富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

What happened to Japan? - Paul Krugman

癸卯年六月十一日。気温摂氏23.4/34.7度。晴。もう半月もお湿りのない日が続いてゐる。

日本についての記事を海外の新聞やThe Economistのやうな雑誌で見かけることは本当に少なくなつた。もう誰もあまり日本に興味もないのかもしれない。日本は観光地でしかないのかしら。紐育時報にPaul Krugman教授の“What Happened to Japan?”といふ論説。

Opinion | What Japan’s Economy Can Tell Us About China - The New York Times

日本の一世代に渡る経済的低迷は深刻なやうだが出生率低下と移民受入れ拒否による労働人口減少のなか労働者1人あたりの経済力で見たかぎりは日本の経済力はけして悪くない(かういふ指摘を読むとすぐ誇らしげに思ふのが日本人の悪いところだが:富柏村)。東京を見れば(つまり極度の首都集中なのだが)洗練された都市主義(urbanism)の成功が見られるわけで経済体としての日本はけして末路に向つてゐるのではない。それに対して……とKrugman教授の主題は結局のところ「中国について」なのだが:

Yet if China is headed for an economic slowdown, the interesting question is whether it can replicate Japan’s social cohesion — its ability to manage slower growth without mass suffering or social instability. I am very definitely not a China expert, but is there any indication that China, especially under an erratic authoritarian regime, is capable of pulling this off? Note that China already has much higher youth unemployment than Japan ever did.

日本には「社会的結束」があつて民草が「苦しみや社会的不安定を招くことなく成長の鈍化に対処する能力」があつたのだが(こんなものは誉められたものではない、単なる純朴さ!)中国の場合、中共の(強力で)不安定な権威主義体制下でそれ(社会的不安定を招くことのない成長の鈍化)を実現することができるか?
日本の場合はこの一世代に渡る経済的停滞のなかでも若者の失業率はけして高くなつてゐないが(労働力が求められたからなのだが)中国はすでに若者の失業率が日本よりもはるかに高いこと。“China isn’t likely to be the next Japan, economically speaking. It’s probably going to be worse.”と(中国はけして好きと思へない)Krugman教授は予測する。結局のところ、この記事も日本に主眼置いたものではなく中国について。日本は少なくとも「民草が苦しみや社会的不安定を招くことなく成長の鈍化に対処する能力」があるとわかつたことだけでも幸甚と考へるべきなのか。東京で(或いはほんのいくつかの大都市と彼らのテリトリーとしての田舎で)「勝ち組」が人生を楽しめるアーバニズムがあるだけで民草の多数はけしてG7並みに経済的に豊かとはいへない生活に甘んじてゐるだけなのだけれど。

f:id:fookpaktsuen:20230729220029j:image

牧野博士の剪定鋏は豪華なケースこそ付いてきたものの肝心の鋏を入れるケースがなかつた。ホームセンターで作業量の剪定鋏ケースを入手しても良かつたのだが実際にそれほど実用しないことは明らかなので花道用の鋏ケースと鋭利な刃先のカバーをAmazonで買ひ求めた。