陰暦七月廿八日。最低気温(水戸)摂氏21.5度/最高気温(東京)29.3度。今年の夏の青春18きっぷは家人と横浜往復で其々が東京往復が1度で今日アタシが東京往復で計5回お終ひ。もう少し遠出したかつた。東京往復も1日なら通常運賃の半額以下でお得だが先日の鎌倉のやうに1日に片道だと勿体ない。新宿の角筈で散髪。よい美容師に出会へて3度目。千駄ヶ谷の国立能楽堂に参るがあまり暑くもないし歩いてゆく。新宿から千駄ヶ谷まで行つて戻るのも大江戸線で代々木までゆくのも大江戸線まで深く潜つて出てくるのを考へると歩いたほうが良い。角筈2から代々木に抜ける道路を入ると京王の線路アトの道路と小田急線を渡つてこの右手は随分な谷。この一帯を代々木山谷町とはよく言つたもの。昔は小田急線で南新宿と参宮橋の間に「山谷」といふ駅があつたか。代々木駅を抜け共産党本部の角に「吉そば」といふ立ち食ひ蕎麦やあり。蕎麦も汁も無添加でなかなか良い蕎麦を供す。昼の客がみな「ごちそうさま」と出てゆく。都内に12店舗でこちらはお勧め。暑いがたぬきそば啜る。ここから能楽堂は明治通り渡りもうすぐの距離。
今日の能楽堂は夏企画の一つで〈素の魅力〉と題して能は面をつけぬ袴能で大槻文蔵師の〈融〉で是非ともこれが見たいと思つたのだが独鼓(小鼓だけの謡)で〈鵜之段〉は梅若桜雪(実改メ)。仕舞の〈道明寺〉は塩津哲生。山本東次郎が小舞の〈道明寺〉(シテ山本則重)の地謡と能〈融〉のアイに入る。これだけのメンツがさらりと入る番組はじつ嬉しいところ(東次郎師は体調不良で道明寺の地謡は則孝で融のアイは泰太郎に変更があり)。〈融〉は一度見てみたいと思つてゐたもの。文蔵師の袴舞で笛が松田弘之、小鼓が成田達志、大鼓が亀井忠雄で太鼓が小寺真佐人。真佐人さんは観世のご宗家、文蔵師などの大曲でめきめきと力をつけてゆく。それにしてもこの融の見せ場の早舞を文蔵師が大きく舞ひ続け囃子方もこのメンツであるからとんでもない「セッション」と化してビジュアルとサウンドが本当にこのメンツでなければあり得ないライブとなつた。今日来られてゐた村上湛君が、この〈融〉は本当にあの舞ひができる方でないと「まだ舞つてゐる」になつてしまふが限られた傑出したシテ方だと「もつと見たい」と思へるから、と仰つてゐたが御尤も。笛も松田師の他こんな音色はぜったいに奏でることはできないだらう。本当によい番組を拝見させてゐたゞいた。
能楽堂を出てもまだ夕方にも早い午後で湛君にお誘ひいたゞき赤坂の砂場へ。副都心線の北参道から明治神宮前で千代田線に乗り換へると赤坂は近い。久々に塩瀬で練り切りを贖ふ。赤坂も「再開発」が凄まじい。砂場も周囲が高層ビルで「小さなお家」のやう。だがこの蕎麦やに入ると心からほっとする。
浅利しぐれ煮、卵焼き、サイマキ天ぷら三尾ずつ。お酒を2、3本。家で飲むキクマサよりもなんでこんな美味しいのかしら。もりそば。薬味にネギは禁物と湛君と同意。
見附まで歩く。〈しろたへ〉は午後5時すぎで喫茶はすでにお終ひ。丸の内線で湛君は三丁目で下りてお別れ。新宿でぶらぶらしてベルク。ハーフ&ハーフ飲んでゐたら久が原T君来られて暫し物語する。こんな広い東京でベルクだと誰かに遭つても驚かないから。東京駅を19時すぎに出る常磐線の勝田行き確定(取手まで快速)は混雑でグリーン車(G)も上野を出るときには2両の上下階とも空席少な。東京駅のグランスタで崎陽軒のシウマイ弁当を入手できたがさすがに席隣りの乗客も気になり蓋も開けずにゐたが我孫子あたりから空き始め土浦では座席貸切になつてしまひゆっくりとお弁当を頬張る。
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常磐線の上りは水戸を08:13に発つと土浦から特別快速に乗り換へで上野に10時到着で1時間47分なんて特急に抜かれもせぬ選擇もあるのだが下りはこの列車もひたちの牛久駅(HN)で特急に抜かれ荒川沖駅の次の土浦駅で先頭車両切り離しで時間を要して次の神立駅(KD)でさっきの特急の30分後の特急にまた抜かれる。HNの一つ手前の牛久駅から4つ目のKDを発つまで41分もかゝる。それが次の各停だと同区間は25分。本当にうんざりだが次の各停もこの区間は特急に抜かれることなくやり過ごしても水戸近くでまた2本に抜かれ結局は2時間20分かゝる。これだから「水戸まで乗るなら特急に」となる。特急料金はモバイル料金なら1,480円で各停のG料金が1000円だと思へば480円高くても半分の1時間余でさっさと水戸に戻つた方がよいと誰もが思ふだらう。上りの場合、上述の水戸08:13発各停と前後する特急は7分くらゐしか早くないので(通勤時間で常磐線の上りが串団子モードなのだ)各停で、下りは特急といふのが常識的な選擇だらう。アタシも青春18きっぷでなければ下りは特急を選ぶところ。