富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

忌野忌

農暦三月廿八日。曇。陽暦五月二日で忌野忌。


早晩に上環で地下鉄から路面に出ると俄か雨。傘はいつももつてゐるが上手く路地の軒下を抜け数年ぶりで九如坊の大班樓。東京麻布よりA氏ご夫妻でお誘ひうけ家人と一緒に八名での会食。A氏より香檳酒3本お振舞あり食前から幸せ。

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大班樓亭主と懇意のKさん吟味のメニューでお味は唸るほど格別。

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天皇退位、即位と改元でお祝ひモード一色のマスコミにあつて昨日の毎日新聞(夕刊)に特集ワイド:令和の政治に物申す 松尾貴史さんに聞く 権力者風刺は芸人の務め - 毎日新聞といふ記事あり。松尾さんは芸能人がかうした辛口ネタ封じるなかで果敢に反権力の姿勢崩さず。毎日新聞で「松尾貴史のちょっと違和感」といふコラム連載し最近も晋三が吉本新喜劇でPRも痛烈に批判。松尾貴史のちょっと違和感:侵犯 風刺の場に権力者とはおぞましい - 毎日新聞 仰る通りだと思ふがアタシのこんなブログですら一部の筋には面白く思はれない世の中なのが何とも世知がない。古川ロッパ昭和日記戦前編読み始める。昭和9年、ロッパの芝居が「警察に叱られる」で時代が始まる。日記魔と称されるロッパの貴重な日々の記録でロッパの他、大辻司郎田谷力三、作家では菊田一夫や菊谷栄など当時識る者には日々の浅草や有楽町の小屋舞台にした記録が面白い。ロッパがこの日記どこまで読まれること意識して書いたのかが微妙。読まれること意識した最たるものは荷風散人断腸亭日剩や魯迅やジョージ=オーウェルの日記で、これは文学作品。内田百鬼園も同じ。それに対して例へば小津安二郎の場合、日記は活字化され刊行されてはゐるが、これはあくまで本人の備忘録。だが同じ小津監督でも蓼科日記は山荘訪れる友人たちの回覧でもあつたから読まれること意識した日記。さうした中でロッパのこの日記・戦前編は本人に備忘録のやうな、だがロッパしか綴れぬ軽演劇界の裏事情もあり微妙なところで好事家には愉快。これが戦中編になるとロッパは官憲にも目をつけられ戦時中のひもじさもあり日記にはロッパの心情がかなり綴られることになる。