癸卯年十月初二。(京都)気温5.7/16.9度。今朝は昨日と打て変はつて青空。朝餉は昨日買ひ求めた祇園いづ重の鯖寿司。宿を出て三条を東へ歩き鴨川渡り檀王法林寺から孫橋通漫ろ歩き白川を渡れば並河靖之旧邸(記念館)。並河のこちらの大改修あつて昨年九月には天津記念五浦美術館(茨城)でかなり充実した並河七宝展もあり。並河の七宝も落ち着きある色彩で美しいが並河邸のお庭が何とも素晴らしい。昨日の橋本関雪が権力を感じさせるのに対してこちらは隠者。造園は植治。
もうあちこち小細工なのだが小細工が鬱陶しくない小細工の連続なのが植治のこの規模の庭園の美しさ。
門前の日陰の石の佇まひから縁側下の本来なら水が張られて見えぬ敷石の設ひから庭の隅の雑多な石の置き場まで。
古川町の商店街を歩く。先週の銕仙会(宝生能楽堂)で萬斎さんの狂言〈粟田口〉見たが、その粟田口がこちら。鴨川を随分と賑やかな商店街だつたさうで商店街の提灯には「知恩院門前」とあるがそれなりに遠い知恩院とは直角にズレてゐて知恩院の参拝客よりもむしろ鴨川を渡らぬ京都近隣の人々にとつての消費場所だつたのだらう。それでも戦後までのことで今では御多分に洩れずシャッター閉まつた店も多いなか外国人の好きさうな町家風の宿泊施設数多あり。商店街のラーメンや(祇園白川ラーメン)で早めの昼餉済ます。
もう京都での予定も大方済んでしまつた。祇園四条まで歩き路線バスで大宮七条へ。梅小路公園を抜け京都鉄道博物館へ。
自称鉄ちゃんで京都には小学生の頃から何度も来てゐるのに何故かこちらを訪れず。今回も予定迄はしてゐなかつたが家人から「行かないの?」といはれ初めて訪問。
JR東日本の大宮にある鉄博と東西の双璧だけのことはあつて展示されてゐる現物鉄道列車も映えるが室内見学のレベル高い。
転車台を見たことは台湾の台南であつたが扇形車庫でこれほどの施設にはあばらかべっそん。様式美。
アタシも鉄道愛はあるけれど家人のそれはアタシに勝るかも。家人は母方の祖父が北海道の夕張で国鉄の鉄道車両保守の仕事してゐたからか家人も蒸気機関車には弱い。なんて美しいこの動力部分のフォルム。
十分に参観のあと大宮通を四条まで上り、そこから歩いて木屋町サンボア。16時の開店に合はせたのだが第二火曜は月曜定休に続き連休だとは。京都駅18:21発ののぞみで品川乗換へで特急ひたちで水戸に22:10着。さすがに肌寒いが水戸は今朝の最低気温が摂氏1.9度だつたとは。水戸駅から恐る/\タクシーに乗ると運転手は乗降では運転席から降りていち/\ドアの開閉してくれて頭ぶつけないやうに手を翳しトランクの上げ下ろしまでまぁ叮嚀なサービスにあばからべっそん。旧料金で初乗り区間なのでタクシー運転手にはこれまで何度も不愉快な思ひをさせられたものだつたが。料金改定で初乗り500円まで値下げで「近距離でもお気軽に」とステッカー貼つてあり1.1kmからの加算料金は100円/256mで結果的に2割近く高くなつてはゐたが不愉快な思ひしないのなら余程こちらの方がマシ。