富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

今日 WAI YUEN GIN!170万人規模の集会とデモに

行政長官承認由於政府工作上的不足,令香港社會出現很大的矛盾和紛爭,令很多市民感到失望和痛心,行政長官為此向市民致歉,並承諾會以最有誠意、最謙卑的態度接受批評,加以改進,為廣大市民服務。

これは今になつて思ふと、もう遠い昔のやうだが6月18日の〈林鄭謝罪〉である。漢文四文字は戦劇の一場面のやうと久が原T君とよく笑ふのだが、林鄭は2日前の200万人デモを受け、この日、逃亡犯条例の今期立法会での審議取りやめで「撤回」とは言はぬものゝ事実上の廃案に。そこで自らの失策を認め行政長官として、この謝罪。アタシもつい呑気にアグネス=チャンの「ひなげしの花」で替へ歌など戯作に遊んでゐた。今から丁度2ヶ月前のこと。

丘の上 禮賓府の庭で
占うのあの人の心 今日もひとり
謝罪する 謝罪しない 辞める
あの人は決めないのよ遠い
北京にいるの〜

愛のおもいは胸にあふれそうよ
党への涙は今日もこぼれそうよ


 

この事実上廃案で少なくとも、これ以上悪くはなるまい、最悪の事態だけは避けられたと楽観。それが地軸狂つたのは7月1日、香港特区成立記念日でデモがあり、その晩の黒蟻の群れの立法会突入と狼藉である。その週末7日から今日まで7週に渡り毎週末の抗議隊と警察との攻防が続いてゐる。721の中聯辦国徽汚損と元朗白暴が更に状況を深刻にしたことはいふ迄もない。6月18日には市民に謝罪した林鄭も北京中央が辞任赦さず殉職示唆されたやうなもので自らの瑕疵など何処吹く風、今では社会暴力化への批難と、その平定こそ自らの責務と開き直り甚だし。この傲慢と警察の暴力に今日も民陣の集会開催(デモ行進に警察が反対通知)。

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この民陣のポスターでは11日に尖沙咀警察前で失明の危機にあるといふ女子の顔がモチーフに。依然この銃撃が警察よるものなのか判明せず。本人の供述と病院の発表がカギなのだが何れも進展なし。さういふ状況ながら12日の空港選挙や公立病院での抗議活動から右目に眼帯のアッピールが目立つ。ポスタで“WAI YUEN GIN!”といふのは「維園見!」で「ヴィクトリア公園で会いましょう!」だが維園見と書くと大陸漢に読めてしまふので広東語の不安定な拼音表記でwai yuen ginと書いてみせる。普通话の拼音なら、これはwei yuan jianである。

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昨日の建制派による反暴集会は主催者側発表で47.6万人の盛況。これだけの参加者がゐると金鐘の公共交通機関の混乱は並大抵ものではないはずだが混乱なし。大多数が団体バスで送迎されたのだらうか(笑)

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このタマール広場の面積は1.76公頃つまり17,600平米。47.6万人が此処に集結すると27人/㎡で実際にそれを視覚化すると折り重なつて圧死で十万人単位が命失ふことに。警察発表の10.8万人でも6人/㎡となり、これでも多すぎる。

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集会の航空写真(左)と47.6万人参加の場合のイメージ(右)

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ところで政府総部があることでTamarといふ地名が遺つてゐるがTamarは英国海軍が誇る20世紀前半の美しい艦船。1863年に建造され進水し英国のTamar河に因み名付けられ1897年に香港に駐艦。1942年の日本軍による香港占領まで香港に。この戦艦に因み中環のこの軍港がTamarと名付けられたもの。

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民集会やデモ出発地点がヴィクトリア女王の名前戴くヴィクトリア公園で香港政府所在地と建制派集会開かれるのが英国海軍に因むタマールとは香港がつくづく英国植民地なのだと思ふ。「50年不変」の原則がなければヴィクトリア公園は毛X東記念公園でTamarは解放軍広場とかになつてゐたのかしら。


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天気も怪しいが「さて出街か」と思つてゐたところ携帯にメッセージで何かと思へばHK Policeから。

今日の午後、香港島のヴィクトリア公園で大型の公衆活動ありメディアの最新情報と警察のSNSに留意

と。今日に限つてなのは民陣の大型活動でも今日は集会のみ警察不反対で路上に溢れた場合は規制対象といふ圧力か。MTRの港島線は天后と銅鑼湾に停車せず。かうなると50万超へは確定のやうなもの。政府は、この集会に合生えたやうに社会の安定と香港警察の信頼を説く。

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陋宅よりミニバスで北角へ。

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いつもの日曜午後以上に何か不安定な慌てた感じの人出。黒衣の市民が西に向かひ歩道歩いてゐる。トラムは走つてゐるが北角が臨時で終点。MTRで一つ先の炮台山站まで行けるが一駅なら歩いた方が早いか。途中で大雨となる。炮台山ですでに市民が道路に溢れ始め自動車の通行は制限。


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天后では集会挙行中のヴィクトリア公園に入れきれぬ市民が道路に溢れ、かなりの人数は銅鑼湾方面に向け歩き始めアタシもそのなかの一人。毎度のデモ同様、ヴィクトリア公園から銅鑼湾への狭い道路は混雑でLeighton Rd(禮頓道)から銅鑼湾の中心地避けHennessy Rdに出てみると、いつものデモなら公園出た群衆が一斉に湾仔方面に向かうのだが今日はそれは山側の片側3車線だけで、反対の海側「そごう」側はヴィクトリア公園に向かふ芋を洗ふやうな混雑。湾仔に向かふ側は少し空いてゐて、その流れに入る。予定されたデモではないので泛民主派各団体のアジ演説やテントなどは無く人々は黙々と西へ、西へと歩く。


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中華民国の国旗掲げる市民。歩道上だと道路不法占拠にはならぬか。道路に“Free HK”のスプレー書き。湾仔の香港警察総部前は不思議なほど誰も集まつてをらず。警察も自衛なし。黒蟻の群れが現れ警察と騒乱となるのは日が暮れて闇夜になつてからか。

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だが今日は「和理非」が叫ばれ民陣代表も今日は非暴力に徹するはずと述べ黒蟻の若者も公園でも、これまでの彼らの「武」の活動への市民の理解、その後ろ盾になつてくれたことに感謝すると共に現状では非暴力とすべきことをプラカードで示す。昼の活動家が黒蟻の若者に近寄りお互いのこの2ヶ月の活動を思へば抱擁で感慨に咽ぶところ。


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デモでは男子二人も仲良く、かうしたLGBT気分を今の香港はあまり気にもしない。北角から歩いてゐるうちに中環。地下鉄の站でいへば6つだが距離は6.4kmでしかなく真っ直ぐ歩けば1時間程。普段なら狭い歩道で人混みを縫つて歩くのでなか/\億劫、デモの時は路上に参加者溢れ歩行に時間もかゝるが今日は西行きの歩行は少し楽。中環でデモは終了。いつものやうにFCCで一人慰労。歩いてゐて知らなかつたがFCCのラウンジのニュース中継でHennessy RdばかりかHarcourt Rdも同じやうにデモとなつてゐた。多くの市民はまだヴィクトリア公園の集会に雨のなか参加。


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中環の路上には日暮れになると黒蟻の若者たちが目立つ。彼らは中環から上環の方へと路上を進む。その先にあるのは西環の中聯辦。今夜もまた中聯辦には行かせぬとする警察との対峙となるか、ならぬか。


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自宅に戻りRTHKの32チャンネルで集会とデモの中継を見る。夜になりヴィクトリア公園に集まつてゐた大多数が公園出て路上を西に向かひデモとなる。ヴィクトリア公園の集会は21時に解散。西環は警察が防備するが黒蟻の群れは上環で自然解散。警察の守備範囲にゐるのは報道関係とソーシャルワーカーなど。テレビ中継で警察が路上で活動家か取り囲み所持品検査を厳重にしてゐるので何かと思へばボランティアの救急隊員。それでも黒蟻の群れに混じる警官や空港での中共公安らしき者の紛れ込みあり、さて今度は誰が救急隊に化けて現場に侵入か?と思つたら本当にボランティアの救急隊で警察も何と失礼なことすることか。結局、黒蟻の群れはいつもの金鐘、香港政府前のHarcourt Rdを占拠して此処から政府ビルにレーザーポインタやライトの光線「武器」で「攻撃」しかけるが、それのみで晩11時過ぎに彼らの中で協議の結果、本日は此処までで本当に退去。6月以来のデモで本当に最も平和裡に集会と非合法デモが済んでしまつた。


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民陣は本日の集会とデモ参加人数を推定でとして170万人と発表。民陣は集会の運営に手一杯で銅鑼湾以西の路上デモ参加者数は掌握もできず、と。当然。警察は12.8万人として昨日の建制派集会よりたつた2万人多い数としてみせた。

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中央支持深圳建設先行示範區 豐富「一國兩制」新實踐 - RTHK

深圳於本世紀中葉要成為全球標杆城市 - RTHK

今日のこの抗議集会と大規模デモにまるで合はせたかのやうに中央政府が深圳での一国両制実践と今世紀中葉までの深圳のワールドスタンダードでの理想都市実現を!と発表。何といふさや当て。

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香港特区政府初代律政司の梁愛詩、人民解放軍の役割は香港基本法や香港駐軍法令に明記されてゐることで人民解放軍が香港政府の要請で出動することは一国両制の基本を壊すものではない、なんて怖いこと宣つてゐたが昨日「一群が国旗、国徽を侮辱し中央政府の主権に挑戦したりもするが、かうした小さな些細なことは香港の安全危機に深刻な影響与へるやうなことではない」と発言してみせる。

【逃犯條例】梁愛詩:「一國兩制」不會因駐軍出動而完結 侮辱國旗國徽都是小動作 (10:42) - 20190818 - 港聞 - 即時新聞 - 明報新聞網

現状の暴力化で解放軍の出動は現実にはあり得ないといふ意図は深圳で解放軍が演習、待機、香港の抗議者鎮圧想定した訓練といつたことで香港や海外で解放軍出動への不安必要以上に強まり、さらに中央政府に対する不信感強まることの抑制か。律政司当時は星島日報社主・胡仙の新聞発行部数虚偽公表につき董建華超法規的措置で指揮権発動して逮捕免じた、香港の法治が最初に疑はれた主犯である。なのだから今回もぜひ、その力で香港の平和のために尽力していたゞきたいところ。

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香港警察は警察に瑕疵あると非難される案件は「証拠不足」「分析中」で黒蟻の群れは徹底的に追求と宣ふのだが13日の空港占拠での大陸公安私刑でも同じく軽い暴行加へた連中の捜査に余念なし。それでゐて721の元朗で無辜の市民が白衣愚連隊に流血の傷害受けた件ではまだ「関係証拠が不明」と逃げる。

元朗白衣人至今未被檢控 鄭若驊:拒評個別案件 檢控時間視乎案件複雜性 | 立場報道 | 立場新聞

林鄭よりも支持の低い、この律政司の婆さんが頑として動かぬ。検察の現場からも政治的圧力ありと公開信が出るほど。

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