陰暦七月廿四日。朝最低気温(水戸)摂氏22.6度。最高気温(辻堂*1)摂氏30.9度。
長く生きてきて旅荷のまとめ方だけは上手くなつた。家人も同様……といふか彼女の影響で旅の荷物を少なくまとめられるやうになつた。品川で横須賀線に乗り換へ鎌倉へ。水戸から鎌倉まで各停のグリーン車乗り継いでも800円(週末料金)。混雑はないが土浦から東京まで後ろ席の女性が多動症か落ち着かず。横須賀線ではバカップルが五月蝿いったらありゃしない。鎌倉は昭和末以来? 香港から戻り伊豆や湯河原は行つた機会あつたが。日曜で鎌倉駅前は芋を洗ふやうな人混み。江ノ電で七里ヶ浜。鎌倉プリンスホテルに下榻。正午の到着だつたが部屋に通される。
本日は列車で移動中に少し小雨もパラついたが湘南は曇り空。客室から江ノ島の向かふに富士山は曇つて見えない。このホテルの設計は清家清。軽井沢や富良野など清家清はプリンスホテルを栄光の80年代にいくつも手がげてゐる。このホテルも七里ヶ浜の高台の眺望と傾斜を上手く利用した低層建築で全室が相模湾から富士山ビューで優れた建築だが水回りや設へやはり当時のスタンダードかと思ひきや、このホテルは平成の1995年開業で清家清晩期。お昼がまだ。江ノ電で長谷へ。小花寿司か中華で華正樓鎌倉店か。夜は海鮮のつもりなので前者ではなく後者かと思つたが本日は予約のお客でお昼は満室。向かひの蓬莱閣といふ中華料理やへ。
食べログでは「薄味」が不評だがアタシらのやうな年寄りにはこれが良い。どんぶりにある電話番号は市内局番が2で店内に飾られた高麗屋親子は昭和37年。
鎌倉文学館。旧前田公爵邸だが晩年の佐藤A作が別荘にしてゐたんだとか。家人は高校生のときに友だちとこのお庭でランチを食べて木陰で午睡してゐたさう。
吉田秀和〈名曲の楽しみ〉は秀和さんの洒脱なトークが聴かせどころだが、こんな台本原稿を書かれてゐたのか。
鉄オタにはやはり江ノ電は愉快。長谷に来たので力餅を今晩のお茶菓子に。切通しを抜けて極楽寺。稲村ヶ崎を抜けてホテルまで結局、歩いて戻る。
七里ヶ浜のこの高台は西武鉄道(コクド)が開発した住宅地で湘南の一等地にハーフコースのゴルフ場が併設されたプリンスホテルがあつて西武線郊外の住宅地よか1ランク上の「ちまちましてゐない」住宅が並ぶ。その住宅地の中にある商業エリアで夏祭り。早めの夕食に、このエリアにある海鮮(お魚亭)に出かけたら混雑の極み。湘南の住民が屋台で求めた酒を片手に誰彼とワイワイと賑やか。マスクもせず大声で騒ぎ感染も恐れぬ、こゝは湘南。みんな肌黒でオヤヂは長髪、お肌の荒れなど気にせぬ昭和からの湘南元ギャルたち。小学生も髪を染めて。田舎ならヤンキーかと眉を顰めらさうだが、こゝは湘南。これでいゝのだ。
ホテルに戻り部屋飲みしてゐたら午後8時にドーン!と目の前で花火が上がる。さういへば眼下の七里ヶ浜高校の校庭で昼間はサッカー部が練習してゐたが夕方から何か仕掛けてゐたのはこれか。小規模とはいへ目の前なのでお見事。
NHKEテレで「N響ほっとコンサート」7月30日の録画放映を眺める。林光のオーケストラのための童話「セロ弾きのゴーシュ」(三宅理恵の語りと歌)で辻本玲のチェロが美しい音色。小出岳悠君が篠崎マロとバッハ「2つのバイオリンのための協奏曲」第1楽章。