの日記どこまで読まれること意識して書いたのかが微妙。読まれること意識した最たるものは荷風散人断腸亭日剩や魯迅やジョージ=オーウェルの日記で、これは文学作品。内田百鬼園も同じ。それに対して例へば小津安二郎の場合、日記は活字化され刊行されてはゐるが、これはあくまで本人の備忘録。だが同じ小津監督でも蓼科日記は山荘訪れる友人たちの回覧でもあつたから読まれること意識した日記。さうした中でロッパのこの日記・戦前編は本人に備忘録のやうな、だがロッパしか綴れぬ軽演劇界の裏事情もあり微妙なところで好事家には愉快。これが戦中編になるとロッパは官憲にも目をつけられ戦時中のひもじさもあり日記にはロッパの心情がかなり綴られることになる。

新帝践祚

農暦三月廿七日。労働節。天気予報では一昨日まで今日は暴雷雨とされてゐたが午後には雨も降らぬどころか午後は晴れる。朝から劍璽等継承之儀をNHKのテレビ中継で拝見。

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本来これで皇位継承されたわけだが政府決定では本日午前零時に新天皇即位、改元されてゐるのであくまで劍璽等継承だけでNHK等の中継でも「天皇即位」といへず何だか中途半端な儀であつた。続く即位後朝見之儀。新天皇の言葉で「憲法に則り」は殊に語気強し。午後ジョギングするがかなり暑い。成島柳北柳橋新誌』』やつと読了。

柳橋新誌 (岩波文庫)

柳橋新誌 (岩波文庫)

 

 これは原本漢文のところ訓読で岩波文庫昭和15年初版が1987年に再販となつたもので、これをだう入手してゐたのか記憶も定かでないが漢文原本の復刻版もあり、これも手許にあつたはずだが整理の悪い書架で見つからず。

もしかすると香港大学の図書館に寄贈してゐた鴨。訓読で更に寺門静軒『江戸繁盛記』に倣ひ「短哇新詞」に「ハウタハヤリモノ」だとか「兒の戀々瞻望するを説く」に「アレガヲマチマウシテヲリマス」といつた戯訓も実に面白いところ漢籍に明からずとも多少漢文の素養あれば無理に詞一つ/\和訳せず漢意で読めば、それほど難儀せず。幕末に幕府の儒官であつた柳北が維新で薩長の府に背を向け柳橋の風流を説きつゝ世俗を厭ひ荷風散人も亦た然り。この気持ちがよくわかる今日この頃。日本のテレビどころか香港のニュースでも新天皇即位と改元の報多く、まう食傷気味で気分転換に乱歩『黒蜥蜴』何度目かで再読。三島の戯曲でも読みたいが、これも書架で何処か見当たらず。労働節の祝日ながら競馬開催は通常の水曜通りHappy Valleyの夜競馬。日曜日の競馬での大当たり仕返しのやうにさっぱり当らず。

(社説)即位の日に 等身大で探る明日の皇室:朝日新聞デジタル

代替わりを受け、いよいよ検討が迫られるのが、皇室活動をどう維持し、皇位を引き継いでいくかという年来の課題だ。
30代以下の皇族は7人しかおらず、うち6人が女性だ。結婚すると皇籍を離れる決まりのため、野田内閣は7年前に「女性宮家」構想を打ち出したが、直後の政権交代で登場した安倍内閣は検討を棚上げした。
さらに深刻なのは皇位継承者の先細りだ。今のままでは、秋篠宮家の長男悠仁さまが伴侶選びを含めて、皇室の存続を一身に背負わされることになる。その重圧はあまりに大きい。
男系男子だけで皇位をつないでいくことの難しさは、かねて指摘されてきた。しかし、その堅持を唱える右派を支持基盤とする首相は、この問題についても議論することを避けている。日ごろ皇室の繁栄を口にしながら、実際の行動はその逆をゆくと言わざるを得ない。
国会は退位特例法の付帯決議で、政府に対し、法施行後、この問題について速やかに検討を行い、報告するよう求めた。
天皇即位でお祝い気分が社会を覆う。その陰で、天皇制は重大な岐路に立たされている。

(多事奏論)天皇と首相 孤高に寄り添う者として 駒野剛:朝日新聞デジタル

本来、天皇は孤高の存在だ。国民のため一人祈り続ける。「統治権ヲ総攬(そうらん)スル」旧憲法も、「国民統合の象徴」とする新憲法も孤高の立場は変わらない。在位30年で感極まって声を詰まらせた上皇さまを見て、孤高を耐え続けられた歳月の重みを思う。
新たな天皇陛下の日々が始まる。政治家、特に宰相は静かに寄り添い、難事は担ってもらいたい。だが、できるだろうか。
テレビで新元号の宣伝に相勤める一方、首相の側近が「令和になればワイルドな憲法審査を」と高言する有り様を見て、天皇をどうするつもりか首をかしげた。少なくとも股肱、柱石の振る舞いではあるまい。

▼ (朝日新聞「社会の統合、皇室頼みに危うさ」原武史

本来政治が果たすべきその役割が、もはや天皇と皇后にしか期待できなくなっているようにも見える。そうであれば、ある意味では、昭和初期に武装蜂起した青年将校が抱いた理想に近い。民主主義にとっては極めて危うい状況なのではないか。

ちなみに皇室への親近感は1980年代には4割だつたものが平成での両陛下のなさりやうの結果それが8割なのだといふ。好事のやうだが、これが皇室への他力本願指数だと思へば皇室への親近感小さく「天皇制などなくとも自分たちでやつていける」の方が余程健全なのかも知れぬのだが。ビデオニュースドットコムでマスコミに出ずつぱりの原武史先生ゲストの「今だからこそ象徴天皇制について議論しておかなければならないこと」を見る。

今上天皇が2016年8月8日のいわゆる「おことばビデオ」で退位の意向を表明した時、陛下から日本国民に向けて多くの球が投げられたとわれわれは考えるべきだと言う。われわれは一人ひとりがその球を受け止めた上で、その内容をしっかりと吟味し、議論し、何らかの形でその対応を決める必要があったが、政府の有識者会議を含め、そこでも日本中が思考停止に陥ってしまった。
「陛下がそう言われているのだから、その通りにすべきだ」というのでは、象徴天皇制はおろか、戦前と何ら変わらないではないかと、原氏は指摘する。
実は今上天皇はそのおことばビデオの中で、「象徴としてのお務め」を自ら定義している。象徴天皇制の日本にあって、憲法に定められた「象徴」の意味するところが具体的に言葉になったのは、恐らくこれが初めてのことだろう。
陛下は象徴の役割を、「国民の安寧と幸せを祈ること」と「時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うこと」の2つだと明言した。前者は宮中祭祀を、後者は日本中を回る行幸行幸啓を意味していると考えられている。そして、その2つが満足に果たせなくなる恐れがあるために、退位したいと申し出た形になっている。
もっとも天皇本来の役割は憲法6条、7条に定められた「国事行為」に限られている。今上天皇・皇后が重視してきた、大きな災害時の被災者の慰問などには、法的な根拠はない。これこそが今上天皇が自ら定義し、そしてその実践を通じて形にしてきたまったく新しい象徴天皇像だ。そして今、陛下自身が、ご高齢や健康問題のために、自ら定義した象徴としての役目を果たせなくなる怖れがあるとの理由から、生前退位、そして譲位の意向を表明し、政府は一応は有識者会議の決定という形を取りながらも、事実上そのご意向をそのまま受け入れた形となっている。
今上天皇は自らの存在を政治利用されることをことさらに嫌っていたと考えられている。天皇皇后両陛下が地方を行幸啓されるとき、日没後に両陛下の滞在先の宿の前に大勢の市民が提灯を持って集まり万歳を三唱する「提灯奉迎」なる儀式が、陛下の行く先々で行われていたことは、あまり広く知られていないようだが、両陛下はやや宗教色も帯びた印象を与えるその儀式を避けるために、意識的に日帰りの訪問を増やしていたのではないかと原氏は指摘する。また、陛下の訪問先の近くに自衛隊の駐屯地があると、大勢の自衛隊員が沿道沿いに直立不動で整列して陛下を迎える「自衛隊の堵列」なども、当たり前に行われるようになるなど、右派による天皇の権威の強化が、陛下の意思とは無関係に進められてきたことも事実だ。
これに対し、今上天皇は大地震や台風被害が発生するたびに被災地を積極的に回り、被災者や避難中の人々一人ひとりの前に正座をして、彼らと同じ目線で語り合うことで、高いところから民を眺める権威としての天皇像ではなく、国民と一対一の関係を築くことで、自ら定義した象徴としての務めを果たそうとしてきたと原氏は言う。
30年にわたり今上陛下が果たしてきた、自ら定義した象徴としての役割は、恐らく多くの国民の支持するところだろう。しかし、陛下がご高齢を理由に生前退位を申し出なければならないほど多忙に動き回らなければならない状態を作ってしまったのは、いったい誰だったのだろうか。国民はそれを陛下まかせにしておいて、単にありがたくその恩恵を受けているだけでよかったのだろうか。
更に言うならば、世襲憲法によって定められている天皇、ならびに皇族には、われわれ国民が享受している職業選択の自由言論の自由といった、基本的な人権すらも保障されていない。にもかかわらず、政治利用されることを自ら抑止し、象徴としての自らの役割を定義するために、苛酷と言っても過言ではない公務のスケジュールをこなさなければならないような立場に置くことに、問題はないのだろうか。
民主主義・主権在民の日本にあって、何が望ましい天皇制かを最終的に決めるのは言うまでもなく国民だ。国民にはその権利があると同時に、その義務も負っている。われわれがその議論をタブー視したり、それを避けてきたことで、結果的に天皇を始めとする皇族に多大な負荷がかかっていることも今回明らかになった。また、相変わらず皇室を政治利用しようとする勢力が根強く残っていることも直視する必要があるだろう。
いずれにしても、5月1日から新天皇が即位し、新しい時代に入る。新しい御代を祝う一方で、平成が残した様々な宿題を今、議論せずに、いったいいつ議論するというのだろう。一番足りないのは、われわれ一人ひとりがもう少しこの問題を自分の問題として受け止め、考え、そして議論することではないか。

荷風散人逝去六十年命日

農暦三月廿六日。昼にかけ大雨。夕方から宮中にて聖上退位礼正殿之儀。天皇崩御から新天皇即位は昭和→平成で見聞してゐるが(といひつゝ“The Emperor Hirohito died”は豪州パースの魚市場に流れてゐたラジオ放送で知り帰国したら、もう平成であつた)、天皇退位なるもの二百年ぶりで前回も京都で限られた連中しか見てをらぬのだから今回は興味深く拝見。老い先短く次のお世継ぎまで生きてゐるかは不明のところ。普段、元号使ふ習慣もないが平成は今になつてみると平成2年に香港に転居のため{平成ー1}がアタシの香港居住年数と今になつて気づく。午後5時(JMT)より退位礼正殿之儀。玉座、背に菊御紋の椅子二脚。聖上来臨。その前後に剣璽で皇后宮それに従ふ。天皇皇后玉座に上り、その左右に剣璽を置く。

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すぐに久ケ原T君より「剣璽の案を天皇ご一人の左右ではなく皇后宮と並んでその左右に配置は果たして良いものか」皇位の象徴のありやうとして問題は如何にと呟きあり。御意。明日の新帝剣璽承継之儀で(今回の日程では本来午前0時での皇位継承となつてゐるがおかしな話)これは昭和→平成では皇位継承順にある男子成人皇族のみ、今回もこれに倣へば秋篠宮常陸宮のみの参列で今日の礼正殿之儀のやうな問題は生じないのだらうが。

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NHKでは朝6時から夜中まで延々と天皇番組続いてゐたが晩8時からのNHKスペシャル「日本人と天皇」大嘗祭再現と今後の皇位継承に焦点当て興味深いもの。三笠宮が新憲法に則し天皇制も民主主義的に変はるべきとして天皇基本的人権、退位、女性天皇を認めるといつた皇室典範改正唱へてゐるが、これを当時の内閣法制局長官であつた入江俊郎に私案提出、これが入江家の遺品にあり今回この番組で三笠宮直筆のこれが見られたのは貴重。これは小泉内閣で提案され悠仁親王誕生で棚上げされた女帝、女系天皇の検討にほゞ踏襲されてゐるが、この番組でも今後の皇位継承でかうした点に言及。蘋果日報(香港)の主筆(廬峯)が論説(実質的な社説)で「徳仁要當好Comforter-in-Cheif」と題して日本での皇室の役割と成果に言及してゐるが、その中で

其實,日本皇室真正的問題在於傳承。正如日本作家新井一二三所言,日本皇室在二戰後大規模收縮後有資格繼位的人選大減,少子化現象又同樣影響皇室,加上日本傳統不讓女性繼位。德仁之後能繼位的是弟弟文仁及他的兒子悠仁親王。要是悠仁將來只生下女兒,天皇繼位登時受影響。如何讓人丁越來越單薄的皇室存續實在是個更大難題。

と一二三さんの指摘引用で懸念する通り。それにしても……である。これまでは天皇崩御→新天皇即位で祝賀自粛ムードあつたが今回は国を挙げての「ゆく年くる年」のやうな祝賀ムード。皇居前広場に集ふ民草、渋谷スクランブル交差点での大騒ぎ、田舎の夏の夜祭りの前倒し……祝賀は祝賀で良いが、これだけで新しい時代に期待はあまりに他力本願。「一緒に祝ふことで日本人としての絆」なんて言葉にぞっとする。国民自らが国のあり方考へなければ平成の負の側面はそのまゝか更に悪化深刻なることを肝に銘ずべき。今日のこの日に至り最も印象的なのは2016年8月8日の聖上による退位に向けた発言。NHKで流れたこれは晋三の内閣をして憲法改正など一連の平成維新の流れに一石投じるばかりか天皇退位が大きな政治日程に。晋三が道化、トリックスターになりぬ。これは天皇の政治介入といふ見方もあるが、そこまでしなければならぬほどの政治危機を聖上が回避させたことは平成の最後の強い記憶。本日、荷風散人逝去六十年目の命日(と久ケ原T君より)。

戦後の日本国憲法の柱である平和と福祉のために尽くした明仁天皇美智子皇后だったと評価できる。それもただ「平和が大事」と繰り返すだけではなく日本の国民に対して日本人が戦争で経験させられた大変なことだけでなく日本が過去、特に近隣の諸国の人びとに行ったひどいことについてもしっかり思い出し記憶し続けることが大事なのだという誠実なメッセージを伝えた。
天皇制がかつて排外主義的な象徴に使われ今も使おうとする人々がいるのは事実だが平成の天皇と皇后は国際協調主義に基づいた行動を続けた。戦争の傷痕をいやそうという行動を含めその基盤には「戦後憲法の価値を重視する」という考えがあったことも間違いない。
一番興味深く感じたのは明仁天皇の2001年誕生日にあたっての記者会見。「桓武天皇の生母が百済武寧王の子孫であると続日本紀に記されていることに韓国とのゆかりを感じています」と述べた。「純粋な日本民族」や「万世一系」を重視する人々は衝撃を受けただろう。それだけにとどまらず天皇は韓国から知識や仏教が伝えられたことに触れたあと「残念なことに韓国との交流は、このような交流ばかりではありませんでした。このことを私どもは忘れてはならないと思います」「両国の人々がそれぞれの国が歩んできた道を個々の出来事において正確に知ることに努め個人個人として互いの立場を理解していくことが大切と考えます」と、まるで国民に歴史の授業をしているかのように語った。
日本の右派は天皇制を万邦無比、世界に例のない存在と考えがちだが世界中の象徴君主制と共通点を持っている。また左派には優れた研究者として尊敬する人の中にも「天皇制を日本特有の問題の原因である」と見做し「天皇制がある限り日本から差別はなくならない」といった主張をする人もいる。私はどちらの立場からも批判を受けることもあるが天皇制は世界の君主制と多くの共通点があり近現代の象徴君主制の一つと考えて良いと思う。
日本人は、日本は特殊だと考えがち。確かに日本には天皇制という世襲制があり理論的には民主主義と矛盾する。しかし、それはごく一部のことで全体として民主主義が機能しており日本は民主主義国でないというのは間違い。イギリスもスペインもベルギーもオランダも、それぞれが欠点や問題を抱えているけれども象徴君主がいるのと同時に民主主義国。
ユートピアを追い求めるように完璧な民主主義の制度を求めるのは危険。君主がいようといまいと民主主義は制度さえつくれば、それで安心してはよいものではない。
天皇や王、女王は建国の理念が書かれた文書や旗ではない。自分の頭で考え感じ歩きもすれば喋りもする。何が象徴としての行為としてふさわしいかは国民の変化を背景に君主がみずから考えなければならない。次の天皇となる徳仁皇太子と雅子皇太子妃は基本的に平成の天皇と皇后のつくりあげた路線をほぼ踏襲するのではないか。平成と令和という親子の世代は戦後憲法で価値観を育み「象徴学」を学んだから。
日本人は多様化している。多様性の中から統一性を形成するのが一番大事な役割になるだろう。平成までの天皇が果たしてきたよりも、より大きな「国民統合の象徴」としての役割が求められるかもしれない。世界にはポピュリズムの嵐が吹き荒れている。先進国の日本がそれを免れているのは天皇制が役割を果たしているのかもしれない。
天皇制は自国優位主義の動きに利用される可能性がつきまとうが平成の天皇と皇后は国粋主義的な動きに嫌悪感を示し国際協調主義の立場に立ち続けた。外国人に門戸を開放しつつある日本で、そうした排外主義的な動きが顕在化したり、あるいは貧富の格差が拡大したりするなど天皇が分断された国民を統合する機能がより求められるような時が来るかもしれない。

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朝日新聞(平成最後の日)「思考停止、変える力を」作家・高村薫さん寄稿 https://t.co/qcXENyBI9K

世界が猛烈なスピードで変わり続ける一方、この国は産業構造の転換に失敗し、財政と経済の方向性を見誤ったまま、なおも経済成長の夢にしがみついているのだが、老いてゆく国家とはこういうものかもしれない。自民党一党支配に逆戻りして久しい政治がそうであるように、この国にはもはや変化するエネルギーが残っていないのだ。その一方で深刻な少子高齢化も、企業の多くに賃上げの体力がないまま進む貧困と格差の拡大も、とうの昔に破綻している原子力政策も、平成の30年間に私たちが見て見ぬふりをし続けた結果の危機でもある。平成が終わって令和が始まるいま、何よりも変わる意思と力をもった新しい日本人が求められる。どんな困難が伴おうとも、役目を終えたシステムと組織をここで順次退場させなければ、この国に新しい芽は吹かない。常識を打ち破る者、理想を追い求める者、未知の領域に突き進む者の行く手を阻んではならない

▼(朝日新聞元号案、晋三指示で追加「令和」3月下旬に提出 6原案、皇太子さまに事前説明……「万葉集っていうのがいいよね」って万葉集読んだとか歌の一つも諳んじられるとか、ならわかるが https://t.co/Prs6O9BH9g

朝日新聞(社説)退位の日に「象徴」「統合」模索は続く

最近の風潮で気になるのは、現実政治に対する失望や焦燥が天皇への期待を呼び起こし、求心力を高めるひとつの原因になっていることだ。一方で、憲法に忠実であろうとした陛下の退位を、憲法が保障する自由や権利、平等などの価値を否定し、戦後体制の見直しにつなげようとする言動も目につく。どちらも皇室の政治利用につながる動きで、認められるものでない。天皇に頼るべきでないことを頼る空気がはびこるのは危うい。その認識を一人ひとりが持つ必要がある。天皇が国民統合の象徴であるためには、この社会が実際に統合されていなければならない。言うまでもなくそれは、ひとつの色で国を染め上げたり、束ねたりすることではない。多様な価値観を認め、互いを尊重しあう世の中を築くことだ。政治が期待される本来の機能を発揮して、社会にある分断の修復に努め、その芽を摘む。むろん、対立をあおる言動は厳に慎む。そうであってこそ天皇は統合の象徴たりうると、政治家は心してもらいたい。

しりあがり寿地球防衛家のヒトビト』休みだー(朝日新聞https://t.co/ms9XWx9TEJ

農暦三月廿五日

農暦三月廿五日。陋宅の在る団地の759 阿信屋がいつの間にかひっそりと閉店。

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廉価の日本製スナック菓子や麺のスナオシの〈水戸発 だしがきいてるそばだっぺ〉と同〈うどんだっぺ〉をこれから何処で贖へばいゝのだらうか。やはり人出のある商場や繁華街ならまだしも団地の一角では零食扱ふ安売り店は経営的に難しいか。晩にFCCにてT氏と飰す。私の識るところ香港人……香港人とは何ぞや、是即ち唐人にして中共本土に在らず華南の地、英国統治領たる香港の地に……と柳北先生なら、さう話が転じてゆくだらうは今日も『柳橋新誌』読み続けてゐるからで閑話休題、T氏は私の職るところ香港人で間違ひなく日本語が最もお上手。日本語が上手いだけでなく発想と想像豊かなので話が上手いから。二人で日本語でべらべらとオバサンのやうに話してゐると隣卓の客が広東語で「コーラなんて飲んでる」とT氏のこと噂話。香港で食事中にコーラ飲むのは珍しくないが、これは
日本人男性=酒飲み=コーラ飲まない
といふイメージで日本人男性なのに珍しい、とさういふこと。そこでT氏が突然、広東語で給仕に何か言へば可笑しいところ隣客辱めてもいけない。

昨日、反政府市民デモあり。主題は香港政府が中共と結ぶ「容疑者引渡し条例」への反発。香港名物といはれる市民デモは2014年の雨傘運動後かなり低調であつたが今回はこの雨傘首謀者有罪の判決後で、それへの抗議もあつたが、やはり市民の関心は一国両制など蔑ろで中共に逮捕っぴかれる怖さ、それ推進する香港役場当局への反発。主催者側発表で十数万人(警察発表は出発場所・Victoria Parkを規定の時間内に規定の門から発つた人数の実測に基づくさうで2万数千人)が参加。

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かうした人数は難しいが数万人の大規模デモであることは確か。だがこれも今日の中共紙・大公報になると2面で「いかに偽善者が市民を騙して市民デモを牛耳るか」の否定的報道のみとなる。

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「平成最後」の重賞レース、海外G1で日本馬勝利……か

農暦三月廿四日。朝、黒雲が空を低く覆ひ驟雨。次第に空は明るくなり沙田の競馬場に行く。今日は国際G1でChairman’s Sprint Prize、Champions MileとQE II Cupあり。スポンサーのFWD(富衛保険)は寡聞にして知らず。中共の保険会社で香港競馬も中共資本に蝕まれたかと思ひきやFWDはPCCWや香港テレコムも同様にPacific Century財閥傘下で李嘉誠次男・Richard Liのもの。20世紀末に東京駅八重洲口南の旧国鉄所有地を落札した会社がこれ(Four Seasons Hotelがあり現在は別の投資会社に売却済み)。競馬場の食事場所押さえてゐたわけでもないので開場に合はせ午前11時過ぎには馬場入りするが会員席も非会員がフリーで坐する場所はかなり狭くなつてをり常連の連中がすでに室内の席は佔領済みで天気好天で陽射し厳しいなかゴール前の屋外席に。

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前半5レースで3試合を地味に単勝2と複勝。かういふ日は運が続かぬと覚悟。R6のChairman’s Sprint Prize(芝1200m)は本命のMr Stunning欠場でBeat The Clock(Size厩舎、モレイラ騎手)が優勝。1番人気は豪州でスプリントでG1を2勝のSanta Ana Lane参戦だつたが4着。的中。

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Champions Mile(芝1600m)は昨年のこのレースから昨年12月の香港国際のスプリントも含め重賞8連勝中のBeauty Generation(Moore厩舎、Z Purton騎手で馬主は化粧品小売り大手Sasa(莎莎)二代目の郭浩泉)が余裕の貫録でハナをとつたまゝ楽勝。当然の結果に誰も驚きも喜びもせず。

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単勝オッズ1.05倍は香港ジョッキークラブの最低規定倍率。競馬場で邂逅の日本十連休で来港のY氏と「これでも銀行預金の低金利考へれば5%つくと思つたら御の字」と。複勝狙ひで単勝3番人気……それでも21倍だつたSingapore Sling(Millard厩舎、K Teetan騎手)の複勝とし2着で2.1倍の配当でも有難い。Beauty Generationは6月の安田記念に参戦の由。R8がQE II Cup(芝2000m)で日本馬は一昨年、ネオリアリズム藤原英昭厩舎、福永祐一騎手)が優勝。今回は地場で昨年12月の香港国際カップ(芝2400m)優勝から重賞3連勝中のExultant(A S Cruz厩舎、Purton騎手)が1番人気で日本からはリスグラシュー(矢作厩舎、O Murphy騎手)13頭だてで2番人気、9番人気のディアドラ(橋田厩舎、武豊騎手)と10番人気がウインブライト(畠山厩舎、松岡正海騎手)の3頭が参戦。昨年のこのレースと5月のCharter Cup優勝以降はパッとしないPakistan Star(O'Sullivan厩舎)は5番人気だが、この馬のデビュー当時騎乗していたChadwick君を起用で復活なるか応援したいところ。今日はこゝまで地味に単勝、一寸魅力的な複勝の1点買ひで順調だつたが、このレースくらゐは、と堅めにExultantとリスグラシューをマルチバンカーにしてパドックから気分良さうなウインブライトとPakistan Starを脚に入れて三連単の馬券購入。レースは第4コーナーでPakistan Starが果敢に挑み、これとGlorious Foreverが競つてゐたが「まさか」でウインブライトが飛び出しExultantとリスグラシューの追ひ上げ躱し優勝。

単勝48倍の金星でアタシはHK$6623(94,000円)の三連単的中。

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松岡騎手はウインブライトのG1初勝利しかも海外 、にゴール前から鞍上で腰を上げ左手でガッツポーズの歓喜。しかも1.58.81の時計は昨年11月にEagle Way(本日9着)が記録した1.59.3を0.5秒上回るコースレコード達成。残り2レースも単勝と最終レースは地味な三連単をまたも当てゝ今日は我ながらお見事な成果。ところで本日の国際G1では中共国歌〈義勇軍行進曲〉と〈君が代〉流れたが香港政府が俄か愛国心唱ふところレース後の祝賀で国歌吹奏のところ起立する者は会員席の屋外席では数名、君が代も同様。すでに次レース予想に余念なきところ競馬好きはアナーキスト。もう一つ「ところで」はこのウインブライトの優勝も「平成最後重賞レースの海外G1で日本馬勝利」とかいはれるのでせうね、とY君と語る。

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本日の競馬はR1とR5は外したが(R4の上にとあるのはR5の間違ひ)R8とR10で三連単当てた他の6戦はどれも一点買ひで単勝複勝当てゝをり我ながら立派なもの。

晩にNHKスペシャル | 平成史スクープドキュメント第8回 情報革命 ふたりの軌跡~インターネットは何を変えたか~見る。

ネットでwwwの誕生が1989年で、まさに平成は「ネットの時代」。新聞のテレビ欄に
 ヤフーを築き上げた男
 ネット社会の夢と挫折
 孫正義ひろゆき語る
とあつたので孫正義2ちゃんねるの「ひろゆき」氏に焦点当てた内容か、と思へば左に非ず。孫正義の下、Yahoo!JAPANを作り上げた井上雅博と、ファイル共有ソフトWinny”公開で情報革命興した金子勇の二人が主人公。井上を孫が、金子をひろゆきが回顧してゐるのでテレビ欄はさうなつたか、わかりづらい。井上も金子もすでに逝去。井上はネット情報がすでにYahoo!JAPANで収集と管理も能はずと諦観しネット第一線退き一昨年の春、米国加州にてクラシックスポーツカー耐久レース大会に参加し自損事故で死去。享年六十。金子は2004年に著作権法違反幇助の疑ひで京都府警察に逮捕されるがネット上で金子支援する匿名の援助金集まり2011年に最高裁で無罪確定。金子は。"Winny"開発者で匿名〈47氏〉であつたが43歳での早逝。もはやネットは世界覆ひ既に誰も管理できぬ巨大な気狂ひ世界となりぬ。

 

国粋右翼諸君も左翼陣営も、この晋三の従米奴隷抱きつき外交姿勢を糾弾すべきでしょ? https://t.co/CzXn1xeXOP