さうだ京都へ行かう①

癸卯年十月初一。（京都）気温摂氏6.0/11.1度。未明から雨で昼まで（5.0mm）のち晴。とりたゝて用事もない京都での休日。家人の提案で慈照寺銀閣に近い白沙村荘 橋本関雪記念館へ行くことに。月曜日で多くの美術館など休館のなか、こちらは開館。四条高倉から市バスに乗ると混雑してゐてたが観光客の多くは平安神宮にて下車。関雪邸の会館は午前10時会館まで15分程あつたので銀閣寺への坂を歩く。雨のなかそれなりに観光客多し。外国人客の方が修学旅行よりも随分と多い。橋本関雪（1883〜1945）がこの地に邸宅造営は1914年ださうだから関雪31歳のとき。いくら若いときから文展で評価を得たとはいへ3千坪の土地を入手して邸宅から庭の設計まで手がけたとは。滋賀大津、郷里の明石、宝塚にも別邸あり。

美術館のバルコニーからは慈照寺を越えて大文字焼きの山を望む（画像にはわかりやすく大の字を入れてみました）。

白沙村荘のお庭のまぁ立派なこと。これだけの庭を造園したらそりゃ立派な絵を描かなければいけない。庭の池に鷺。もうこのまゝ関雪の絵の世界。さすが京都で東山を飛ぶ鷺は水府の千波湖あたりの鷺とは品格といふものがちがふ。雨はかなり本降りなのだが幸はひに風もなく傘さへさしてゐれば歩けないほどでもない。紅葉もそこ／＼きれいなので「哲学の道」を南禅寺まで歩く。僅か2kmほど疏水に沿つてなのだがJR東海のツアーでこゝを歩くツアー実施日のやうで要所／＼に雨のなか傘をさしたアルバイトの若者が立つてゐて寒い日に大変だ。誰でも迷いもしないと思ふのだが途中／＼でお寺参観しながらなので、その道案内なのだらう。南禅寺まで来ると昼どきで湯豆腐やはかき入れどき。路地を入つたところにある丼もの、うどんの店（一休亭）に昼まえぎり／＼で席もあり。のっぺいうどん。本当は寒さで熱燗でもあればよかつたのだが麦酒だけ。それでもうどんのあんかけのお汁でだいぶ温まつた。

蹴上の賑やかな交差点に出たくなかつたので路地を歩けば古刹あり（浄土宗西福寺）。観光目的の参拝はできないが山門横の案内読んだら上田秋成の墓所がこちらに。

仁王門通を鴨川まで下る。天気はやつと晴れて私立動物園も休園日だがキリンもシマウマも気持ち良さそう。山門横に黒猫が数匹ゐて中に招かれた寺は頂妙寺。日蓮宗旧本山で敷地内に八つの塔頭あり。

鴨川を二条に渡り柳桜園茶舗。抹茶（松乃白）の空缶三缶持参で抹茶を詰めてもらふ。村上開新堂（焼き菓子）。尚学堂書店。寺町通り。旧寺町サンボアの建物は老朽化で閉店で移転して京都サンボアとして新規開店と聞いてゐたが建物ぢたいは取り壊されず内部で改修工事始まつてゐる様子。

十年以上履いて香港で靴底まで張り替へたがその靴底も摩耗でつる／＼になつてしまひ今日は石畳の道など歩いてゐてだいぶ怖い思ひもする。四条まで下るとリーガル靴店があつて旅先なのにだいぶ草臥れてしまつた革靴（リーガルウォーカーJJ23）買ひ替へ。

少し早めのお昼のあと２時間半ほど歩いたらまた空腹感覚え祇園の権兵衛。もうお昼すぎで空いてゐたが修学旅行の高校生が３組出るところで高校生もこちらがどれだけ人口に膾炙してゐるか知つて来てゐるのか。残念ながら食べ終はつた器など汚らしい。菊正宗のこの秋初めての熱燗。しっぽく。女将とお店のお兄さんに本当に親切にされ心地よい。

新装開店いづ重で鯖寿司、亀屋清永で清浄歓喜団も書ひ求め本日のミッションは了。それにしても祇園四条は観光客でとんでもない人出。いづ重は人出不足で店内飲食は中止、亀屋清永も菓子箱の確保、納期維持困難に苦労が業者との電話でのやりとりから聞こえてきた。

朝の本降りの雨が嘘のやうに空が晴れ渡り鴨川も清々しい。祇園から三条通烏丸西入ルのホテルまで斜め／＼に歩いて戻る。途中で宮脇賣扇庵でいつものお扇子のスペア購入。

さすがにこれだけ歩くと京都市中で24千歩になつてゐた。ホテルの大浴場に一浴。

今日もう四食目になるが夜はホテル近くのエムイソスタンドで。前回昨年９月は通りがゝりで入つたのだがどて煮が美味くスタッフも清々しくご立派で気に入つての再訪。予約必須。昨年偶然に隣席だつたお客人A氏と席は離れてゐたが邂逅。東の方で月に一、二度しか来られないさうなのに偶然とはいへ今晩もまた香檳酒を数杯ご馳走になつてしまつた。