富柏村香港日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴る日剩でござゐます

佔領金鐘

農暦五月初十。雨。朝餉で食後に台湾愛文芒果頬張つてゐるとテレビ報道は金鐘からの実況中継。

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立法会で逃犯条例改修再讀にあたり昨晩から香港市役所周辺に怒れる若者たち集結で今日早朝から警察と小競り合ひの後、幹線道路に溢れ道路占拠。

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警察は市役所、殊に立法会の警備に重点置き2013年の雨傘運動彷彿させる道路占拠は放置モード。さうしておけば「暴力的な若者たち」はまた世論から厭はれるか。米国総領事館から日曜のデモでは注意喚起なかつたが今日は金鐘で混乱予想され米国民に対して不意に近づかぬやうに呼びかけ。

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今日は現場に「野餐」に行つてもいゝかと思つてもみたが(昨晩、ピクニック用のリュックも久々に出したが)とてもそれどころぢゃない。金鐘周辺の銀行や企業は営業停止。立法会も朝イチの工作小組の会議取り消しで立法会開催も順延。泛民主派の議員らが道路占拠現場にあらはれ議会延期と市民の抗議活動成功に頭下げるが、こゝで「今日は一定の抗議成果あつた」と道路占拠をあっさりと撤収させたら凄いことなのだが、それが出来ない。建制派は出て来ず。「己の言葉持たぬ」証左で結局のところ指示に奴隷の如く従ふだけで己の判断では何もできず。午後遅く金鐘の現場に出かけてみる。学校早めに上がつたのか学生の姿多し。十代前半の男子がぽつんとゐたり。日本の中学生にはまずピンとこないだらう。知己の娘さんは学校で「デモに行くのは自己責任で。個人の意思を尊重します」と校長が宣つたのだといふ。危うく「支持します」と言ひさうになつて「尊重」と訂正の由。日本で校長がこれを言つたら吊るし上げ。雨傘運動彷彿の物資の豊富さと若者たちの役割分担のてきぱきぶり。これは香港人のDNAなのか。マスクから飲料水、冷えピタから皮膚保護用のサランラップまで。それにしてもマスク着用が目立つのは、やはり今日日「顔認証」対応なのかしら。

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ぐるりと一帯を回つた感じでは危険感なし。香港市役所、殊に立法会防御の警官も同僚と雑談したり市民と話す者もあり。

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 賛美歌歌ふ基督者たちと対峙する神妙な表情の警官たち。あちこちで「撤回!撤回!撤回!」といふシュプレヒコールが高層ビルに谺する。

小一時間の実地検分で金鐘廊の方に歩道橋渡らうとすると対面から武装とまではいはぬが防御服やヘルメット、ゴーグル姿の警官が何十人と現場に向かふのに遭遇。催涙弾銃など抱へ、この社中は道路占拠者一蹴のための部隊か。中には目を真っ赤に腫らした泣き顔の女史警官もをり。任務とはいへ怖さもあれば心の葛藤もあらう。金鐘のビル街に入るとQueensway(金鐘道)も自動車通行止め。それなら、と金鐘廊をFairmont Houseまで戻り花園道に歩道から車道へと入る。全車線通行止めといふか自動車が来ない。

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1997年7月1日に江沢民さま来港の時に、この坂道が一瞬、自動車通行が一切なくなつてゐた時のこと彷彿。金鐘の方でわーっといふ声と遠くだが道路占拠の連中が逃げるやうな影が見える。何かしらの「排除」始まつたのかしら。何台かの救急車のサイレン。ジムで運動してからFCCへ。さすがに今日は現場で取材する記者多し、か早晩のバーは閑散。地元テレビの報道チャンネルの他、CNNもBreaking Newsで香港の現場から生中継。

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先ほど一時間前にはあれだけ市民の溢れてゐたHarcourt Rd(上画像左)が警察の武力部隊により催涙弾や胡椒スプレーで市民一層されるゐる(上画像右)。香港市役所は今回は雨傘運動の二乃舞にならぬやう早期の事態沈静に強気は明らか。報道で政務長官のメッセージが流れる。反対派の主張があるにせよ市民生活に深刻な影響ある道路占拠は直ちに中止して歩道に戻るやうに、と。さうはいかぬが抗議活動。行政長官リンテイゲツガがマスコミのインタビューに答へるところ逃犯条例で市民の間に疑問、蟠かまりや反論あるのもわかるが、その意思表示は理性的であるべきで暴力や道路占拠といつた実力行使は許容されるものではなし、またこの条例については立法会で盛んな議論続けたきたもので政府としてはこの改修合意にもつていきたいといふ意向は譲れぬ、と強気。更に「香港のためにどれだけ自分を犠牲にしたか」と涙ぐんだり、この逃犯条例改正のきっかけは台湾での加害者(男性)も被害者(女性)も香港人の殺人事件で、この加害者が香港に逃げたことで台湾での逮捕ができなかった、被害者家族のためにも条例改正で引渡し可能にする……と。その上、自分も二人の息子の母親として若者がかういふ運動で危険な目に遭つたら……とか余計なお世話も甚し。かういふ人は持論でかなり頑なに逝けるタイプなので困つたもの。

f:id:fookpaktsuen:20190612224543j:plain路線バスが路線変更や渋滞でMTRはいつもの帰宅ラッシュ以上にかなりの混雑。太古まで来てみると路線バスの運転手も行き先が道路封鎖中で、どこをどう抜けるかを確認中……難儀。報道チャンネルの現場中継、これは解説もなく延々と現場映すのがシュールにリアル。道路占拠の黒衣青年らは金鐘から排除され中環、湾仔方面に。中環の中心部では自家用車を交差点に止めたまゝで道路封鎖解除に抵抗する輩もをり。晩八時半だか行政長官リンテイゲツガが政府広報通じ映像で声明発表。

今日金鐘一帶發生嘅場面令人痛心,任何法治社會都唔能夠容忍呢啲破壞社會安寧、罔顧法紀嘅行為。佢希望社會盡快回復秩序,唔好再有人喺暴動中受傷,又深信可以用平和、理性、守法嘅方式去解決問題。

この主張は真っ当。たゞ問題は、その法治が脅かされてゐるといふことなのだ。夜半になり黒衣青年群と警察の小競り合ひもないが膠着状態。金鐘站も封鎖。
▼6月17日から蘋果日報デジタル版有料化の由。これまでかなり早くから紙面の全記事をネット上で配信し太っ腹なところ見せてゐたが紙の新聞が売れぬ上に蘋果日報は反政府系で且つ財閥系の醜聞もどし/\載せるから広告掲載敬遠され広告収入減少が痛いと社主の黎英智。そこでのデジタル有料化はNY Times等の成功を見てのところ「ゴシップ中心の蘋果有料化で誰が読むか?」といふ声も強し。面白可笑しい記事も"There ain't no such thing as a free lunch"でただ読みは甘いところで而も「中共の香港」で反中共、反権力といふ姿勢で報道の自由守るのだから共鳴する読者は多少の費用負担は当然か。