富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

湘南と鎌倉

七月廿五日。気温(辻堂)摂氏25.1/31.3度。薄曇のち晴。ホテル客室眼下の七ヶ浜高校では運動場で早朝に市民数名集まり昨晩の花火の残骸を清掃。ラグビー部の早朝練習始まる。晴れ間でカスミのなかにときどきうっすらと富士山を拝む。

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午前11時にホテル退房してインスタ映えする坂を下り江ノ電の踏切を渡らうと思つたら丁度、電車が来たところ。

七里ガ浜の海岸沿ひまで下りインスタ映えするハワイアンなカレー店で早めのお昼。
モアナマカイ珊瑚礁  | 食べログ 今日は月曜で七里ガ浜団地にある本店はお休み。こちらのお店も朝10時半開店でアタシたちは11時10分くらゐでもうテーブルはかなり埋まつてゐたがエントランスから一番右奥の相模湾を一望するインスタ映えするカウンター席に通された。インスタ映えするカレーライスは濃厚でかなりクセのあるルーのなかで具材の味もきちんと出てゐて美味。ノリで気軽に始めたやうできちんとビジネスになつてゐるが湘南的。バルコニー席のウッドデッキのテーブルと椅子が朽ちてきたのを修理してゐた職工のオジサンも湘南的にチョイ悪風で実は珊瑚礁の社長なのでは?と家人と話す。正午前に店を出たが待ち客はすでに1時間半待ちといはれてゐた。


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江ノ電一駅区間だけ乗つて稲村ケ崎。郵便局。インスタ映えする稲村ケ崎温泉(こちら)入湯。相模湾で江の島を眺めながらの眺望でお湯はみごとな黒湯。砂金伝説と名刀正宗の由緒もあり。月曜の昼で数名の客でのんびり。週末などかなりの混雑だらう。それにしても窓をあけっぴろげで眺めも良いが国道134号線から眺めたら風呂場の窓際に立つてゐる入浴の裸姿も見られてしまふが、これも湘南的でゆるやかなもの。手を振つてゐる若者もあり。
これで湘南を離れることになるが、この肌の黒い人々の生態がまことに興味深いところ。日傘をさしてゐる女性なんてゐない。還暦過ぎの女性が自転車にサーフボード提げて海岸へ。雑誌ポパイの創刊が昭和51年なのだから当時17歳でこれを読んだ少年が今は60代半ばで、その上の先輩たちも長い白髪を縛つてアロハシャツで元気なもの。まことにハッピーな人たち。好きだ。湘南の人々に許された快楽がそこにある。巨大地震津波、富士山爆発さえなければ本当にずつとハッピーに暮らしていけるだらう。


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鎌倉に戻る。昨日に比べたらまだ人出も少し緩い。鎌倉で甘味といへばインスタ映えするこちら。納言志るこ店 | 食べログ まだ気温は摂氏30度超で日ざしも厳しく家人も珍しく宇治金時のかき氷頬張る。丁寧に煮たつぶあんのあんこと抹茶で見事なもの。アタシも本当はお汁粉をいたゞきたかつたが甘味といへばやはり豆かん豆かんはメニューにないので「ありますか」と尋ねると女将が笑顔で「ありますとも」と。豆かんお一つ!といふ声が店内に響く。昨日の晩食といひ今日の昼のカレーもこの甘味も客あしらひの上手さと親切な応対といひ流石。

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若宮大路に出て鎌倉郵便局。横須賀線のガード潜り御成通りへ。鎌倉小川軒のレーズンウヰツチを購ふ。また鎌倉ステンショに戻り小町通りにも入つてみたがあまりの人出と暑さに辟易で「もう帰路につかうか」と家人と合意。だが駅前の路線バスで1系統が鎌倉宮行きが停まつてゐて、それに乗車。若宮大路から雪の下、金澤街道から岐れ道で狭い道路を護良さまの鎌倉宮まで実に鎌倉らしいコースを走る。西御門。頼朝公墓所参拝。本当は大江広元岸田森)の墓所もお参りしたかつたのだが森はすでに暗く蚊も多さうで断念。雪の下で吉田秀和小林秀雄大佛次郎の旧居あつた路地を抜ける。鎌倉駅まで歩いても10分の距離。御成通りの緩いカフェバーでビール飲んで帰途につく。鎌倉発17:47の成田行き列車は混雑するかと思ひきやぎりぎり坐れて大船からはかなり空席もあり横浜からも同様。鎌倉から乗つて爆睡してゐた二人が横浜で起きて新川崎で降りるやうで降りず。そのあとの会話で何うやら川崎に行きたかつたやう。新川崎で降りてしまつて戻るか、もはや諦めて品川まで行き東海道線で下るかの選擇だと思ふがご本人たちは乗換アプリで武蔵小杉での恐怖の横須賀線南武線乗り換へとされたやう。帰宅時間でも上りはこんなに空いてゐるのかと驚かされたが(学生が夏休みでゐないこともあるが)品川から今度は東京から千葉方面への帰宅で混雑となる。品川から常磐線特急に乗り継ぎで帰宅。

ちなみに鎌倉の人口はどれほどかといふと17万人。水戸ですら人口は27万人なので鎌倉がどれだけコンパクトなサイズかと思ふ。元々の鎌倉市の面積が小さい上に独特の地形で居住地が限られ人口密度は1平方キロに4.4千人(水戸市は広すぎて1.4千人である)。商業地域は鎌倉中心部に限られ郊外では広い土地の確保が困難で大きなホームセンターやドラッグストアのチェーンがなく江ノ電の各駅など駅前の小さな商店がまだやつていけて昔ながらの生活空間が残つてゐる。その狭いところに観光客が訪れるから賑やかになる。昨日の行きの横須賀線で横須賀方面に向かふバカップルの女子がチャラ男に「鎌倉って何があるの?」と尋ねたらチャラ男がちょっと考へて適当に「お寺と海だよ」と答へた。だが確かにその通り。古都を愛する文化人的な人たちと太陽と海を愛する湘南の人たちの平和的共存である。地元の人も鎌倉と湘南に憧れて頻繁に訪れる人たちも。

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